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いたずらきかんしゃちゅうちゅう

「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」
文・え バージニア・リー・バートン
訳むらおかはなこ

いたずらきかんしゃちゅうちゅう

この一冊を選ぶということはとても難しい。とても優れたいい本といわれるものでも、この子の今にぴったりのものはと思うと・・・ また、今だけ楽しめればというものでもない。男の子、女の子だから、3歳だから、でもないし、個性、環境・・・挙げていくと切がない。それでも、一生のうちに一度は通ってほしい世界はあると思う。それもできれば子ども時代に。

ほとんどを新しい本(新刊本という意味ではない)が占めている文庫の本棚の隅に色あせて、シミがつきボロボロになったのを修理した絵本たちが並んでいます。学生時代から集めていたこれらの本(エッツとバートンのものが圧倒的に多い)は、一見地味な印象を与えるものが大部分(エッツ、バートン以外では、「はなをくんくん」「おやすみなさいのほん」「はなのすきなうし」「サリーのこけももつみ」など)だったのですが、それらの本が子どもたちの気持ちをひきつけ、くり返し楽しませ、心に深く残っていく本になることを実感しました。それは、子どもの感じ、想像する力を見直すきっかけになりました。

いたずらきかんしゃちゅうちゅう

のりもの好きの息子の心をとらえたのは、やはりのりもの絵本で、ふだんの会話にも「やえもん」「じぷた」「メアリ」「メーベル」などが出てきました。中でもバートンさんが機関車好きの長男アリスのために書いた「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」に案の定はまりました。「やえもん」に心を寄せ、「じぷた」に声援を送り、「のろまなローラー」に自分を重ねていたと思われる息子は「ちゅうちゅう」といっしょに「ハチャメチャな冒険」(バートンさんいわく)に出かけていたのでしょう。若い「ちゅうちゅう」をとりまく機関士ジム、機関士助士オーリー、車掌のアーチボールド、そして元機関士の老人などの登場人物も魅力的です。木炭で画面いっぱいダイナミックに描かれた絵と声や音が聞こえてきそうだったり、気持ちまで表現している文字の大きさや文の配置はぴったり調和しています。
見返し(ここだけカラー)にも心使いが見られ、子どもたちへの愛情が伝わってくる「行きて帰りし物語」の一つです。

最近の子どもたちのことばの軽さ、弱さ、浅さを思うとき、人と付き合うことを大切にするライフスタイルを持ち、「よい本を作ること、そうでなければ全然やらない方がまし」と言い切り、寡作を通したバートンさんの絵本を選んでみました。

文/村上節子さん

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