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どう選ぶ?いつまで遊ぶ? 子どものおもちゃとの向き合い方
子どもの成長と共に増えるおもちゃ。せっかく買うなら集中して遊んでほしいものですね。でも実際は数日で飽きてしまったり、処分のタイミングが分からなかったりとおもちゃとの付き合い方に悩むパパママも多いのではないでしょうか。特にまだ好きなキャラクターや遊びが定まらない小さな子どもには、どんなおもちゃを選んだら良いか迷いがちです。そこで乳幼児のおもちゃ選びのヒントや遊び方について取材しました。
おもちゃ選びの3つのポイント
アドバイスをしてくれるのは節句人形と木のおもちゃのお店「寿月すみたや」(浜松市中区連尺町)のおもちゃアドバイザー・大隅和子さん。乳幼児造形あそびや環境構成理論を基盤としたおもちゃ・環境・遊び・親子コミュニケーションの支援や、子育て支援者向けの研修などの講師としても活躍中の大隅さんに、おもちゃ選びのポイントを聞きました。
Point 1. 対象年齢は誤飲防止の目安
子どもが小さい時期は、ベビー用品などと一緒におもちゃもネット通販などを利用することも多いのではないでしょうか? 通販で参考になるのがおもちゃの対象年齢。月齢や年齢別におもちゃが紹介されていることも多いのですが、おもちゃの対象年齢は遊びに適した年齢ではなく、誤飲防止などの安全性に配慮して記されていることがあります。そのため子どもの興味や必要な遊びの時期と差が出ることもあります。
また乳幼児期は子どもによって発達や成長に差があるため、月齢や年齢で選ぶのはなかなか難しいものです。
Point 2. おもちゃ選びに悩んだらひろばへ
おもちゃ選びに悩んだら子育て支援ひろばや親子ひろばに行ってみましょう。ひろばには様々な種類のおもちゃがあり自由に遊べます。子どもが自分で選び、夢中になって遊ぶおもちゃは何か? しっかりわが子の様子を観察するとおもちゃ選びのヒントが見えてきます。
ひろばには支援員も常駐しているので、遊びに関する悩みを相談してみると良いアドバイスがもらえることも。各ひろばによっておもちゃの種類も異なるので、数か所訪れて、さまざまなおもちゃに触れてみるのもお勧めです。
Point 3. 親が取り扱いやすいことも重要
子どもの好みだけではなく、親が取り扱いしやすいことも大切です。特に物を口に入れたり、舐めたりする時期は、おもちゃもなるべく清潔に保ちたいですね。洗って乾きやすいシリコンやプラスチック素材のおもちゃは、家事や仕事で忙しい時の手間やストレスの軽減にもなります。
0~1歳ぐらいの時期は、大人が言葉かけしながら遊ぶ「あやし遊び」が必要な時期。子どもがおもちゃで遊んでいる時も、声をかけて楽しみましょう。
こんなときどうする?おもちゃの悩みQ&A
子育て支援ひろば利用者から寄せられたおもちゃの悩みを大隅さんに聞きました。

おもちゃ以外のものでよく遊ぶ
乳幼児期の子どもは、からだの成長のため、無意識に少し負荷がかかる物を持ったり、つかんだりして遊ぶのが楽しい時期です。例えば少し重い鍋を持ってみたり、ティッシュをたくさん取り出してみたり…と一見いたずらに見える遊びでも、腕や手首、肩の動きや力を育てていることもあります。ある程度の時期がくると自然としなくなるので、無理におもちゃで遊ばせるのではなく、安全を確保した上で、芽生えた好奇心を温かく見守ってあげることも大切です。

何でも口に入れ心配がつきない
市販のおもちゃには誤飲を防ぐために対象年齢が明記されています。口に物を入れたり舐めたりしやすい時期は、この対象年齢を参考にしましょう。
誤飲防止の目安にトイレットペーパーの芯を使ってみましょう。赤ちゃんの口の最大口径は39mmとされ、トイレットペーパーの芯の直径とほぼ同サイズ。これより小さな物は誤飲の恐れがあるため、子どもの手が届く所に置かないようにしましょう。特に棒状のもの、ボール状のものはけがや誤飲の可能性が高いので気を付けましょう。

せっかく買ったのに遊ばない
子どもが集中して遊ぶには環境づくりも大切。特に白木の積み木などシンプルなおもちゃでじっくりと遊ばせたい時は、周囲に刺激の強い音や物があると、そちらに気を取られてしまいます。テレビは消して、刺激の強い色やデザインのおもちゃを大きな布などで一時的に隠してみましょう。おもちゃを置く机なども窓際ではなく壁に向かって設置すると、遊びに夢中になることも多いです。

処分のタイミングがわからない
子どもは遊ばなくなったおもちゃを1~2週間見えないところにしまい、久しぶりに出してあげると遊ぶこともあります。おもちゃを2~3グループに分け、1週間おきにローテーションしてみてはいかがでしょう。その際、使わないグループのおもちゃは子どもが見えない場所に置きます。これを何度か繰り返し、全く遊ばないおもちゃがあれば処分しても良いでしょう。
おもちゃに全く興味を示さず、他の物をいたずらしたり、歩き回ったりする場合は、自宅のおもちゃが年齢や興味と合っていないことも多いため、全体的に見直すタイミングです。
子どもの様子をよく見て選ぼう
大隅さんからのアドバイス
「乳幼児期の家庭でのおもちゃは親と子どもの間をつなぐ大切な役割があります。おもちゃ選びの際にはインターネットやSNSなどの情報に惑わされず、目の前のわが子を観察すること、そして親も楽しんで遊びやすいおもちゃを選ぶことも大切です」
迷ったり、収納に困ったりしたら「サブスク・レンタル」も
新しいおもちゃを選びたいと思っても、ゆっくり買い物する時間がなかったり、収納に悩んだりすることもあるかもしれません。そんな時はサブスクリプションサービス(通称サブスク)やレンタルを利用するという選択肢もあります。
おもちゃのサブスクは、一定期間決まった金額を支払うと、子どもの年齢や好みに合ったおもちゃが定期的に届き、期間内に返却すると新しいおもちゃを届けてくれます。また月額4,000円前後で保育士などの専門家が選んだおもちゃや、高額な知育玩具を使うことができる場合が多いです。
実際に利用しているママの感想をご紹介します。
親の好みに左右されないおもちゃ選びができる
収納に限りがあるため「キッズ・ラボラトリー」を利用中。親の趣味に偏らないおもちゃ選びができ、収納にも困らず助かります。1歳の子どもは気に入ったおもちゃへの食いつきは良いです。おもちゃの当たりはずれが激しいのと、交換するタイミングが難しいのが悩みどころです。(1歳のママ)
高価なおもちゃを気軽に試せる
子どもが1歳の時にママさんインスタグラマーがお勧めしていた「トイサブ!」を利用しました。価格が高価な物もあり、気に入ったらユーズド価格で買い取ることもできました。事前にカウンセリングはありますが、必ずしも子どもが好きなおもちゃがくるとは限らないことも。結構場所をとることもありましたが、子どもは気に入ったものは楽しそうに遊んでいました。(2歳のママ)

所有せず借りる場合でも「子どもが遊ぶ様子をしっかり見て選ぶ」ことが、おもちゃとうまく付き合う上で大切であることは変わらないようです。
取材を終えて
現在4歳になる息子が2歳ぐらいの時、毎日重いフライパンや鍋ばかり持ち運んで遊んでいる時期がありました。当時は不思議に思っていましたが、大隅さんのお話しで「子どもは成長のために無意識に負荷がかかる遊びを好む時がある」と伺い、今になってようやく遊びの意味が理解できました。子どもが小さな時期のおもちゃ選びは、親の強い期待や願いから大人の気持ちを優先して選びがちですが、子どもは自分で必要な遊びを自然と選んでいく様子。親はその遊びに集中できる環境をつくり、声掛けしながら見守るぐらいの気持ちがちょうど良いのではと感じました。
取材・執筆/北 美緒
【取材協力】寿月すみたや