子育てのヒント

フロプシーのこどもたち(ピーターラビットの絵本3)

2017年6月16日

以前この欄で「ピーターラビットのおはなし」を紹介したことがありますが、これはそのシリーズの3作目です。ピーターも登場しますが、この本で活躍(?)するのは、ピーターの姉妹のフロプシーとその六匹のこどもたち、ピーターにとっては甥や姪たちです。それからピーターのともだちのねずみトマシナ・チュウチュウです。そしてピーター一族の宿敵ともいうべきマクレガーさんも登場して、またしてもはらはらドキドキの展開となります。

フロプシーのこどもたち (ピーターラビットの絵本 3)
ビアトリクス・ポター
福音館書店
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れたすをたべすぎると、『さいみんやく』のようにきくということです・・・「ほんと?」と思う間もなくフロプシーのこどもたちは、マクレガーさんのごみすて場に捨ててあったレタスを食べて、ほんとうにぐっすりと眠りこみ、マクレガーさんに捕まってしまいます。でも大丈夫、今回はピーターのともだちのトマシナ・チュウチュウが一役買って、救出に成功します。

と、ストーリーはこの通りなのですが、注目はマクレガーさんの描写です。こうさぎをつかまえてほくほくと喜ぶ様子や、こうさぎを殺した後の使い道のことで奥さんと言い争う様子などが滑稽で愉快です。読者は、こうさぎたちはすでに逃げて、袋の中にあるのはくさったやさいのしんやしなびたかぶであることを知っていますから、1作目で我らのピーターをあれほど怖い目に合わせたマクレガーさんの失敗に、大いに留飲を下げることができます。

こどもたちは、愛らしい姿の小動物たちに起こる出来事をはらはらどきどきしながら追うとともに、ちょっぴりわさびを効かせたことばの端々から、作者ポターのしたたかさと上質なユーモア感覚をもしっかり受け取ることでしょう。

この「ピーターラビットの絵本」シリーズは全部で24冊出ていますが、小型で絵が繊細なため、図書館や保育園などの大勢を対象とした読み聞かせには向きません。そのうえ対象年齢も本によってまちまちですので、子どもと出会わせてあげるのが難しい絵本です。でも、一旦この世界に入り込むと、親子共々その魅力の虜になりますよ。我が家では、二人の子どもと一緒に約10年にわたって楽しませてもらいました。今でも、ピーターラビットシリーズの表紙を見ると、親子三人肩を寄せ合って、はらはらドキドキわくわく、そして顔を見合わせてくすくす笑った日々が、懐かしく思い出されます。


文/子どもと絵本ネットワークルピナス代表  松本なお子さん

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