妊娠中の体重管理

2016年9月13日

妊娠中は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい体重管理が必要です。太り過ぎもやせ過ぎも、どちらもさまざまなリスクがあります。
妊娠中に体重が増え過ぎることは、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などのリスクが高くなりやすいので気をつけましょう。現在は、妊娠中の体重増加の考え方は、妊婦の妊娠前の体格に応じた指導を行っています。

やせ過ぎに気をつけましょう

若い女性のスリム志向が高まり、「やせ妊婦」が増加していることが問題となっています。少し前までは「小さく産んで大きく育てる」と言われていたのですが、妊娠前や妊娠中の間違った体重管理によるリスクが懸念されています。

やせ過ぎると心配なこと

●妊娠前にやせ過ぎている女性は、流産や早産しやすく、低出生体重児を出産しやすい

妊娠前にやせ過ぎている女性は、流産や早産しやすく、低出生体重児を出産しやすいい調査研究報告があります。ただし、やせ過ぎていても、必要な栄養素を毎日摂取することなどにより、流産のリスクも下がることがわかっています。流産の原因は、染色体異常などの避けられないものもあります。

●2,500グラム以下の低出生体重児が増加

厚生労働省の統計によると、1993年に8万人程度だった低体重児は、2003年には10万人程度となり、10年間で2万人強増加しています。全出生数に占める割合も、1993年の6.8%から2003年には9.1%、2011年は9.6%と、明らかに増えています。
低体重児を出産する確率は、妊娠前の体形がやせ形で、妊娠してからの体重の増加が7㎏未満の場合に高いとされています。かつては、「小さく産んで大きく育てる」のが良いとされていましたが、この考え方は近年見直されています。妊娠中に適切な体重が増加しない場合、妊婦の貧血、早産・早産、低出生体重児の出産のリスクが高まると言われています。

●低体重で生まれた子どもは大人になって生活習慣病になる可能性が高まる

出産時の赤ちゃんの体重は、その後の発育や健康に大きな影響を与えます。
低出生体重児は、子育ての問題や成長・発達の遅れが生じたりすることがあります。また、成人になってから、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を発症しやすいとの研究報告もあります。

やせ過ぎを防ぐポイント

赤ちゃんは妊娠40週でおよそ3,000gの大きさに成長します。妊娠中に体重が増加するのは、おなかの中で大きくなる胎児や胎盤の重さ、羊水量、血液の増加、母体の皮下脂肪などのためです。母体の皮下脂肪は、脂肪組織の中で女性ホルモンが代謝して、胎盤の発育を促しているという大切な役割を担っています。
お腹の赤ちゃんが大きくなるには、お母さんが必要な栄養を摂り、適度な運動をすることで育っていきます。お腹の中では、お母さんの胎盤を通して酸素と栄養をもらい、赤ちゃんは10か月かけて大きくなります。

●妊娠中の体重増加の目安

妊娠中の体重管理は、妊娠前の体格(BMI)により異なります。

妊娠前の体格妊娠全期間を通しての推奨体重増加量
やせ BMI 18.5未満 9~12㎏
標準 BMI 18.5以上25.0未満 7~12㎏
肥満 BMI 25.0以上 おおよそ5㎏を目安 ※

※BMIが25.0を著しく超える場合は、他のリスクなどを考慮しながら個別に対応する必要があるので、医師などに相談することが望ましい。

平成25年厚生労働省公表資料より

BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
例)身長160cmで体重53㎏の場合、53÷1.6÷1.6≒20.70 となります。

太り過ぎに気をつけましょう

下記表にチェックがつく方は、太りやすい状態なので注意しましょう。

「生活習慣チェック表」

欠食する習慣がある。
食事時間が不規則。
夕食が8時以降になることが多い。
夕食後に飲食をする習慣がある。
外食が多い。(週3日以上)
あまり噛まずに食べることが多い。
食べるスピードが速い。
朝食、昼食に比べると夕食にボリュームがある。
野菜炒めや炒飯など油を使った料理をよく作る。
バターやクリームを使った料理が好き。
ドレッシングやマヨネーズはたっぷりかけるほうだ。
野菜はサラダでとることが多い。
間食を食べるときはお菓子が多い。
スナック菓子が好き。
果汁や乳酸菌飲料、スポーツドリンクなどの清涼飲料水をよく飲む。
ファーストフードが好き。
お菓子の買い置きがある。
あっさりした味つけより、こってりした味つけが好き。
残さず食べないと気がすまない。
イライラすると何か食べたくなることが多い。

毎日の生活習慣を見直してみましょう。
体重をコントロールするためには食事と適度な運動が大切です。体調をみながらこまめに体を動かすことも心がけましょう。

太り過ぎると心配なこと

妊娠中に体重が過剰に増えたり、もともと肥満の人が妊娠すると、次のような心配があります。

●妊娠高血圧症候群になりやすい

肥満や妊娠中の過度の体重増加は、血圧を上昇させ妊娠高血圧症候群を発症しやすくさせると考えられています。赤ちゃんは胎盤を通して栄養、酸素をお母さんからもらって大きくなります。ひどくなると胎盤機能が低下し、赤ちゃんの発育不良や酸素欠乏を招いたり、重症になるとお母さんと赤ちゃんのの生命に影響することがあります。

●妊娠糖尿病

妊娠性糖尿病というのは、妊娠前は正常だったのが妊娠をきっかけに糖尿病になる場合をいいます。妊娠中の糖尿病はひどくなると赤ちゃんが巨大児で生まれたり、羊水過多、早産、難産などを招いたりすることがあります。

●難産になりやすい

脂肪がたくさんついて産道が狭くなっているために、娩出までに時間がかかることがあります。

●産後の肥満になりやすい

妊娠時の体重コントロールは妊娠中のトラブルを起こさないためにも大切なことです。1週間に500g以上の体重増加はよくありません。体重記録をつけるなどして自己管理に努めましょう。

肥満を防ぐ食生活5つのポイント

1. 朝食とじょうずな間食

朝食を抜き、その代わりに昼食はたっぷり食べて、夜は夫につきあって遅い時間に夕食。夕食時間までお腹がすくので途中にお菓子をパクパク。こんなパターンになっていませんか?
朝、食事をすると体温や血糖値が上昇します。朝食はからだをこれからの活動に適した状態にするための大切な食事です。お母さんと赤ちゃんの健康のために、欠かさず摂るように心がけましょう。

間食というと甘いお菓子を想像しがちですが、一日の献立の中で不足しがちな栄養素を補うのが本来の目的です。何を、いつ食べるかを見直してみましょう。

【間食の献立例】さつまいものミルク煮

作り方

  1. さつま芋70gは1.5cm角に切り、水に入れてアクをとったら水気を切る。
  2. 小鍋に水気を切ったサツマイモと牛乳60cc、砂糖小さじ1、塩少々を入れ、火にかける。
  3. 煮立ったら火を弱め、やわらかくなるまで煮る。

☆キウイ100gを添えて。

エネルギー 215kcal ・たんぱく質 3.6g・カルシウム 110mg・鉄 0.7mg

2. 主食・副菜・主菜をそろえましょう

食品は含まれている栄養素の特徴によってグループ分けをすることができます。

  • エネルギー源となる糖質を多く含んでいる食品
    米、パン、めん類、芋など
  • からだの調子を整えてくれるビタミン、ミネラルを多く含んでいる食品
    野菜、海藻類など
  • 筋肉や血液の基となるたんぱく質を多く含んでいる食品
    魚、肉、卵、大豆、大豆製品など

栄養のバランスをとるためには、これらの食品をうまく組み合わせる必要があります。
コツは、主食・主菜・副菜をそろえることです。

3. よく噛んでゆっくり食べましょう

早食いやテレビを見ながらの食事は満腹感を感じにくくし、結果として食べ過ぎになりがちです。よく噛んで食べると脳にある満腹中枢が刺激されるので、食べ過ぎを防ぐことができます。

4. 菓子類・清涼飲料水はほどほどに

妊娠中は普段よりも多くのエネルギー量が必要になります。甘い菓子類や清涼飲料水でもエネルギーを補うことは可能ですが、それらにはからだを作るための栄養素はほとんど含まれていません。また糖分や脂肪分が多いために高エネルギーなものが多いのでエネルギーの過剰摂取につながりやすくなります。特に夜、夕食後に食べるのはお母さんと赤ちゃんのために我慢しましょう。

5. 手作り料理を心がけて

「たまには外で食事を」というのもいいのですが、外食・ファーストフード・市販のお惣菜は脂肪分、塩分が多く、エネルギーが高いことが問題です。利用する際にはそれらのことを頭に入れておきましょう。

手作りならば脂肪分、塩分の調整もできますし、多様な食品の組み合わせも可能になります。手の込んだ料理をそろえなくてもいいでしょう。

家族の健康のためにも、また、離乳食の練習と思って、手作り料理を心がけてみたらいかがでしょう。

監修:聖隷クリストファー大学助産学専攻科教授 久保田君枝先生

 

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