子連れでおでかけ
子育てのヒント
特集記事
特集記事を検索
おうち時間を楽しもう♪ 子どもと一緒に野菜づくり
家で過ごすことが増えた今、自宅で親子共に充実した時間となるイベントはないかと頭を悩ます日々です。そこで気になるのが、長い時間楽しめそうな家庭菜園です。ホームセンターを訪れると、今は夏野菜の苗がたくさん並んでいますが、「準備が大変そう」「場所を取るから」と諦める人もいるかもしれません。子どもと一緒に気軽に始められるおすすめの野菜や失敗しないコツを家庭菜園のプロに取材しました。この機会に、子どもと一緒に野菜づくりに挑戦してみませんか?
始める前に知っておきたいこと
アドバイスしてくれるのは、10歳5歳の姉妹のママでもある家庭菜園アドバイザーの杉山真菜実さんです。小規模農家として本格的に農業に取り組み、浜松を中心に野菜づくりの講座開催や珍しい野菜の販売もされています。
「せっかく始めるなら、失敗したくない!」ということで、まずは始める前に知っておきたいことを教えてもらいました。
失敗しないためのポイントは「植える時期」
まず「これは大切!」と力強くアドバイスをされたのは「植える時期」についてです。「種や苗の販売はシーズンに関係なく見かけるようになりましたが、それぞれの野菜に合った季節に植えることが大事。夏野菜を植えるなら、ゴールデンウィーク頃がベストです! 雨が続くと、苗は腐ったり病気になったりしやすくなります。梅雨に入る前に、苗がある程度大きく強くなっていると、そこを乗り越えることができます。説明書きにある『まきどき』というのは、“失敗しない時期”なんです」ということです。これは、すぐにでも準備しなくては!
百円ショップでほとんどのものが揃う
「種や苗、道具を揃えよう!」と、すぐにでもホームセンターや園芸店に向かいたくなりますが、その前にまず家の中を見回して、と杉山さん。「初めての家庭菜園で、あれもこれもとたくさん準備する必要はありません。百円ショップの園芸コーナーや家にあるものでも対応可能な道具はたくさんあります。使っていないプランターもひとつふたつ、あるのでは? 準備時間や金額の負担が大きいと、続けるのも大変です! まずは気軽に手に入るもので始めてみましょう」。支柱や茎を止めるバンドは、割りばしや麻ひもなどでも代用可能とのこと。成長したらまた必要なものを買い足す形にすれば、負担も少なくて済みますね。
気を付けて
園芸用の土は、肥料が混ぜられていてトキソプラズマ症に感染する可能性があります。特に妊婦さんは「手袋をする」「終わったらしっかり手を洗う」などを徹底し、土からの感染に注意してくださいね。
シチュエーション別 おすすめ野菜3種
季節に合った野菜の中でも、種類や品種が多くて、購入に迷ってしまいます。親子におすすめの野菜や栽培のポイントは何なのでしょうか? 杉山さんにスタートしやすい3パターンを教えてもらいました。
準備はこれだけ!
- スプラウトの種
- プラカップやコップ
- キッチンペーパー
- 霧吹き(あれば)
だからおすすめ!
- 虫が苦手な子でもチャレンジOK
- 天気に左右されずいつでもできる
作業
キッチンペーパー2枚ほどをちぎって、ふんわりとカップの底に入れる。パラパラと種を広げ、ペーパー全体を湿らせる。
コツ
- ペーパーが乾かないよう1日1回程度水をあげる。
- 根が伸びてきたら古い水を捨ててから保水するようにし、カビを防ぐ。
- ふたばが出たら、日に当てる。
準備はこれだけ!
- 枝豆の種
- 野菜用の土
- 小さめの鉢(今回は高さ14.7cmの7号鉢)
- 軍手やシャベル
だからおすすめ!
- 少ない土でもたくさん収穫できる
- 背丈が高くならず場所を取らない
作業
土を鉢の8分目ほど入れ、種を入れるくぼみをつくる。1か所に4~6粒ほど入れて土をかぶせたら、全体にしっかり水をかける。
コツ
- 数個ずつまとめて撒き、茎が伸びてもお互いに支え合うように育てる。
- 実ができたらネットをかぶせ、カメムシなどが付くのを防ぐ。
準備はこれだけ!
- ミニトマトの苗(種から栽培する場合は2か月ほど余分にかかる)
- 野菜用の土
- 深さがある鉢(今回は高さ28.3cmの9号鉢)
- 支柱と固定するバンドや紐
- 軍手やシャベル
だからおすすめ!
- 花から実が色づくまで見た目も楽しい
- 料理で活躍する幅が広い
作業
ビニールポットからていねいに苗を外し、半分ほど土を入れた鉢に置く。周りを土で埋める。支柱などを添えて支えたら、全体にしっかり水をかける
コツ
- 深い鉢に植えることで、栄養がいきわたりたくさんの実がつく。
- 主幹と葉の付け根から出てくるわき芽を小さなうちに摘み取り、花芽を成長しやすくさせる。
苗を扱う手順が大切
トマトに限りませんが、苗を外すときはやさしく「チョキ」で挟み、そのままひっくり返してビニールポットを外すと苗をいためません。
土を入れた鉢に置き、土を足したらやさしくまわりを固めます。
野菜づくりは、家族にいいこといっぱい!
タキイ種苗(株)が実施したアンケート(全国の20歳以上の男女600名)では、約半数の人が家庭菜園の経験があり、その7割以上が子どもと一緒に始めているそうです。(2019年度 野菜と家庭菜園に関する調査 )
それだけ子育て家庭に人気がある理由は、
- 子どもの野菜嫌い克服のきっかけになる
- 無農薬で安心して食べられる
- たくさん収穫できたら家計が助かる
- 育つ過程が楽しめ、理科の学習にもつながる
など、子どもの成長にも家庭にもいいことがたくさんあるからです。水やりのお手伝いや成長記録つけなどを日課にすれば、日に日に成長する姿に愛着がわき、収穫がより楽しみになりますね。
家庭菜園の魅力にはまったら「貸農園」を利用
手軽に始められる家庭菜園ですが、「野菜づくりをもっと極めたい!」という家族には、畑を借りる方法もあります。浜松市が管理する「市民農園」を申し込めば、良心的な金額で1年ごと契約ができ、野菜づくりに利用することができます。
市民農園のすすめ(浜松市)
ぴっぴのパパ特派員ちゃちゃきさんも、子どもと一緒に畑で野菜づくりを楽しんでいます。広い畑で過ごす時間は、家族がのびのびでき、充実感いっぱいのようです。
近所の休耕地を借り、野菜づくりを楽しんでいます
妻も私も食に関心があり、自分たちが食べる野菜は自分たちの手でつくりたい! という思いから、野菜づくりを始めました。
子どもたちも畑が大好きなので、週末は家族そろって畑で過ごします。マンション住まいなので、外で自由に過ごせる畑は、貴重な場所です。
野菜づくりとともに、土遊びをしたり、昆虫を捕まえたり、花を摘んだりと楽しく遊んでいます。様々なモノに触れて成長していく子どもたちの姿を見られることは、野菜づくりの魅力のひとつだと思います。
取材を終えて
休校対策としてインターネットを利用するツールはどんどん増えているものの、もっと手や体を動かす「体験」が自宅でできればと思っていたところ、「家庭菜園」は今まさに子どもたちと一緒にチャレンジしたいものでした。思ったように苗が大きくならず収穫できなかった経験から苦手意識がありましたが、思えば見た目で選んだプランターに、時期も気にせず植えていたからでしょう。野菜ごとの特性を知ることは、子どもたちに新たな発見を与えてくれるだけでなく、家庭菜園がうまくいく秘訣だということがわかりました。野菜づくりに挑戦することで、成長や収穫を楽しむ「ワクワク」と、緑が与える「癒し」の時間が生まれそうです。
取材・執筆/makiko