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榊原真理さん ふれあいサポートネット ふわっと 代表

“子育てする未来の自分”をイメージさせてくれる赤ちゃんの力って、すごいです

榊原真理さん

現在、浜松市の小・中・高校の授業で、赤ちゃん親子とのふれあいを体験し、いのちの大切さを学ぶ学校が多くなりました。この体験授業を行っている団体「ふ れあいサポートネット ふわっと」の代表である榊原真理さん。ご覧の通り、ふわっとした笑顔が素敵な小柄な女性ですが、職業は建築士資格を持つ大工さんで す。優しさと力強さをあわせもつ不思議な魅力の持ち主は、「いのちの大切さを、もっと多くの子どもたちに伝えたい」と熱く語ります。
 

ひとりひとりを大切にできているだろうか

榊原真理さん

浜松生まれ、浜松育ちの榊原さん。「早く結婚したいなあ、って思っている女子高生でした(笑)」その夢は実現して、20歳の時に10歳年上の大工さ んと結婚。家業を手伝っているうちに、自分自身も大工の仕事をするようになりました。そして1男2女に恵まれ、忙しく子育てする傍ら、勉強して二級建築士 資格を取得。設計・施工・インテリアコーディネート等、建築を本業にして現在に至ります。

こう聞くとさぞや大変だったのでは?と思えます が「そうでもなかったですよ」と榊原さんは笑います。「久しぶりの勉強が新鮮で、楽しくて。大変だという思いはありませんでした。私はもともと楽天的なん です。『何とかなるか』と思っていたら本当に何とかなったり、困っていたら誰かが助けてくれたり。『大丈夫、大丈夫!』って、後押ししてくれる人たちに恵 まれたから、ここまでやってこられたのだと思います」
 

赤ちゃんとのふれあい体験

浜松から離れて暮らしたことが一度もない、という榊原さん。この土地柄に関しては「保守的で、新しいことを好まない気質があるのでは」と言い、浜松っ子の多くが口にする「進取の気性」「やらまいか精神」については首をかしげます。
「地域にもよりますが、浜松というまちは大きいでしょう? 何でも大規模で、学校も大きいから、ひとりひとりの個性を大切にすることがとても難しいんじゃないかと思います。それで『みんなと同じがいいよ』ってなっちゃうのでは?」
地元びいきに偏らない客観的な視点を持つ榊原さんだからこそ、このまちの子どもたちに必要な事業との出会いがありました。
 

赤ちゃんとふれあう中で変わっていく中学生たち

赤ちゃんとのふれあい体験

榊原さんが初めて「赤ちゃんとのふれあい授業」に参加したのは11年前のこと。その時は「子育て支援の会」が実施していたこの事業に、スタッフとして参加 していました。 赤ちゃんとのふれあいに先立ち、講師が中学生たちに「みなさんは“親に愛されている”と感じますか?」と質問した時のことを、榊原さんは鮮明に覚えていま す。「みんな、シーン…って静まりかえってしまって。もちろん、思春期らしい照れもあったからだと思いますが、あまりに醒めた空気にショックを受けまし た」
 

赤ちゃんとのふれあい体験

ところがその後、みんなで赤ちゃんたちとふれあう中で、劇的に「空気が変わった」と榊原さんは感じました。やさしい空気が流れ、中学生たちが笑顔を見せた のです。「ふだんは笑ったことのない子が笑っている」「あのやんちゃな子が、あんなに可愛らしい顔を見せるなんて」と、先生たちも驚きを隠せないようすで した。 始まる前は醒めた顔をしていた中学生も、授業後のアンケートでは「お母さんはすごい」「自分も、ああやって育ててもらったんだ、と思った」などの感想を紙 の両面にびっしりと書き綴りました。
 

「いのちの大切さを学ぼう」学校からの期待は高まる

赤ちゃんとのふれあい体験

中学生たちの変わりようを目のあたりにして「今度は、うちの子が通う中学校でやりたい」との想いを募らせた榊原さん。そのことをPTA会長に相談し、学校側からも賛同を得て、ふれあい授業を実現することができました。
そ の後は「もっともっと、たくさんの中学校で、たくさんの中学生たちに、この授業を体験してほしい!」という想いを胸に、2006年にこの事業を行うための 団体「ふれあいサポートネットふわっと」を立ち上げ、代表になりました。現在は約30名のメンバーとともに活動し、2013年度は浜松市の委託で赤ちゃん とのふれあい体験授業を約10校の中学校で開催するほか、いくつかの高校でもふれあい体験を行う予定です
 

赤ちゃんとのふれあい体験

多い場合は事前講座から体験、ふり返りまで12時間も使って実施されるという、赤ちゃんとのふれあい体験。ですが、義務教育という場に参入することに難しさは無かったのでしょうか?
「こうした授業をやりたい、と考えてくださる学校で実施しているだけですので(笑)、それほど難しいことはありませんでした。それどころか、ふれあい体験を経 験した先生が、異動になった先の学校でまた呼んでくださったり、いちどボランティアをしてくださったお母さんがリピーターになってずっと手伝ってくださっ たり。何も難しいことを言わなくても、いのちを身近に感じられて納得できる体験だから、学校側からの期待はむしろ年々大きくなっていると感じます。

 

「子どもを産んで育てるって、すてきなことなんだ」という気づき

赤ちゃんとのふれあい体験

さて、「ふわっと」では「赤ちゃんとのふれあい体験」を通し、どのような展望を描いているのでしょうか。
「女性のライフサイクルの中で、仕事と結婚・出産・子育てとさまざまなことがありますが、『それをやったら、これができない』『仕事と子育て、どっちをと るか』みたいな選択に迫られるときがあると思うんです。あるいは、初めから『子育て』が選択肢に入っていない人もいるでしょう。
でも、赤ちゃんとのふれあいを経て“子育てする未来の自分”をイメージし、『子どもを産んで育てるって、すてきなことなんだ』と思うことができれば、また は男の子でも『将来、奥さんを助けてあげたい』という思いが今のうちからあれば、将来の子育て世代は今とは大きく変わってくるんじゃないでしょうか」

次世代のための意識づくりと、将来のワークライフバランス。榊原さんの想いは、ずっと未来に照準を定めています。

産んでから『こんなはずじゃなかった』と子どもを虐待してしまうことのないように、産む前に、いのちの大切さに気付いてほしい。だからこそ、義務教育のう ちに、全ての子どもが受けられる授業の中で、赤ちゃんとのふれあいを通して、いのちの大切さを伝えたい。――静かに、にこやかに語る榊原さんですが、その 強い想いは決してぶれず、揺るぎません。
「できることなら、10年後くらいに、ふれあい授業で出会った子どもたちにまた会ってみたいです。どんなパパやママになっているだろうって、本当に楽しみなんです」

榊原真理さん プロフィール

1男2女の母。昨年は長女、今年は二女が結婚。
2級建築士・応急危険度判定士・コミュニケーション心理アドバイザーの資格を持ち、仕事として設計・施工・インテリアコーディネート等に関わる。
2006年に「ふれあいサポートネットふわっと」を設立。

(2013年11月13日にインタビュー談:榊原真理さん 赤ちゃん体験の写真提供:ふれあいサポートネットふわっと 取材・文:ぴっぴ寺内美登里)

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