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あなたの子育てを応援「ファミリー・サポート・センター」
ファミリー・サポート・センター(通称ファミサポ)をご存じですか?ファミサポのおねがい会員に登録すると、生後57日目から小学6年生までの子どもを預けたり、送迎してもらったりすることができます。
今回はファミサポの活動の様子や流れを紹介するために、ファミサポを初めて利用するおねがい会員のサポートにセンターのスタッフが密着しました。
サポートする人はどんな人?
初めてわが子を他人(ひと)に預けるのは躊躇しますよね。「サポートしてくれる人はどんな人ですか?」と、聞かれることがあります。まず、サポートをしてくれる会員について紹介します。
サポートができる会員には、まかせて会員、どっちも会員があります。まかせて会員はサポートをする会員、どっちも会員は小学生以下の子どもがいて、サポートもするし、わが子のサポートを頼むこともできる、名前の通りどっちも利用できる会員です。
まかせて会員もどっちも会員も普段は仕事をしていたり、育児や孫の面倒をみていたりしています。仕事が休みだったり、家の予定がなかったりと、生活の中で空いた時間を子育て家庭のためにサポートしたいと考えて登録してくれています。登録するには24時間分の講座を5日間かけて受講する必要があるので、その間センターのスタッフも一緒に会場で過ごし、会員と話しながら人柄を知ることができます。いろいろな人がいますが、登録の動機を聞くと「子どもが好き」、「自分が大変な時に助けてもらったから、今度は自分が助けたい」、「町で見かけたお母さんが大変そうだったから」などの理由を話してくれます。そして、講習会では各分野の専門家から講義を受けるので、子どもについての新しい知識を身につけてからサポートに入ります。
おねがい会員はどんな時にサポートを利用している?
サポートの内容は大きく分けて「預かり」と「送迎」があります。
預かりは、健康診断や歯科受診、美容院など子連れで行きにくい予定がある時の依頼が多いです。また、「子どものきょうだいの行事や習いごとへの付き添い時」、「短時間の在宅ワーク」、「家事を済ませたい時」、「1人の時間を持ちたい時」などさまざまな理由で利用されています。
送迎は、産後や仕事で自分が送迎できない時の依頼が多いです。比較的送迎距離の短い範囲で、自分が運転に慣れている地域であれば引き受けてくれるまかせて(どっちも)会員がいます。チャイルドシートやジュニアシートをおねがい会員が貸し出せると紹介の確率が上がります。送迎サポートでは大人から大人に子どもを引き渡すことが必要です。
ファミサポを利用するには
サポートは日時を事前に約束します。おねがい会員が希望の日時をセンターに電話で依頼すると、センターがその日時にサポートができるまかせて(どっちも)会員を探します。まかせて(どっちも)会員を探すときはおねがい会員の自宅から車で15分くらいの範囲から探し始めますが、センターと相談しながら探せるので、希望の地域があれば自宅周辺以外でも探します。
また、「依頼してから何日くらいで見つかるのか」ということもよく聞かれますが、多くは依頼の日から数日間でまかせて会員が見つかります。しかし、条件や期間によっては1週間以上かかることもあれば、残念ながら、おねがい会員の希望通り見つからないこともあります。
サポートしてくれるまかせて(どっちも)会員が見つかると、センターからそれぞれの会員に紹介します。
センターのスタッフがサポートに密着!
おねがい会員の伊藤さん(仮名)がサポートを利用した様子を紹介します。
4歳の和くん(仮名)のママである伊藤さん、今回初めてファミサポを利用することにしました。サポートを引き受けてくれるのはどっちも会員で5歳と2歳の子どものママでもある中野さんです。妊娠中に講習会を受講してどっちも会員になった中野さんは、「自分の子どもが一緒でもよければ」と、和くんの預かりを引き受けました。
サポートの依頼から紹介まで
子育て支援ひろばで開催していた「ファミサポの出張登録会」で3年前におねがい会員に登録した伊藤さん。伊藤さんがサポートを頼もうと思ったのは、両親ともに子どもを連れて行けない用事があったからです。普段は両親が交代で用事を済ませていますが、やむを得ず子どもの預け先を検討するなかでファミサポに登録していたことを思い出したそうです。また、いつもは預けたい日の1~2日前に予定が入ることが多く、マッチングに数日かかるファミサポでは間に合わないと考え依頼したことはありませんでした。しかし、今回は頼みたい日まで余裕があったのでセンターに電話をかけました。
「依頼した時にはセンターから『見つからない可能性もある』と言われ、またこの先どう進んでいくんだろう?と不安もありました」と伊藤さんは後日話してくれました。その日のうちにセンターから中野さんを紹介された時は「早く見つかってよかった」と思ったそうです。
事前打ち合わせ
サポートができるまかせて(どっちも)会員を紹介してもらった後は、サポートの前日までに事前打ち合わせを行います。紹介の手紙をもらった後、会員同士電話で事前打ち合わせの日程を相談します。
サポートの数日前、事前打ち合わせをするために和くんと伊藤さんは中野さんの家を訪問しました。サポート中過ごす部屋で、部屋の温度や和くんのアレルギー、おやつを食べるタイミングなどについて話しました。中野さんは、和くんがサポートの日を楽しみにできるように、中野さんの家のおもちゃで遊ぶように促してくれて、「今度来たときにまたこのおもちゃで遊ぼうね!」と、声をかけました。事前打ち合わせ票にある預かり時に必要な項目を確認して、事前打ち合わせは終了です。伊藤さんは、事前打ち合わせで中野さんと実際に会ってお話しできて、安心して預けられると思ったそうです。
また中野さんは自分の子どもがサポート中に一緒にいるため、自分の子どもにも「今度、4歳の子が遊びに来るから、一緒に仲良く遊ぼうね!」と事前に伝え、子ども同士楽しく過ごせるようにしたそうです。
サポート当日
預かり開始:ママの不安をよそに元気にお宅へ

伊藤さんが和くんと一緒に中野さんのお宅に到着すると、中野さんは自分の子どもと一緒に出迎えてくれました。中野さんが玄関前で和くんの元気な様子を確認するやいなや、和くんは背負っているリュックを自分でおろし、どんどん玄関の中へ入っていきました。伊藤さんは少しだけ心配そうな顔をしていましたが、バイバイして出かけて行きました。
サポート中:子ども同士楽しく遊ぶ

家の中に入ると、まず中野さんは和くんに手洗いを促し一緒に洗面所へ。その後、預かりをする部屋に向かいます。中野さんのお宅は遊ぶ場所が決められていて、おもちゃもすぐに手が届く場所に置いてあります。中野さんの上の子どもが遊びに誘ってくれ、すぐに子ども同士一緒のおもちゃで遊んだり、別々のおもちゃで遊んだりと自然に遊びだすことができました。
中野さんはまず和くんが何をしたいのかを見守ります。和くんがおもちゃの使い方がわからない時は、組み立て方を教えて遊びやすいように手助けをしていました。事前打ち合わせで「このおもちゃで遊ぼう」と声かけしていたことが活かされている様子でした。
お迎え:サポートの報告と精算
中野さんは子ども同士のごっこ遊びを見守りながら援助活動報告書の記入を済ませます。
数時間の預かりだったため、あっという間にお迎えの時間になりました。伊藤さんが迎えに来て、精算もスムーズにでき、サポート終了です。
おねがい会員・まかせて(どっちも)会員からひと言
おねがい会員 伊藤さん
どっちも会員 中野さん
今回預かった和くんは人見知りすることなくすぐに打ち解けてくれました。
過去には人見知りの時期で1時間くらい泣いていた子や、お母さんと別れる時に後追いをする子もいました。初めてのお子さんのサポートは、「どんな子かな?」とドキドキもしますが、過ごし方を計画しているうちに、いつの間にかワクワクしてきます。これからも自分ができる範囲でサポートをしていきたいと思っています。
取材を終えて
特に印象に残ったのは、和くんがまるで親戚の家に遊びに来たように自然に中野さんの家で過ごしている姿です。サポートの日、和くんの頑張りももちろんですが、中野さんはニコニコして子どもを安心させる雰囲気を作り、伊藤さんもさりげなく出かけて行き、会員さん2人の態度が和くんの落ち着きにつながっているようでした。
新規登録したまかせて(どっちも)会員に向けた講習会では、事前打ち合わせの大切さについて説明しています。今回取材して、伊藤さんと中野さんが事前打ち合わせから協力できていたことがよくわかり、2人とも安心して当日のサポートができたのではないでしょうか。
安心安全なサポートのためには、会員同士の協力と信頼関係が必要です。子どもを預けたい時に「またあの人に預けられたらいいな」「またサポートを頼まれたら頑張ろう」というつながりを持てることがファミサポのよい所だと感じています。サポートについて聞きたいことがあれば、センターまでお気軽にお問合せください。
取材・執筆/藤井 まどか(ファミリー・サポート・センター アドバイザー)
今回は私の用事がある場所の近くの方に預かってもらうことができ、安心でした。紹介してもらった中野さんは優しい雰囲気のある方で、お願いできてよかったです。息子も、年齢が近い中野さんのお子さんと一緒に遊ぶことができて楽しかったと言っていました。
私のように、登録はしたけどなかなか利用できていない人に、ファミサポは頼れる存在であることを伝えたいと思います。