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放課後児童会ってどんなところ?
現代では結婚・出産後も働き続けるワーキングママは増えています。
親が働いている場合、就学前までは保育園がありますが、小学校に上がると低学年の場合、小学校が午後2時~3時くらいに終わってしまう日も多く、親が帰宅するまで子どもを留守番させるのは心配ですよね。
「小学生のいる働く親はどうしているのかな?」と疑問に思っていたところ、浜松市では『放課後児童会』が設置されているとのこと。
そこで、放課後児童会がどんなところなのか見学させてもらうことにしました。
密着! みずほ放課後児童会の一日
1学期も終わりにさしかかった7月中旬、中区の瑞穂小学校内にある「みずほ放課後児童会」で放課後を過ごす子どもたちの様子を見てきました。
みずほ放課後児童会は定員が80名で、40名ずつ二部屋に分かれています。平成26年度は、それぞれの部屋に1年生が16人、2年生が16人、3年生が8人で活動しています。
来会
下校となった1年生が元気な挨拶とともに来会してきます。
みずほ放課後児童会
児童会の入り口
ロッカーにランドセル
宿題タイム まずは宿題を終わらせる!
ランドセルを決められた場所にしまってから、机で宿題を始めます。
宿題のないときは、児童会でドリルを用意して勉強する習慣をつけていきます。
そのうちに2年生、3年生も来会してきます。はじめに宿題をするのはどの学年も同じです。
宿題の終わった子は自由時間ですが、みんなが宿題を終えるまで読書などをしてを静かに待ちます。
今日の宿題は“書きとり”
指導員がチェック
一斉に宿題タイム
みんなの楽しみ おやつタイム♪
おやつの前に体操をし、歌をうたいます。
みずほ放課後児童会ではおやつにも工夫があって、するめやこんぶが出ることも。
最初は苦手だと言う子どもも、一口食べるとすっかりお気に入りに!
じゃがいもの差し入れがあれば、それを使ってフライドポテトに。夏はきゅうりがよく出ます。
おやつの前の体操
今日のおやつ
おやつは一番の楽しみ
自由遊び 天気が良い日は屋外で遊ぶよ!
天候によって、校庭か児童会の部屋で遊びます。
この日はあいにくの天気だったので室内に。
自由遊びは第一と第二のどちらの部屋遊んでもいいので、隣の部屋に移動する子もいました。
やはり同じ学年で遊ぶことが多いようですが、それぞれが思いやっていて、ぶつかったりしてもすぐに謝りあう姿が見られます。
世界地図パズルに挑戦
おままごと
ブロック遊び
お迎えまでは室内あそび。片付けや掲示物貼り替えのお手伝いも。
17時を過ぎると、室内で自由遊びの時間です。
大きなおもちゃは片付け、すぐに片づけられるおもちゃで遊びます。
この時間はDVDを見ることができます。何を見るのかは、順番で子どもたちが決めています。この日は2年生の女の子たちのリクエストでハリーポッターを観賞中です。
廊下の掲示物を模様替えのお手伝いをしている子もいて、夏らしい海の様子が出来ていました。
今日のDVDは何かな?
お迎えまでトランプ
魚を作ったよ!
閉会
お迎えがくると、指導員にあいさつをして順次帰宅します。
すべての子どもたちが帰宅して、今日の児童会は終了です。
※スケジュールは一例としての紹介です。時間や、内容は各児童会ごとに違うこともあります。
長期休みはどうなっているの?
夏休み・冬休み・春休みの長期休業中は放課後児童会も朝からスタートします。丸一日を児童会で過ごす機会を利用して、地域の方と交流をしたり、普段とは違う活動をしたりすることもあるようです。
みずほ放課後児童会の場合はバスで遠足に行くのが夏休みの恒例行事です。行き先は、昨年が日本平動物園、今年はアクティ森だそうです。
放課後児童会の良いところを保護者にも聞いてみました。
ひとりっ子で近くに同学年の子がいないので、同じ学年の子と遊べるのが良い。男女混合で他学年との交流もあるし、上の学年の子がしたことを次の年にできるようになるのもポイントです。児童会で友だちと過ごす時間は、本人にとって心のよりどころになっているんじゃないかな。(2年生男児のママ)
家にない遊びや編み物など、親が教えられないものを教えてくれるのはありがたい。編んだものを弟にくれたこともあるんですよ。 年の離れた弟と遊ぶより、年の近い友だちと遊べるのは助かります。(3年生男児のママ)
みずほ児童会はボランティアの方も出入りがあって、本を読み聞かせてくれたり、冬には凧作り、夏は竹を切って水鉄砲を作ることも。私たちの世代では教えてあげられない昔ながらのあそびを知ってて経験させてくれることに感謝しています。それに、指導員の先生の子どものようすの把握が細かくて。「今日は ちょっと元気がない」とか、きちんと教えてくれる。子育てのフォローの仕方まで相談できるんですよ。
親が安心できるのも大事ですよね。(1年生、3年生男児兄弟のママ)
共働きで親が留守でも放課後に預けられるところがあって、子どもだけにならずに安心した。
…… これはどの親に聞いても言われた話です。確かに家に子どもだけにはさせたくない、特に低学年であればあるほどその思いは切実のようです。
話を聞いていると、指導員への信頼が非常に大事だな、と強く感じました。そこで、みずほ放課後児童会指導員の金子さんと坂田さんにも話を聞いてみました。
指導員の金子さん・坂田さんが大事にしていること
子どもにとって、放課後児童会が「家がわり」でありたい
金子さんと坂田さんは、放課後児童会が「家の代わり」だと考えています。学校が終わってほっとする場所にしたいと言います。
しかし、それは自分がしたいように過ごす場所ではありません。あいさつや相手を思いやる気持ち、身辺整理、言葉づかいなど、守るべきルールはきちんと教えています。
放課後児童会の主体はあくまで子ども
放課後児童会は集団生活の場でもあります。人数が多いからこそできることもあります。3学年そろうことで縦社会が生まれ、3年生は下の子たちのリーダーとなります。
指導員は安全に過ごすことに配慮しつつも、出すぎることなく見守ることで子どもたちの主体性を育んでいくのが役目です。
親とのつながり
預ける親にとっては、どのように過ごしているかは非常に気になるところです。お迎えの時に、一言声掛けをするようにして、児童会での子どもの様子を報告したり、家庭での様子を聞いたりと、お互いが話しやすい関係をつくることを心がけています。子どもにとってはもちろんですが、親にとっても心強い味方になりたいと思っています。
浜松市の学童保育のいまとこれから
小学生が放課後を過ごす場所として、全国的には「学童保育」「放課後児童クラブ」など様々な名称がありますが、浜松市では公設の学童保育のことを『放課後児童会』と呼んでいます。
市内の小学校区ごと114か所(平成26年7月現在)に設置されていて、小学1年生から3年生の、昼間に就労等で留守になる家庭の児童が入会しています。公設民営という形で、各地域の健全育成会やNPO団体などがそれぞれ特色を持って運営をしています。
来年4月からは制度が変わり、小学校1年生~6年生までが受け入れ対象になるとともに、さらなる定員増が計画されています。
取材を終えて
私自身は両親が自営業だったこともあり放課後児童会とは縁がなかったのですが、今回取材をして、子どもたちにとって特別な場所ではなく、自分たちの居場所のひとつとして自然体で過ごせる場所だということがわかりました。
友だち同士で対立して、時にはすねて一人でいる時もあります。でもそれはほんの一瞬で次に見た時にはまた仲良く一緒に遊んでいます。カチンとくることがあっても、指導員が間に入って話し合いをする光景はまるで兄弟喧嘩のようで、なんだか家にいるみたい。
何よりはっとしたのは「学年が上がってクラスが離れてしまっても、ここで一緒に遊べるからいい」という2年生の女の子の言葉です。せっかく仲良くなってもクラスが離れてしまうことは子どもたちにとっては大きなストレスなのでしょう。児童会で会えるというつながりは、子どもたちに安心を与えることとして根付いているのですね。
指導員の先生もまるで「お母さん」「おばあちゃん」のような存在だということが伝わってきます。
子どもたちは「先生」と呼んでいるけれど、学校の先生とはまた異なる立ち位置からの指導員の目の配り方・接し方は優しく、時に厳しいのです。おやつの選び方も、子どもたちが安全に楽しく過ごせるのかどうかも、すべて子どもたちのため考えられています。
さらに親世代では教えてあげられない知識や経験豊富なところも大きなポイント。今回お話した指導員の金子さんも「私たちは自分の子育ても終わってるからね。おばあちゃんよね。」と笑って話してくれましたが、その余裕が子どもたちに安心感を与えているんだな、と感じました。
親と一緒だけでは得られない経験を少し離れた世界にいることで吸収できるとしたら、放課後児童会は働く親にとって素敵な選択肢のひとつではないでしょうか。
取材・文/NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴ さいとう
私自身(ママ)がかぎっ子だったこともあり、ひとりきりの不安や心細さ、さみしい気持ちがよくわかるんです。だから、子どもが児童会に入って、ひとりにならなかったのはとても良かった。
本人が楽しそうにしている姿を見てこれが一番だな、と感じています。(1年生女児のママ)