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もっと知りたい 「認定こども園」

2006年、政府が新しい子育て支援策として法制化した 「認定こども園」の制度。
「保育園と幼稚園の機能を併せ持つ」というのが大きな特徴で、浜松市にも現在3つの認定こども園が誕生しています。でも実際、今までの保育園、幼稚園との違いはどんなところなのでしょうか? 
「一日の流れは?」「入園申し込み方法は?」素朴な疑問が続々と出てきます。
そこで今回は、意外と理解が進んでいない認定こども園に着目。昨年から認定こども園となった浜松市南区の「ずだじこども園」でお話を聞いてきました。

なぜ、認定こども園が誕生したの?

認定こども園

文部科学省が管轄する幼稚園と、厚生労働省の管轄にある保育園。これまで、幼稚園が “幼児教育” を目的とするのに対し、保育園は就労等で昼間家庭で保育ができない親の代わりに “保育” することを主な目的としていました。

少子化が進み、全体では子どもの人数が減っていますが、共働きの家庭が増えたことによって保育園の希望者は増加し、幼稚園の入園者数は減るというアンバランスが生じています。
また、保護者からは、発達に応じた教育を幼稚園でも保育園でも同じようにしてほしいという要望もあがってきていました。

それならば、幼稚園だから、保育園だからと区別しないで、就学前の子どもの育ちの場をつくろうという幼保一体化の流れの中で誕生したのが“認定こども園”です。

親が働いているかいないかにかかわらず就学前の子どもに幼児教育・保育を一体的に提供し、地域における子育て支援を行う役割をもった施設を各都道府県知事が認定しています。

子どもたちの一日の過ごし方 「ずだじこども園」の例

今回取材した「ずだじこども園」は、敷地内に保育園と幼稚園が隣接して建てられている幼保連携型のこども園です。3歳以上の子どもたちが一緒に過ごす共通時間があるほか、年間行事についても、幼稚園の子どもたちと保育園の子どもたちが一緒に参加するように組まれています。

保育園の子どもたち

0~2歳の子どもたちは、他の認可保育園と同様、登園から降園までの時間を主に保育園で過ごしています。
3歳以上の子どもたちは、登園後しばらく保育園で過ごし、8時30分になると幼稚園に移動します。共通時間は幼稚園のカリキュラムに沿って一緒に活動し、昼食も一緒に食べます。幼稚園が終わる時間になると、保育園に戻って夕方保護者が迎えに来るまでの時間を過ごします。

幼稚園の子どもたち

幼稚園の子どもたちは、基本的にはバスの送迎で通園していて、通常の保育時間の朝10時から午後2時30分ごろまでを幼稚園で過ごします。夕方までの預かり保育は以前からありましたが、こども園になったと同時に、土曜日や夏休み中なども幼稚園を開園し預かり保育を実施しているそうです。
幼稚園に通う場合でも、希望によりこれらの充実した預かり保育を利用することもできるようになりました。

認定こども園

※1日のスケジュールや、給食・お弁当の実施方法、バスの送迎があるかどうかなど、細かな部分は園によって異なります。

入園手続きや保育料は?

保育施設

“幼保一体化” を目的とした認定こども園ですが、入園手続きは一本化されていません。
今まで、幼稚園と保育園で入園手続きや保育料が違ったように、認定こども園の保育園部分と幼稚園部分でもそれぞれ異なります。

保育料に関しても、幼稚園の利用料は施設側が決め、保育園部分(認定保育所)は 、浜松市の認可保育所の保育料に準じ、保護者の所得によって定められています。

“親が働いている、いないにかかわらず利用できる” という定義で始まったのですが、実際は、待機児童の問題などから従来の保育園と同様に市が設けた基準を満たした人しか入園できていないのです。理想と現実の違いもあり、なんだか複雑で、すごく分かりにくいですよね。

制度の分かりにくさを感じているのは保護者はもちろん、現場の先生たちも同じ。
「幼稚園と保育園で入園手続きが違うのにも関わらず、認定こども園の園内でなら、幼稚園から保育園へと簡単に在籍場所を変えられると考えていた保護者の方 もいらっしゃいました」と『ずだじこども園』の園長先生。「共働きで保育園に入ったものの、会社を辞めることになったので幼稚園に移動したい」、「子どもを幼稚園に入れたけど働き出したから保育園に変えたい」など、いろいろな場合がありますが、同じ園内だからといって簡単に籍は変更できません。

“一体化”のイメージだけが強くなり、正しい情報がきちんと浸透していないため、勘違いする人が出てくるのも無理のないことかもしれませんね。

子どもたちのメリットとは?

園内の様子

では、認定こども園に通う子どもたちにはどんなメリットが考えられるでしょうか? 
この制度の当初の目的にもあったように、長時間の預かりと教育の両方が受けられるということがまずひとつ。
とはいえ、浜松市では共通の指針によって就学前の幼児教育が実施されていますので、幼稚園か保育園かによる教育面での違いはすでにありません。

それよりも、子どもたちが感じる変化としては、適切な規模のこども社会の中で生活できることではないでしょうか。

少子化により兄弟も少なくなり、家の近所で一緒に遊べる子どもも減ってきました。また、保育園の定員数は一般的に90名や120名。1学年1クラスで、お友達もあまり変わりません。しかし、幼稚園になると全体的な人数やクラスも増え、関わる人数が多くなります。実際、認定こども園に通う保育園側の子どもたちは、日中、多くの幼稚園の子どもたちと交流することで、刺激や学びが増えているのは確か。卒園後に大きな小学校に通う予定の子どもも、こうした経験があれば大人数の中でも物怖じせず、自分らしさを発揮していけるでしょう。

認定こども園は他にもあるの?

認定こども園と一言で言っても、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型の4つに分類されています。

現在、浜松市にある3園の認定こども園のうち、今回取材したずだじこども園(南区)と、聖隷クリストファーこども園(北区)の2園は幼保連携型、あそびこども園(東区)は地方裁量型となっています。

認定こども園の一覧、入園手続きや保育料については 認定こども園 のページをご覧ください。

取材を終えて

新しい時代のニーズに応えるべくして誕生した認定こども園。
今回取材をしてみて、初めて知った認定こども園ならではのいいところ。大きな規模で集団生活できることはもちろんですが、異年齢との交流もいい刺激になっているようです。そして何より、「0~2歳の子どもたちと関わるときは、みんなすごく優しい表情になるんですよー」と話す先生自身が嬉しそう。交流の幅が広がり子どもの新しい魅力を発見できることは、現場の先生たちにとっても嬉しい瞬間なのかもしれませんね。

一方、いろいろと調べてみると、認定こども園の制度自体が複雑で、理解するのに時間がかかりました。幼保連携型、地方裁量型、と何種類ものタイプに分かれていたり、入園手続きの方法が分かりにくかったり、現に子どもを通わせている保護者でさえ、よく分かっていない現状もあるようです。
2015年度からスタートさせたいと話が出ている “総合こども園” の構想も含め、まだまだ最終形とは言えません。 親としては、幼保一体化が本当に子どもにとっていい形に進んでいくよう願いながら、今後の政策に注目していきたいと思います。

取材・文/NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴ 島津順子

 

取材協力

ずだじこども園

ずだじこども園

所在地:浜松市南区恩地町291番地
TEL:053-427-2332 (幼稚園) 053-427-2111(保育園)
URL:https://zudaji.jp/

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