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浜松市のこどもまんなか宣言「こどもたちが住み続けたいまちに」
浜松市は、令和6年4月8日に「こどもまんなか応援サポーター」宣言をしました。
「こどもまんなか応援サポーター」とはこども家庭庁が掲げるこどもたちのために何がもっともよいことかを常に考え、こどもたちが健やかで幸せに成長できるような社会を実現する「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同し、自らもアクションに取り組む個人や地方自治体、団体や企業のことです。
浜松市の「こどもまんなか応援サポーター」の取り組みについて、市長に伺いました。
インタビュアー:はままつ子育てネットワークぴっぴ 原田博子
取材日:2024年6月13日
浜松の魅力は? 子育てしやすいまちとは。
原田
今日はお時間をいただきありがとうございます。市長就任を機会に浜松に戻ってこられて1年ほど経ちましたが浜松市の印象はいかがでしたか。
市長
高校まで浜松で過ごしましたが、当時の活動範囲って限られていたんですね。合併して広く大きくなった浜松市に戻ってきて、市内各所に出かけてみると、知らなかったところも多く、その中には素晴らしい場所もあって、日々新しい発見と驚きの連続です。
原田
子育て情報サイトぴっぴでは子どもの記憶に残したい浜松の風景を募集しています。子ども時代に親子で出かけた経験や楽しかった思い出をたくさん作ってもらいたい。浜松市で幸せな子ども時代を過ごした記憶がシビックプライドを醸成して、一旦浜松を離れてしまったとしても「子育てするなら浜松市で」と、Uターンや交流人口の増加につながればという狙いがあります。
市長の記憶に残っている風景はどこでしょうか。
市長
楽しかった思い出は遊園地ですが…
印象に残っている風景といえば「中田島砂丘」です。“砂丘”というぐらいですからいくつも砂山があって、それを超えたときに目の前に広がる海に感動しましたね。
今は砂浜がやせてしまったのは残念ですが、子どもたちにあの風景を見てもらい「世界は広いぞ!!」と、大きな夢をもって育って欲しいですね。
原田
水平線が広がる壮大な景色ですよね。浜松市は海も山も自然に恵まれていますが、山の方面はいかがですか?
市長
中学生のときに天竜区(合併前の佐久間町)にある佐久間ダムまで電車とバスを乗り継いで行ったことがあります。スケールの大きなダム建設の近代土木技術に感心しました。現代日本の発展を実感できる場所でした。
当時は浜松市も50万人、60万人とどんどん人口が増えていて、小学校の副教材のタイトルにもなっている「のびゆく浜松」のとおり、伸びていくことを実感できる時代でしたね。
原田
今は少子化の時代になって、生まれる子どもが減ってきています。ここ数年で国をあげて子どもを大事にするという風潮になってきましたが、ぴっぴはそれ以前からずっと「子育てしやすいまち」にしたいということで活動をしてきています。市長は、子育てしやすいまちというとどんなことを想像されますか。
市長
子ども連れのファミリーとすれ違う、ベビーカーを押している人や子連れの人があふれているまちが子育てしやすいまちだと思います。
今街中に活気がないのはすこし寂しいですが、ザザシティにある浜松こども館に子どもやファミリーが来館しています。そういった場所で情報交換ができたり、悩みの共有ができたり、交流が活発になれば子育てのしやすさが向上するのではないかと感じています。
原田
子育て情報センターで実施している転入ファミリーの交流会で浜松の印象を聞いたところ、人が優しい、あったかいという声が上がりました。来る前は田舎の印象だったけれど、「実際に来たらすごくいいところだった」と言ってもらえます。そういう心の感じ方を大事にできたらと思います。
市長
浜松市は子育てがしやすいまちとして環境的にはすごく恵まれていると思っているんです。過ごしやすさ、暮らしやすさは他都市と比較しても、劣っていないと思うので、行政だけでなくいろいろな関係者を巻き込み、みんなで子どもにやさしい街にしていきたいですね。
「こどもまんなか応援サポーター」宣言について
原田
この度、こどもまんなか応援サポーター宣言をされましたが、こどもまんなか社会の実現に向け、どのように進めていかれるか、市長のお考えを聞かせてください。
市長
市長就任後、子育て事業の拡充をしてきました。この4月から妊産婦から子育て中の親の支援を行うワンストップ窓口「こども家庭センター」の開設、就学前の乳幼児にかかる通院医療費の無償化など、子育て世代を支援する体制や制度がより充実してきたことにより宣言するにいたりました。
「こどもまんなか応援サポーター」宣言をしたのは、静岡県内の自治体では浜松市が初です。「浜松市は子育てに力を入れています」ということを分かってもらうためにも、宣言することに意味があるのではと思っています。まず浜松市が宣言してきっかけをつくり、周りの市町も巻き込んでいきたいです。
原田
具体的にどのような取り組みをされていくのでしょうか。
市長
4月からスタートした子育て関連事業には、
- こども家庭センターの開設
- 子ども医療費助成事業の拡充
- はますくヘルパー利用事業の拡充
- 放課後児童会の待機児童解消に向けた定員拡大
などがあります。
原田
こども家庭センターは、切れ目のない子育て支援の拠点として機能していくことを期待しています。
何でも相談出来て、困ったときにいつでもかけ込める場所があれば、心強いし安心して子育てができると思います。
「子育てするならやっぱり浜松が良いよね」と言ってもらえるような浜松市独自の取り組みや、PR戦略についてどのように考えていらっしゃいますか。
市長
今後始める取り組みとしては、こども誰でも通園制度の試行事業が7月からスタートしたほか、
- 保育料の多子負担軽減(9月~)
- 習い事等支援事業(10月~)
- 子育て支援ひろば一時預かり事業(10月~)
- 子ども・若者総合相談センター(10月~)
が予定されています。
原田
子育て情報サイトぴっぴでも積極的にPRしていきたいと思います。
市長
いろいろ要望がありますが、必要な子育て支援メニューは整ってきていると思います。
子育て支援事業があるのに知られていない、使われていないのだとしたら、もっと周知していき、実際に使ってもらいたいですね。
子どもや若者からの意見に、市長がすべて目を通します!
原田
今年度から新しく始められた取り組みの中に、子どもや若者から意見を聞くご意見箱やフリーボードの設置がありましたが、どんなことを期待されていますか。
市長
自分たちが大きくなって住みたいと思うまち、住み続けたいと思うまちにするには「こんなことをしてほしい」という子どもや若者の意見を待っています。これからの時代、未来を担うのは子どもであり、子どもに見捨てられたら街の未来はありません。子どもたちの思っていること、考えていることを最大限尊重して、子育て施策やまちづくりに活かしていきたいです。
原田
「こども版市長へのご意見箱」に出された意見はどのように活かされるのでしょうか。
市長
まず、市長である私自身がすべて目を通します。内容により担当部局から回答をお返しします。市の取り組みに活かされるものもあれば、無理なものもありますが、言いっぱなしにならないように、その後どうなったか分からないということが無いようにやっています。
「浜松市は子どもや若者の意見を聞いてくれる、答えてくれる」という実感をもってもらえるよう丁寧に回答をしていきます。
原田
フリーボードはこども館と青少年の家に設置されているのですか。
市長
はい。フリーボードは、「大人になっても浜松市に住み続けるには何が必要?」というテーマで自由に意見を書いてもらっています。数が多いものはニーズが高いものだと思うので、カテゴライズして集約した意見を全庁で共有する予定です。
原田
実際に、自分の意見が採用されるのは嬉しいことですね。子どもたちも存在感を認めてもらえてやりがいがあると思います。
子どもからももちろんですが、子育てをしている親の立場からも聞いていただく場もぜひ用意してもらいたいです。
市長
子どもを対象に設置したフリーボードですが、子育て中のパパママの思いも結構あがっています。親も言いたいんだろうなと受け止めています。
原田
最後に市長から子どもたちへ、また、子育て中の保護者の方へメッセージをお願いします。
市長からのメッセージ
子どもたちへ
浜松市では、フリーボードやこども版市長へのご意見箱を実施しており、自分たちが大きくなって住みたいと思うまち、住み続けたいと思うまちにするには、「こんなことをしてほしい」という意見を待っています。
これから浜松は、「こどもまんなか応援サポーター」として、浜松市全体で子どもや若者の意見を聞き、施策に取り入れることで、みなさんが明るい未来を信じて楽しく過ごし、健やかに頼もしく成長できる市の実現を目指します。
子育て中のみなさんへ
すべての市民が子育て中の方を応援するという意識をもって、子どもや子育て世帯を社会全体で支える気運を醸成することが大切です。
今後、浜松市ではこどもまんなか宣言に則り、出産-育児-教育-医療-雇用など幅広い分野の子育て施策を、これまで以上に力強く推進してまいります。
子どもを産み、子育てをされている方々を、浜松市全体で応援していきますので、安心して子育てをしていただきたいと思います。