子連れでおでかけ
子育てのヒント
特集記事
特集記事を検索
休校中の子どもの学習、どうしている?
新型コロナウイルス感染が拡大し、今春は卒園・卒業式、入園・入学式も簡略化され人数制限されてしまい、残念だった方々も多かったことでしょう。そしてほどなく休園や休校。家庭での自粛生活に突入してしまいました。公共施設は軒並み休館。公園も行けない状況でした。そしてご存知のとおり、小学生以上は家庭学習を行わざるを得ない状況が5月末まで続きました。
その間、家庭内での子どもたちの学習生活はどうなっていたのでしょうか。
アンケートから、いくつものキーワードが浮かびあがってきました。今後の第2波やまた他の感染症が流行したときに備えて、家庭や学校ができることを考えていきます。
アンケート実施期間 2020年5月2日~5月29日
対象 浜松市在住で小学生以上のお子さんを持つ保護者
回答総数 166件
家庭学習、学校で出された課題や問題集をやるのに精いっぱいだった?
本来、新学年の最初はこれからどう学んでいくかのスタート地点です。そんな時に家庭での自粛生活に入ってしまったため、子どもたちも親もどのように学習していけばいいのか戸惑いは隠せません。
Q1. あなたの家ではどのような家庭学習を行っていますか?
(複数回答 n=166)
一番多かったのは「学校で出された課題や問題集」。9割の家庭が行っていました。中には併用して「市販の参考書や問題集」や「定期的にくる通信教育」などもやっている子どもたちもいましたが、3割程度。
「学校から指定された動画」は、学校からアドレスが配布されたにも関わらず、3割にも満たない子どもにしか見られていませんでした。
考え、ときに苦心しながらかかわる親も
ひらがなの練習、数を数える練習、教科書を読んで一緒に考えた。(小1ママ)
慌てて書店へ走り、市販の参考書やドリルを買って子どもに行わせた。ただ、どうしてもリアルタイムで「できた」「できない」の判定が無いことから、親が添削して、子どもに伝えるので、そもそも学校の教え方や指導内容と合っているのか分からず、責任感に比例して疲労感も強くなる。(小1ママ)
他の子どもと差ができないか?不安な親心
長い自粛生活の下、他の家庭との交流が途絶えてしまっており、よその子はもっと勉強しているのではないかと気になってしまうのはどこもみな同じのようです。
Q2. 家庭学習についての不安や困っていることはありますか?
(複数回答 n=166)
学習面では親の心配はことさら大きいようです。
他人の子との学習差ができないかと心配しながらも、わが子が「自主的に取り組めていない」とジレンマを持つ親はそのうち半数いました。このほかに、仕事でずっと家にいられないので「親がつきそって教えられない」という回答者が半分ほどいました。
家庭学習、親はどこまで関わるべき?
学校でできない分もっと学習をさせたいが、何がいいか分からない。(小3ママ)
課題が多い。未学習範囲の内容が含まれている。“未学習範囲については、ご家庭で教えてください。学校がはじまったら、履修済みとします”と担任から言われ困惑しています。(小1、小5、中学生ママ)
学校教育・学習に慣れていないのに、家庭学習を自主的に取り組めない。苦労しています。未学習範囲の学習をどこまで進めるべきか。未学習範囲の学習を担うのは学校なのか家庭なのか??(小1ママ)
学習以外にも不安なことはたくさん
Q3. 家庭学習以外で不安に思うことは?
たくさんのご意見の中から代表的なものを掲載してみました。
みなさんはどんなふうに思われますか?
体力・視力の低下が心配
スマホで、YouTubeばかり見ています。姿勢や視力に影響がでるのではないでしょうか。(中学生ママ)
集中力が低下している気がします。以前の学校生活のリズムに子どもが戻れるのか不安です。学校はまずは子どものメンタルに寄り添って欲しいと思います。新しい学年にもクラスにも担任にも全く慣れていません。(小2ママ)
体力が落ちてしまって、学校が再開されても体がついていけるか心配。(小4パパ)
家にずっといることで体力が落ちています。身体を動かさないので食べ盛りの我が子の体重増加が目に見える程。学校の勉強だけでなく習い事も休みになり、友達とも遊べず、家で出来ることにも限界がきており子供のストレスを感じます。(小4ママ)
コミュニケーション不足。心の成長への影響が不安
伝達方法や他人を思いやる心などの社会的な部分の心の成長が不安。(小3ママ)
小学校1年生で、最初の1,2か月がとても大事な時期だと思うのですが、お友達の顔も名前も覚えられず子どもも不安を感じています。久しぶりの登校日の朝、学校へ行きたくないと泣きだしてしまいました。(小1ママ)
家族としか話さない日がほとんどで、精神的に辛いと思います。(中学生ママ)
ネット利用に対する不安
YouTuberなどが紹介する情報にかなり影響されています。欲しがる物や聴く音楽も「動画で誰かがいいと言っていた」ということが増え、友達と交流ができない分、新しく知ることはほぼ動画サイトからという状況。興味の幅が広がることもあるかとは思いますが、このままでいいのか不安になります。(小5、中学生ママ)
誤って、有料サイトなどへ移行してしまったりしていないか。友人とのSNSでトラブルにならないか。(小6、中学生ママ)
公園に遊びに行ったり、友達と約束して遊んだりすることもできないので、制限するわけにもいかず、ずっと動画やゲームの毎日。ひとりで留守番のときは一日中。依存症になるのではと心配になります。(中学生ママ)
まとめ
全体として、家庭学習に関する親の不安度は高かったと言えるでしょう。
家庭学習は「学校で出された課題や問題集」をこなすだけが9割。設問では学習の量については聞いていませんが、親の中には課題が多いと不満を述べられていることから、相対的に多かったのではないかと判断しました。
そのためなのか、学校や国が作った省庁や企業の学習支援サイトはほぼ見られていません。
アンケート回答者は、「昼間自宅にいる」が49%、「昼間職場にいる」が51%でした。
特に昼間職場にいる親は「親がつきそって教えられない」ため、「他の子どもと差がつくのではないか」と不安が高い。中でも“全く宿題をこなせていない子どもに対して勉強をみてあげなくてはいけないが、仕事を休めない”、“休日に保護者が勉強を教えても、反抗してばかりで進まない”というジレンマがあるようです。
自粛生活が長く続くと、運動不足、心の成長をどうやって育むか、テレビやゲームによるネット依存と共に視力の衰えなど懸念材料はたくさんありました。
様々な不安が渦巻く中、見えてきたのは、ネット社会がいかに進展しても、学校はとても重要な学びの場所であることです。集団生活の中でお互いを尊重し、ともに学び合えることがどんなに大切か。
それぞれの子が自律できるように育てるために、保護者も教師も真剣に子どもの学びについて考えなくてはならないのです。
一緒に料理をする。洗濯物の畳み方を教える。(小3ママ)