ぴっぴの防災ブログ

3.11から7年 いま、私たちが被災したら?(1)

2018年3月10日

東日本大震災から7年。2011年3月11日から今までには、熊本地震(2016)、九州北部豪雨(2017)などの大災害もありました。

中でも東日本大震災は未曽有の大災害と言われます。津波被害も大きく、非常に多くの方々が家を失い避難所生活を余儀なくされ、避難所生活を送る中でそれまで気づかなかったような不便なこと・困ることがたくさん起こりました。そのことを踏まえて、災害に対する人々の意識も変わり、災害への備えや災害時の対処に変化があったのではないかと考えました。

そこで、ぴっぴ(認定NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴ)では、これまでを振り返り、避難所・自宅避難を対象として国や団体が出した報告書や、被災地に支援に入ったNPOやNGOの方々に意見を聞きながら、ぴっぴなりの考えをブログに綴ることにしました。よろしければご参考にご覧ください。

※ぴっぴは子育て支援団体なので、女性、乳幼児家庭を中心とした内容について掲載しています。

<1>避難所での授乳・トイレ等 女性専用スペースの確保

東日本大震災では、体育館などに数千人が避難し、そのまま避難生活を送ることになった避難所もありました。避難所での様子は発災直後から数日、数週間、それ以降と時期によって状況が変わっていきますが、困りごととしてあったのが、授乳、着替え、洗濯物の干場、そしてトイレなど女性専用のスペースの問題です。東日本大震災の時と熊本地震の時を比べると、どのように変化したのでしょうか。(注:すべての避難所で起こったものではありません)

1. 授乳スペース・更衣室

避難所の様子

東日本: 授乳できる場、着替えできる場が無かった

避難者が多かったため、狭いスペースに男女が一緒に生活することになりました。そのため、授乳時に周囲の目が気になったり、ストレスで母乳が出なくなったりしたケースもありました。避難所運営側もプライバシーの必要性の認識が低く、避難生活開始後数日、またはしばらくしてから配慮され始め、対処されていきました。

熊本:女性更衣室が設置されたところも

女性専用スペースの必要性についての認識が広がっており、自治体によっては避難所運営マニュアル(★)の中に「女性専用スペースを設けるように」との記載があるところも増えています。実際に熊本県の避難所では、ボックス型の更衣室が設けられていたところがありました。

2.  トイレ

仮設トイレの様子

東日本:トイレが使いづらかった

仮設トイレは、和式のため段差が高く、妊婦や足腰の弱い人には使いづらいものでした。また、トイレの利用頻度が高いので汚れも目立ち、そのため、トイレに行くことを控えようとして膀胱炎など泌尿器感染症になる人もいました。トイレの場所が屋外にあるため夜は暗く、防犯上、女性だけでは行かないようにという注意が払われました。

熊本:女性専用トイレが設置された

女性専用トイレの数を増やす、明かりが届く場所に設置する…などの配慮がされるようになったところは、過去の災害を踏まえて改善された点ですが、相変わらず和式トイレが多いので、ポータブルの洋式用便座を使うという工夫がされました。

3.  乳幼児の夜泣き

東日本:配慮されなかった

周囲から注意された、母親が気を遣って避難所の外に出てあやしたなどという経験談がありました。多くの避難所での生活は過酷でしたが、中には一室を専用スペースとして開けてくれた避難所もありました。

熊本:配慮はあったが…

避難所のレイアウトやプライバシー確保について徐々に理解が広がりました。子どもがいる家庭同士を集めた部屋を確保してくれるところもありましたが、スペースがとれないところはどうしても周囲に気を遣って避難所に居づらくなる人もいます。そのため、夜泣きが始まると、車中泊で過ごしていた人もいました。

4.  洗濯

東日本:洗濯ができない、干せない状態だった

ライフラインが復旧するまで、洗濯ができないために苦労したという声が聞かれ、中には川で洗ったという岩手県の母親たちもいました。仙台市では、洗濯代行ボランティアを立ち上げて女性のニーズに答えられるように活動した団体もありました。

熊本:洗濯スペース、コインランドリーなども

東日本大震災での経験から、女性専用の洗濯物干し場の確保など環境改善が行われました。コインランドリーが使える場所などの情報が民間からネットで発信されていました。

■東日本大震災から7年を迎えて、どう変わった?

女性専用のトイレやスペース確保の意識は、東日本大震災以降、徐々に男性にも理解されてきているようです。各地で今も災害支援を行うNPOの方々の声を聞くと、「感覚としては、東日本大震災以前と以降では、明らかに認識が高まっていることを実感しています」とのことです。

しかし、九州北部水害では、「仕切りなどでプライバシーの配慮をすることはできたが、知っている仲であり、期間も比較的短いなどから、あえて仕切りをしないなどの選択肢をとった避難所も多かった。ほんとうは仕切りをしたかった人はいるに違いなかった」という声もありました。避難所運営者が良かれと思ってしたことかもしれませんが、プライバシーの配慮をするべきだった例ですね。誰かが勇気を持って、「必要だ」と言わなければならなかったかもしれません。

災害支援を行うNPOの方によると「行政の作る運営マニュアルには、更衣室、授乳室設置はほぼ言及されていると思います。ただ、実際の被災地は本当にばらつきがあります。設置の必要性の視点と、設置方法(場所、物品、使い方のルール、使う人の選定)などがわからずに、保健師やNPOの手が入らないと設置されないままというところもあります」とのことです。

行政としては既に「女性専用スペースは必要だ」とマニュアルに明記していても、現場で避難所を運営する人々に理解がなかったり、知識がなかったりしているのが現状です。

みなさんが、自分自身が被災してしまったらどうしますか? もし困っていても、黙って避難所運営者に従いますか?

そうなる前に、防災訓練などで互いに理解を重ねておくこともたいせつなことなのかもしれませんね。避難所運営ゲーム(HUG)などを防災訓練で行う地域もあるようですから、その中で上にあげたような課題を大いに話題として扱ってほしいですね。

★ 東京都福祉保健局「避難所管理運営の指針(区市町村向け)」(2013年2月)

<参考資料>

  1. 東日本大震災女性支援ネットワーク「こんな支援がほしかった!現場人学ぶ女性と多様なニーズに配慮した災害支援事例集」(2012)
  2. 熊本市男女共同参画センターはあもにい「避難所キャラバン報告書」(2017)
  3. 内閣府男女共同参画局男「女共同参画の視点による 平成 28 年熊本地震対応状況調査 報告書 」(2017)

<取材協力団体(順不同)>

震災がつなぐ全国ネットワーク、NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク、日本財団、認定NPO法人レスキューストックヤード

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