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まいごになったぞう

まだ字が読めない子が好きになる本

「まいごになったぞう」
てらむらてるお文・むらかみつとむ絵 偕成社

まいごになったぞう

絵本とか童話を買うのは、子どもではなく、大人だ。
一応子どもに選ばせたとしても、大人が見て、「これならいいわ」なんて思った本。
もちろん、本を買うお金は子どもが働いて得たお金ではないし、入園前の子どもに、優良図書の選定眼は期待できないし、絵本って結構高いから、どれもこれも買うことなんてできないし…、それは大人の理由としては仕方がないことかもしれない。

でも、大人が選ぶ本が、子どもが好きな本かというと、それは違うことが多い。
子どもは、意味がない言葉の繰り返しや、ある単語に「はまる」。
それが、大人には、ちょっとつかみにくいのだ。
この、「まいごになったぞう」は、見ていても楽しいが、何を言われても、「あばば、うぶー」と答える赤ちゃんぞうのセリフがリズミカルで、聞いている子どもたちの、うれしくてキャーキャー笑う声が聞こえてきそう。
内容は、タイトル通り、まいごになったぞうが、いろんな動物に助けられて、
お母さんのところにたどり着く、というもの。
文は「王さまシリーズ」や「おしゃべりなたまごやき」で有名な、寺村輝夫さん。
簡潔で、実際的。リズミカルな文章である。
絵は、私の本の挿絵も書いてくださっている、村上勉さん。
赤ちゃんぞうが、ごろんごろん転がっている姿は、とても愛らしい。

この本は、「信じる心」とか「やさしさ」がある。
でも、このお話に出てくる動物たちは、誰かが責任を持ってお母さんのもとに送り届けてくれるわけではなく、とりようによっては、キケンな森の中に、運が良ければ助かるよ、と放り投げる。そこに引っかかる人もいると思う。
子どものために購入する本は、ぜひ一度、図書館などで読んでみてほしい。
そして、気に入ったら、ぜひ購入してください。
きっと、小さな子どもが、べたべたの手で持ち歩きたい本になると思うから。

文/池川恵子さん

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