TOPぴっぴのブログ特集記事子育て応援企業紹介浜松初! 女子野球チーム発足を応援する「常盤工業」

子連れでおでかけ

子育てのヒント

特集記事

お気に入り

特集記事を検索

浜松初! 女子野球チーム発足を応援する「常盤工業」

浜松リッターズ

昨年12月、浜松で初めて女子小中学生の野球チーム「浜松リッターズ」が誕生しました。このチームをバックアップしているのが浜松市中区にある総合建築会社「常盤工業株式会社」です。女子野球といえば、2020年に東海大翔洋高校、2022年には静清高校と、県内で初めて女子野球部が創設されることが話題となっていますが、男性社会と思われる建築業界の企業がなぜ女子チームをサポートするのか? リッターズの代表も兼任する市川浩透社長の思いと会社として取り組む理由、チームの様子を取材してきました。

地元で思う存分野球に打ち込む環境を

浜松の志のある女の子たちが野球を諦める現状

市川社長

市川社長が女子野球と出会ったのは4年ほど前のことでした。小学生の頃ソフトボールをしていて、テレビでプロ野球を見て育った経験から、スポーツ観戦が好きでした。ある時京都へ出張に出かけた際、女子プロ野球のナイター戦があることを知り、初めて見に行ってみました。実際目の前で観戦すると、想像以上に見ごたえがあり、女子プロ野球のレベルの高さに驚いたそうです。2009年に「日本女子プロ野球リーグ」が発足して以降、全国各地に女子野球チームが増えていきましたが、当時静岡県にはほとんどなく、野球をやりたい女の子たちは、スポーツ少年団で男の子に混じって活動するしかありませんでした。実は、県内の女子は小、中学までは競技人口も多く、レベルも高い。スポーツ少年団のエースが女の子だというケースもあるほどなのです。
しかし、そんな優秀な選手も中学や高校進学時には、県内で競技する場所がないため、県外へ活躍の場を求めたり、やむなく他競技に移ったりするしか選択肢がありませんでした。市川社長はそんな現状を知り、いつかチャンスがあれば地元に女子野球チームを作りたいと思っていたそうです。
「野球の志のある女の子たちが、地元浜松で思う存分野球に打ち込める!」こんな環境を提供する手助けがしたいという思いで、リッターズを設立しました。

野球を通じて、他人を思いやる心「利他」を

浜松リッターズ

チーム名は、ドイツ語で騎士を意味する「リッター」と、常盤工業の社是「利他」を掛け合わせたものだそうです。この社是のように、他人を思いやる気持ちを野球を通して育んでいきたいと考えています。
リッターズは現在中学生チーム6名、小学生チーム2名で活動しています。中学生チームキャプテンの高橋美結さんは現在中学2年生ですが、小学生までスポーツ少年団でプレーしていました。野球を始めたのは、1つ年下の弟が入団したのがきっかけ。やっていくうちに弟より自分の方が野球に夢中になり、結局小学2年生から4年間野球を続けました。しかし中学になると他の部に入部せざるを得ず、陸上部に入部。今回、このリッターズ設立を知り「野球をやりたい!」と思い入団を決めました。

浜松リッターズ

「リッターズの練習はどう?」と聞くと、「とにかく楽しい!」と話します。「女の子の中でやる方が話しやすいし、気が楽。毎週みんなに会えるのが一番の楽しみ。早くみんなで試合をしに出かけたい」と笑顔で答えてくれました。野球を好きな事はもちろん、野球を好きな友だちと一緒にプレーする事が、楽しさを2倍3倍にしていました。

常盤工業の果たす役割  

浜松リッターズ

リッターズのバックアップを常盤工業が一手に担ってくれるおかげで、監督や選手たちは練習環境やチーム運営が安定し、プレーに専念することができています。練習に使用している旧遠州浜小のグラウンドは、リッターズが専用で借り受けています。2011年の廃校以降そのままになっていたグラウンドは、腰の高さほどある雑草がうっそうと生えていたそうです。手作業のレベルではなかったためそこに重機を入れ、雑草を抜き土を入れ替えてグラウンドを大幅整備しました。トイレやネットなどを設置し、周辺の練習環境も整えました。現在はとてもきれいなグラウンドなので、その当時の様子など想像できないほどです。
また、スタッフ体制もしっかり整っていて、監督、コーチをはじめ、トレーナー、チームドクター、理学療法士まで、市川代表の伝手で、リッターズに協力してくれる方20名以上が名を連ねています。その中には甲子園経験者に加えて、現役大学生の野球部で活躍している女性もいて、技術はもちろんのこと、メンタル面などもサポート体制を整えています。

常盤工業

市川社長は「もともと男性社会でやっていこうとする女性は志が強く、しっかりしているが人が多い」と言います。常盤工業は現場監督や建築士といったポジションにもいち早く女性を起用し、建築業で働きたい女性が男性と同じように活躍できる場があります。そこには女性の可能性を理解している市川社長ならではのこれまでの経験がありました。社長は大学卒業後、すぐ東京のリクルート社に就職。もう30年以上前の話ですが、その当時から職場には男性同様にバリバリ働く女性が多く、男女の区別なく働ける環境がありました。その後家業の建設業を継ぐべく地元に戻ってきたときには、前職とは一転し男性ばかりでしたが、リクルートでの経験から徐々に女性採用に力を入れていきました。男性主体というイメージが強かった建設業界でもいきいきと働く女性の姿を目にし、どんな業界でも現場を支える大きな力になると確信しました。女性の活躍を信じ応援していくという姿勢は、リッターズに通じるものがあります。

全国レベルを目指し、浜松を盛り上げたい

幅広い年齢の子どもたちが野球に挑戦

浜松リッターズ

リッターズの小学生チームには現在小学2年生が1人、年長が1人在籍しています。この日は2人、体験の子も参加していました。中学生とは別メニューで、円柱の上にボールを置き、止まっているボールをバットで打ってみたり、転がってくるボールをキャッチしたりと積極的に取り組んでいました。時には自分も転んでしまうこともあるけれど、そんな時も笑顔でいっぱいで、泥まみれになりながら夢中でボールを追いかけていました。女の子のママに話を聞くと、ママ自身も学生の頃、野球をやりたかったけれど女子はいなかったため、中学高校と野球部のマネージャーをしていたとのこと。「本当は私も一緒にやりたいくらいです!リッターズはまだ始まったばかりなので、一から作っていく楽しみがあります」と話してくれました。子どももこの練習を心待ちにしていて、親子で毎週の楽しみが増えたそうです。リッターズと共に成長していく、次世代の選手です。

これからの浜松を盛り上げる存在に

今後のリッターズはまずは部員を増やし、他のチームと試合をしていきたいとのこと。「ゆくゆくは全国に通じるチームを作り、女子野球を盛り上げ、浜松を元気にする存在になりたい。また、地元の奉仕活動などにも参加し、地域へ貢献していき、地元のみんなに愛されるチームにしていきたい」そうです。コロナの影響で6月からやっと活動開始となったリッターズの歴史はここから始まります。

会社概要

常盤工業株式会社 

創業は今から約一世紀前の大正15年4月。現在の市川浩透社長で3代目になる建築業界の老舗企業。建築物や土木インフラや住宅を作っています。社是は「自利 利他」。企業の社会的責任(CSR)を果たしながら内外において、持続可能な課題に積極的に取り組み、数々の認定、認証を受けています。

常盤工業株式会社
所在地:浜松市中区新津町197番地
TEL:053-461-9155
URL:https://www.tokiwak.co.jp/

浜松リッターズ メンバー随時募集中

浜松リッターズ

【対象】幼稚園・保育園年長〜中学3年生までの女子。経験不問。
【練習】
〈中学生チーム〉
・毎週水曜日の19時〜21時(主に入野中)
・土日のいずれか1日(旧遠州浜小グラウンド)
〈小学生チーム〉
・土日のいずれか1日(旧遠州浜小グラウンド)
【URL】https://2020ritters.localinfo.jp/
【問合せ】市川代表 h-ichikawa@tokiwak.co.jp

取材を終えて

私自身、女子野球を目の前にするのは初めてのことでした。野球といえば男の子のスポーツというイメージが強かったので正直想像がつかなかったのですが、ユニフォーム姿はとてもかっこよく、きれいなフォームとダイナミックなバッティングに驚きました。何より女の子たちから、「野球が大好き!野球ができて嬉しい!みんなとやると楽しい!」という気持ちがあふれていて、みんなの笑顔がキラキラと輝いていました。その子たちを支えている市川社長、監督、コーチたちの見守る目も温かく、みんなでこのチームを作っていくんだという雰囲気が伝わってきました。ただ強いチームを作るということではなく、野球を通じて人を育て、地域に貢献していくという理念も、子どもを安心して託すことができる環境だなと感じました。今後このグラウンドが野球を楽しむ女の子たちの拠点となり、盛り上がっていく日が楽しみです。

取材・執筆/三浦 貴子

カテゴリー

このカテゴリの記事

特集記事を検索

特集記事
を検索

このページの先頭へ