子育て耳より情報

子どものお祝い行事 in 浜松 浜松まつり 初子祝い

2015年1月16日

浜松まつり 初子祝い

例年5月3日午前10時。砂丘の広がる中田島で開会宣言と同時に花火が上がると、3日間の浜松まつりがスタート!昼間は中田島砂丘での凧揚げ合戦。夜は、まつりの舞台を市の中心部へ移し、豪華絢爛な御殿屋台の引き回しが盛大に行われます。
浜松まつりで子どものお祝い行事と言えばなんと言っても、初子のお祝い!
一説によると今から450余年前、当時の浜松を治めていた引馬城主(現在の浜松東照宮)の長男誕生を祝って凧を揚げたことが起源とされています。現在では、長男に限らず、次男以降や女の子の誕生をお祝いして行われることもあります。
450年余の長い歴史の中で、様々に形を変え、受け継がれてきた浜松まつりの初子のお祝い。さて、現在ではどのように行われているのでしょう…。

解説! 初子祝い キーワード

初凧

 初凧

浜松凧の特徴は、竹骨に貼られた和紙に主に赤・青・白の3色で町名に由来のある凧印が描かれること。初凧には、さらに左上に家紋、右下に子どもの名前が入ります。浸透性のある染料が使われるのは、空高く上がった時に光を通し、地上から遠目にでも凧印がよく見えるようにと考えられた伝統の技です。
初凧でよく使われる凧の大きさは、大人の背よりも高い!4帖(2.4m四方)、6帖(2.9m四方)。それだけの大凧を揚げるのはとても大変なこと。各町では何か月も前から準備や練習を重ねています。それでも風向きや天候に左右されるため、上手く揚がらなかった場合は次の日に揚げてくれるといった配慮もあります。

初練り

初練り

浜松まつりでは、整列した町ごとの列が「ヤイショ!ヤイショ!」の掛け声とともにすり足で練り歩きます。初練りとは、この「練り」を、夜、初家(初子が生まれたお宅)で初子の誕生を祝って盛大に行うこと。練りの最後は施主や子どもを中心にして担ぎ、大きく繰り広げます。その後、初家側は、初凧や初練りのお礼として、家の前で町内のみなさんをお酒や食べ物でもてなします。

体験レポート 今の初子祝いってどんな風?

~ママが教えてくれました!当日までのスケジュールを大公開~

河合さん夫妻は、ともに浜松生まれ。幼い頃から浜松まつりに参加して育ってきました。結婚し、子どもが生まれ、その成長を機に上西町に自宅を構え、初子のお祝いをすることに決めました。お子さんは、4歳の長女星奈ちゃんと、2013年3月生まれの長男志穏くん。今回、2014年に行った志穏くんの初子祝いについてお話を聞きました。

12月 凧揚会からの案内

「初子のお祝いをやってみたいな」と思ったら、まずは地域の回覧板をチェック!

上西町の場合、浜松まつりをまとめているのは凧揚会。前年の12月末に地域の回覧板で凧揚会より、「初子のお祝いをやりませんか?」と、初子の祝いの案内があります。

 1月 第1回説明会

初めての説明会。丁寧な説明で、不安も解決。

年が明けるとすぐに、初子家候補のために説明会が開かれます。ここでは、浜松まつりの概略や、気になるお金のこと、スケジュールのこと、浜松まつりのルールのことなどが丁寧に書かれた資料が配付されます。これを家に持ち帰り、家庭で相談することに……。

2月 第2回説明会

申込書提出!早速日程調整に。

初子家の意向確認。申込書を提出します。申込書を提出すると、町内での日程調整が行われます。この年、上西町での初子祝いはわが家を入れて4件でした。ど のように参加するのか、(昼も夜も参加?or昼の凧のみの参加?or夜の初練りのみの参加?)を凧揚会の方と相談します。

 3月 第3回説明会

細かい日程の最終確認。凧の代金も集金します。

凧揚げ会が行うこの説明会では、糸目付けの日程、いつ初凧を揚げるのか、夜の初練りはいつやるのか、など、浜松まつり当日までの細かい日程の最終確認があります。日程や時間は、お祝いをする他の家族と重ならないよう細かく調整されます。わからない部分は質疑応答の時間もあり、丁寧に教えていただきました。 そしてここで、凧の代金のみ集金がありました。

3月 衣装の準備

初子の衣装はどんなかな?

初子の衣装

こんなに小さい子なのに、大人と同じ衣装があるんです。法被は町に注文、あとは市内の祭用品専門店で購入しました。

4月 会所開き

会所開きってなにをするの? ここから始まる浜松まつり!

浜松まつり約2週間前になると、いよいよ会所開きです。会所開きには家族4人で参加。ここで町内のみなさんと初顔合わせ。夫が挨拶をし、子どもの名前が入っているたすきと提灯を受け取ります。お酒も入り、これからお世話になる町内のみなさんにご挨拶します。

4月 糸目付け

いよいよ凧が自宅前に!ドキドキの糸目付け。

初凧が自宅前に登場する糸目付け!凧の四隅に穴をあけ、糸を通して結んでいきます。
どこに糸を通すかで凧の揚がり具合が決まるとても重要な役目だからこそ、施主であるわが家に任されます。

4月 糸目付け

初凧に穴をあけるのは、かなり緊張しました。でも、大丈夫!凧揚会の方が丁寧に教えて下さるのでとても安心です。高い所は写真のように、凧揚会の方が頼もしくサポートしてくれます。糸目付けは1時間ほどで終了。終わるとみんなで乾杯!これで初凧の準備も万端です。おまつり本番がとっても楽しみになりました。

4月 振る舞いの手配

振る舞いの手配

初練りで振る舞うお料理やお酒を注文します。
糸目付けが終わった4月中旬より、夜の初練りでの飲食について夫と相談しました。凧揚会の方に聞いて、150人を目安にして用意することに。お酒は夫が担当、食べ物は私が担当です。お酒は、酒屋さんに「浜松まつりの初子のお祝いで」と説明すると、当日配達してくれます。食べ物は、スーパーなどで販売される“初子セット”が便利です。大まかな人数と金額を伝えると、当日に割りばし付で配達してくれます。ちなみに注文締切は1週間前くらいまで。家で接待するのが難しい大人数なので、プロにお任せするのが一番!その他にも、浜松まつりオードブル試食会など、 楽しい催し物もありますよ♪色々な情報をチェックして、楽しみながら準備も進めるといいですね。

5月2日 前夜祭

前夜祭は、ご近所の方とのまつり前の懇親会。

前夜祭

浜松まつり前日。前日の晩は会所でまつりの前の懇親会である前夜祭が行われます。我が家は、家族4人、まつりの正装にて参加。会所に集まるとまず、初家ごとに屋台前で家族写真を撮ります。(撮った写真は、後日額に入れて凧揚げ会からプレゼントしていただきました。)前夜祭は午後9時頃まで行われ、最後に 夫がこれから3日間お世話になるみなさまにご挨拶をして退場。ここからは明日からの本番に備えて、子どもも体力勝負!?息子は、3月生まれのため この時点で1歳2か月。おかげでぐずることも少なく、体力的に余裕を持って参加できました。

5月3日 浜松まつり1日目 中田島砂丘にて凧揚げ

いよいよ開幕!浜松まつり!初凧は空高く揚がるかな~?

いよいよ待ちに待った浜松まつりの開幕です!
初凧を揚げるのは3日間の中の1日。他の初子宅と重ならないよう、事前に日程が決まっています。予定時間の1時間前に陣屋へ集合。そしていよいよ初凧を揚げる時間に。

中田島砂丘にて凧揚げ

集合した陣屋から凧場までは往復30分ほどで、凧を揚げた時間が30分。合計1時間ほどで終了。
うまく揚がるかドキドキしましたが、無事に揚げることが出来ました!

5月4日 浜松まつり2日目 初練り

夜の初練り!準備もおまつり騒ぎ!?

初凧も無事揚がり、浜松まつりもクライマックス! 食べ物が足りなくなってしまうことのないよう、事前に注文しておいたお酒や食べ物の他に、当日お昼過ぎから、カレー、焼きそば、おにぎりの準備を始めました。加えて、近所の子どもたちのためにチョコバナナや水あめも用意。お友達にも手伝ってもらっておもてなしの準備をしました。この日は支度もおまつり騒ぎ!?その間、子どもたちはどうしていたんだろう……。私以外の家族が相手をしていたはず(笑)。とにかく!大忙しでした! 

初練り

そして、賑やかに初練りをお出迎え!当日は足場を組んで、盛大にお祝いをしました。町内の方にたくさんお祝いをしてもらって、とてもいい思い出になりました。

浜松まつりを終えて

まつり以後も地域の方と交流が続いて嬉しい

ママ

長女の時には実家で初子のお祝いをしたため、両親にも手伝ってもらってのお祝いでしたが、今回は、自分たちで家を構えてからのお祝いだったので、長女の時にお世話になった両親も招くことが出来て、恩返しができたように思います。上西町で初子のお祝いをやったおかげで、子どもたちは、凧揚会や地域の方に顔を覚えてもらい、地域の秋祭りでもとても可愛がってもらいました。私も、娘の幼稚園などで他のママから「あの初子をやったおうちの方なの~?」と声をかけられるなど、地域の方との交流が生まれ、大変嬉しく思っています。(ママ)

子どもたち自身が楽しめて、よい思い出に。やってよかった!

パパ

私も妻と同じように、近所、地域の方たちに子どもを知ってもらうことができてよかったと思っています。お祭りが終わってからも、息子は激練りの音楽を口ず さみ、両手をあげて「おいしょ」と練り歩く真似をしたり、「ピピー、ばんざーい」とお祭りごっこをしたり。娘もお祭りの準備を手伝ってくれたり、初練りで はジュースで一気飲みをさせてもらえたりと、二人ともお祭りがとても楽しかったようです。そんな様子を見て、子どもたち自身がとても楽しめていたことが何より一番嬉しく、とてもよい思い出になりました。(パパ)

気になるお金のことを先輩ママたちに聞きました!

今年浜松まつりに参加したのは全174町。初子祝いにかかる費用も町の規模や実施方法によって違い、一概にいくらとは言い切れません。初子祝い経験者にリサーチしてみたところ、初凧+初練りのコースでトータル40万~70万くらいでした。凧代が大きいので、夜の初練りのみの場合はそれよりも金額が抑えられます。
初子祝い全体に関わる費用については事前に詳しい説明があり、転入者や初めてまつりに参加する家庭にもわかりやすいよう準備してくれる町が多いようです。

初凧

初凧は3帖~6帖があり、目安としては1帖5万円前後。男の子は5~6帖を揚げるお宅が多いので、25~30万くらいです。合わせて半帖ほどの飾り凧を作成してくれる町もあります。

初練り

初練りでの振る舞いのお酒と料理の費用は、練りに参加する概算人数に合わせて何をどれだけ用意するかによって金額に違いが出てきます。
初子料理を扱う料理店やスーパーなどにオードブルを注文するほか、樽酒を用意する、焼き鳥の屋台を呼ぶなど上を見ればキリがありません。
準備が大変ですが、手作りなら材料費のみ!お手伝いの人手に余裕がある場合は検討してみてもいいですね。
また、初練り費用として事前に提示される金額に、料理やお酒代が含まれ、手配から当日の準備まで凧揚げ会にお任せしてOKという町もありました。

子ども練り

夜の練りとは別に、日中に子どもたちだけの練りを実施する町もあります。その場合200~300円ほどのお菓子パックを人数分用意します。

衣装代

町ごとに指定されている法被と、法被の下に着用する祭衣装は各自で用意します。
法被は町を通して注文します。一般的な法被は子ども用5,000円~10,000円前後、大人用10,000円~15,000円前後のようです。
中に着用する鯉口シャツ・腹掛け・股引・足袋などは市内の祭用品専門店で購入することができます。浜松まつりの時期が近付くとショッピングセンターやスーパー等にも特設コーナーができます。これらも一式5,000円~10,000円ほどで、新たに人数分を揃えようと思うとそれなりの出費に!
子どもはすぐにサイズが変わってしまうので、知人に借りたり、お下がりを譲ってもらったりしてもいいですね。法被の貸出を行っている町もあるようです。

その他

紙コップや割り箸、片付け用のゴミ袋なども用意が必要です。

取材を終えて

河合さんが初子のお祝いをすることに決めた理由を、「子どもがこれから育つこの地区で、地域の人に可愛がられるように」。と話してくれたことが大変印象的でした。長い歴史の中で、時代に応じて形を変え、今に受け継がれてきた浜松まつりの初子のお祝い。けれど、いつの時代も健やかな子どもの成長を願う親の気持ちは同じだったのでは?と感じました。その気持ちが地域の人に通じて、子どもたちはみんなに愛される子に育っていく。それが浜松全体に広がって、ますます浜松が温かい街になる。やっぱり浜松まつりは、なくてはならない浜松自慢のおまつりです。

 

取材・文責/NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴ/時田祐子