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共働き家庭 夏休みの子どもの居場所どうする?

学童保育イメージ

毎年、夏休みが近づいてくると、子どもたちの過ごし方に悩む家庭は少なくありません。特にふだん学童保育に通わせていない共働き家庭にとっては深刻な問題です。そこで、浜松市の実態をもとに放課後児童会(浜松市の公設の学童保育)に入れなかった家庭や、夏休みを乗り切ってきた家庭にインタビューをし、現況の過ごし方を考えます。

浜松市の状況はどうなっているの?

学年別待機児童数

浜松市が公表した令和5年5月1日現在の放課後児童会の待機児童数は190人でした。昨年の261人から71人減っています。学年別の待機児童数を見ると、1・2年生は6~7%ですが、3・4年生が全体の64%ほどを占めています。この状況について、浜松市教育委員会教育総務課の担当課長に伺いました。

質問
現在の放課後児童会の状況をどうとらえていますか?

答え

これまでは待機児童を減らすことに専念して、定員を増やすための場所を確保してきました。令和5年度の定員7,644人に対して登録児童数は7,233人と定員を下回っています。全体の数としては足りているのですが、待機児童が発生しているのは、定員割れの児童会がある一方で、定員を上回る希望者がいる児童会があるためです。空いているところに入れて均一になればいいのですが、そうもいかず悩ましいです。

質問
3,4年生の待機児童が多いのはなぜですか?

答え
放課後児童会の選考基準では、学年によって基礎点が定められています。1年生の基礎点は30点ですが、3年生では20点、4年生では15点と高学年になるほど低くなるため、3,4年生で待機になる児童が多くなっています。選考は毎年行われ、児童の学年と保護者の状況に応じた基礎点に、ひとり親世帯や祖父母の同居など家庭の状況による点数の加減があります。

質問
入会できなかった家庭からは、夏休みだけでもなんとかしてほしいという声があります。これについてはどのようにお考えですか?

答え

要望はうかがっています。しかし、放課後児童会は夏休みも含めて年間を通しての利用を前提としており、その期間だけの場所と支援員を手当てすることは困難です。
令和3年度の年間利用状況を見ると、出席率100%の児童は約20%で、80%の児童は習いごとなどもあって週に数回しか来ていませんが、出席率から定員より多くの児童を登録できたとしても少数です。また、年度途中に退会する児童949人のうち、特に8~10月に退会する児童は390人と多くいます。390人のうち、1・2年生だけでも194人と49.7%が退会しています。理由は「預け先がなんとかなった」、「親の働き方が変わった」などというものです。家庭によっては夏休みまでなんとかしたいという思いもあると思います。
今後さらに高まっていくであろう多様なニーズに対応していくためには、行政・地域・学校・企業が連携し、子育て世代が安心して働くことができる環境をつくっていくことが大切だと思います。そのなかで、放課後児童会は、本当に預け先に困っている家庭の受け皿として機能できればと考えています。

質問
長期休みの子どもの居場所について、どのような対策を考えていますか?

答え

健康福祉部が実施する「かいごTERAKOYA事業」と連携しています。
民間や地域の力をお借りして行政だけでは手の届かないニーズに答えていくことが必要と考えています。

放課後児童会に入れなかった家庭の困りごとは?

放課後児童会に入れなかった家庭は夏休み、どんなことに困りそうか、ママに聞きました。

中澤さん一家のプロフィール

中澤さん

両親、小4と年長の男の子の4人家族。両親ともフルタイム勤務で、実家は遠方。長男は小3まで放課後児童会に在籍していたが、小4で落選。

地域に子どもだけで遊べる居場所が少ない

1年生から3年生までは放課後児童会に入っていたのですが、4年生では入ることができませんでした。

そこで困るのは夏休みです。長男は学校のある日と同じように「ひとりで留守番しているよ」と言いますが、親としては何をして過ごしているのかわからず不安です。
学区内に子どもだけで遊びに行ける場所は限られています。特に夏休み中は暑いので、長時間公園で遊ぶわけにもいきません。しかも長男が「ひとりで留守番」という過ごし方にすぐに飽きてしまうのは目に見えています。子どもだけで行けて暑い日でも安心して遊べる場所があるといいのにと思います。

近くに頼れる人がいなければ留守番するしかない?

実は東京に住む祖父母から、夏休み中長男だけで来ないかと提案を受けています。長男は行きたがっていますが、長い間ずっとお願いするわけにはいきません。長男は家事をしている間に次男の面倒を見てくれるので、母親としては家にいてほしいという思いもあり、すぐに返事ができずにいます。

ママ友に話を聞くと、兄や姉と一緒に留守番したり、近くに祖父母がいる場合は協力してもらったりしているようです。「夏休み中はパパにずっと在宅勤務してもらおう」なんてことを言っている人もいました。ただ私の周囲は転入者が多いので、困っているという話はよく耳にします。

本当に困っているのは祖父母などが近くにいない私のような人だけなのでしょうか。

放課後児童会に入会していない家庭はどう乗り切った?

1年生から児童会に入れず家庭で夏休みを乗り切ってきた、同じ4年生の子どものいる家庭に聞きました。

袴田さん一家のプロフィール

袴田さん

70代の祖母、両親、小4の男の子の4人家族。両親ともフルタイム勤務。祖母と同居のため、小学校入学時に放課後児童会に落選。

複数の居場所や過ごし方を組み合わせる

祖母と同居という理由で放課後児童会に入会できず、平日は民間学童と習いごとなどを組み合わせて過ごさせています。夏休みはそれに加えて様々なサービスを使い、家庭内でも工夫しました。

利用したサービスや手段

  • 普段通っている民間学童
  • 学習塾の短期夏休み講習
  • スイミングスクール
  • 両親が交代で有休取得

何よりもまずは息子のやりたいことを尊重して気持ちよく過ごす場をつくるのが先決で、費用のことを考えるのは二の次でした。両親が有休を取得してやりくりした日もあります。ちなみに、小3のときは浜松医科大学の夏期学童保育に通いました。
今年の夏休みは、息子がやりたいことがあると言っていますので、息子の希望も聞きながら過ごし方を決めていけたらと思っています。

民間学童や習いごとは通年で 早めに考える

「夏休みだけなんとかしたい」と考える家庭が多いのは理解できますが、夏休みだけ困っているからと個人経営の民間学童に問い合わせても、多くの場合「いっぱいだから」と断られるようです。結果的に夏休みも習いごとや学習塾、公文などを組み合わせてやり過ごすという手段を使っている家庭は多いと考えられます。

インタビューした2家庭は偶然にも同じ4年生でしたが、まだ幼いので、子どもの安全安心面からもひとりで置いておくわけにはいかず、保護者主導でいくつもの手段を組み合わせて過ごしていることがわかりました。長期休みは必ずあるので、民間学童や習いごとの利用を検討する場合は、通年で利用することを前提に早めに考えておくほうが良いでしょう。

夏休み限定の民間学童やサマースクール

浜松市内の民間学童には、夏休み中のみ開催されるものや夏休みの短期間利用できるコースを設けているところがあります。参考としてご覧ください。

注)2023年度の申込みは終了しているものもあります。詳細は各事業者にお問い合わせください。

大学の取り組み

職員の福利厚生がきっかけで始まったものですが、地域貢献のため民間枠が設けられています。
浜松医科大学の場合、ほぼ毎日学習講座が実施され、医療関連の取り組みについて知ることができます。

浜松市の取り組み

健康福祉部介護保険課の委託事業で、令和5年度は7か所の介護施設で実施されます。介護職員の福利厚生が目的で、介護福祉施設職員の小学生の子どもが対象ですが、一般枠も設けています。

民間企業の取り組み

民間学童や塾の中には特別コースを設けるなど夏休みだけの利用ができるところもあります。

取材を終えて

夏休みの子どもの居場所については、選択肢がたくさんあるわけではありませんでした。

昨今の子どもをめぐる事故や事件を見ると安全面では気になることばかり。中澤さんの「子どもだけで安心して遊びに行ける場所があるといいのに」というひと言が印象に残っています。最近は学校の図書室やプールの解放がなくなり、熱中症が心配で長時間外で遊ばせることもできません。地域の中で子どもだけで過ごせる場所は限られるため、放課後児童会へのニーズはより高いものになっているのでしょう。

そうとは言え、子どもにとって夏休みは、普段はできないことを経験したり、自分のやりたいことに思いっきり取り組んだりできる期間であるはずです。学童保育の利用を問わず全ての子どもが「楽しかった!」と思える過ごし方ができるにはどうしたらよいのか、親の都合に子どもを合わせるしかない現状に、悩みは深まるばかりです。

取材・執筆/藤田 麻希子

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