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浜松国際ピアノコンクール 子どもたちの素敵な出会い

ホームコンサート

音楽の街浜松という聖地で、3年に1度開催される「浜松国際ピアノコンクール」。
世界を舞台に活躍するピアニストのたまごたちが、浜松に集まります。今年は、11月10日(土)~24日(土)の開催。 アクトシティを舞台に73人の熱い演奏が繰り広げられた中、ロシアのイリヤ ラシュコフスキーさんが頂点に立ち、幕を閉じました。

「世界レベルのコンクール」と聞くと、小さな子どものいる家庭では無縁のものに思えてしまいますが、アクトシティを離れた場所では、ピアニストと子どもたちがふれあう機会もありました。
コンクールを終えたピアニストの中から希望を募り開催されるホームコンサートやスクールコンサートでは、コンクールとは違うリラックスした雰囲気のなかで演奏が披露されます。
今回は、神久呂小学校で行われたスクールコンサートと、ホームステイを受け入れた水野さんのお宅でのホームコンサートを紹介します。

スクールコンサート ホームステイ&ホームコンサート

「世界のピアニストが小学校に!」

スクールコンサート

スクールコンサート

今年のコンクールでは、事前に希望をした市内の16校(15会場)の小中学校でスクールコンサートが開催されました。
神久呂小学校には、ロシアのミハイル・モロゾフさんが来てくれることになりました。

全校生徒で生の演奏を聴くチャンス!事前に演奏マナーも勉強して、この日を楽しみにしていました。

“世 界のピアニスト”ということで、「どんな人が来るんだろう」とドキドキワクワクした様子。モロゾフさんが登場し、ポーンと音が出てピアノの演奏が始まる と、とたんに体育館中がし~んと水を打ったように静まり返りました。どの子もとても集中してその音に耳を傾けているのです。

本物にふれる

スクールコンサート

モロゾフさんのピアノはとても澄んでいて、すーっと心に響いてくるような音。自然なタッチで、聴いていて癒されるような、吸い込まれていく感覚がありました。

子どもたちもそれが言葉で言わなくてもわかるのでしょう。30分という長い時間だったにもかかわらず、じーっとモロゾフさんをみつめ、その透き通る音色に心を奪われているようでした。

「本物にふれる」とはこういうことなんだ・・・子どもたちのその様子が、すべてを物語っていました。

スクールコンサート

その後の質問コーナーでは、たくさんの手が挙がりました。

「何歳からピアノをやっているんですか?」
「ピアノをやり始めた8歳の頃に弾いていた曲は?」 など、感動からわきあがる疑問をそのままモロゾフさんにぶつけているようでした。

最後に児童代表として、モロゾフさんにお礼の言葉と花束贈呈をした6年生の粟野七葉さんと山本凪紗さんからも感想を聞いてみました!

スクールコンサート

七葉さん
「すごい迫力で、気持ちを込めると音にも強い弱いがついていろいろな表現ができるんだなぁと思いました。演奏中いろいろなことを想像しながら聴けました。 家でもCDでクラッシックを聴きますが、全然違うと思いました。自分はピアノを最近やめてしまったけれど、ピアノを真剣にやっているモロゾフさんはすごい と思いました。」

凪紗さん
「演奏中、モロゾフさんが上をみたりして弾いているのを見て、感情表現がすごいと思いました。今まで真剣に聴いたことがなかったので、指の動きや伝わり方もすごいと思いました。」

2人ともモロゾフさんの演奏に感激して、その様子を素直に言葉にしてくれました。

きっとみんな、この日のことは忘れないでしょう。

「家族が増えた1週間♪」

ホームステイ

ホームステイ

アンナ ウライエワさん(ウクライナ出身)は、9歳になる双子の頼子ちゃんと結子ちゃんがいる水野さんのお宅に約1週間ホームステイすることになりました。

ピアノコンクール事務局では、惜しくも予選通過できなかった出場者が、浜松に滞在し残りのコンクールを楽しめるよう、市民からホストファミリーを公募しています。

水野さんのお母さんは、若い頃自分が海外でホームステイした時、そのホストファミリーにとてもお世話になった経験から、いつか機会があれば、何らかの形で恩返ししたいと思っていたそうです。

ホームステイ

この提案に賛同したのが、2人の子どもたち。アンナさんが滞在することが決まると、自分たちの部屋を1つあけ、来るのを心待ちにしていました。アンナさんが来てからの毎日は、学校から帰る楽しみも増えました。アンナさんは時間があれば、積極的に料理のお手伝いをします。ピアニストは手が命。家事をあまりしないという方もいる中、少しでも家族の役に立とうとしてくれる気持ちがうれしいと水野さんは言います。アンナさんは、多忙なスケジュールの中、みんなと食事をする時間が楽しみだそうです

ホームコンサート

ホームコンサート

この日は自宅で、ホームコンサートをすることにしました。このコンサート、特別なプログラムをお母さんが企画しました。
「せっかくのチャンス!アンナさんにも、子どもたちのピアノを聴いてもらおう!!」ということで、近所の子どもたちにも呼びかけました。ピアノを習っている頼子ちゃんと結子ちゃん、そして近所の子どもたち総勢12人が集まり、部屋の飾り付けもみんなで準備をしました。

一流ピアニストの前で演奏してみよう

ホームコンサート

初めは「どうしよう・・・」という不安が見えた子どもたち。でも1番手の子が演奏を始めると、みんなの緊張の糸もほぐれ、楽しめるようになりました。

上手に弾くことが目的のコンサートではありません。失敗したっていい。まずは、みんなの前に出て演奏してみること、そして今自分ができるピアノを楽しく弾けばいいんです。アンナさんもそんな気持ちで、みんなの演奏を温かいまなざしで一生懸命聴いていました。

ホームコンサート

そして、演奏が終わると、1人ずつに英語で「よかったよ」「すばらしかったわ」といったメッセージを伝え、メダルをかけてくれました。

そのメダルにはアンナさんからの直筆メッセージが!!

忙しい合間をぬって、1人1人に違うメッセージを書いてくれたのです。アンナさ んは、将来は自国ウクライナの子どもたちに音楽を教えたり、コンサートをしたいそう。そんなアンナさんの、子どもを大切に思っている気持ちが伝わってきま した。メダルをもらった子どもたちの表情は、とても満足気で自信に満ちているようにも見えました。

目の前で世界の演奏を

ホームコンサート

いよいよ次はアンナさんの演奏です。子どもたちのために特別に選曲したくれたこの日のスペシャルプログラム。教科書にも載っている“チャイコフス キーのくるみ割り人形”やアンナさんが小さい頃習ったという“松雪草”という曲などを含め、なるべくなじみのある曲をチョイスして披露してくれました。

演奏が始まると、一斉にピアノをのぞき込む子どもたち。アンナさんの指のタッチ、体を使ったやわらかい表現力を自分の目に焼き付けているかのようでした。迫力ある演奏はやはり世界の音です。これまで聴いたことのないようなすばらしい音色にみんなが魅了されました。

最後は、アンナさんからの提案で、みんなで合唱。アンナさんが「大きな古時計」を弾いてくれて一緒に歌いました。ピアノは万国共通のもの。音楽を通じてこ うして子どもたちと一体になれるってすばらしいなぁと思いました。子どもたちにとっても、普段にはない経験ができた思い出に残るコンサートとなりました。

市民が支えるピアノコンクール

ホームコンサートを開催した水野さんが「ピアノを習っている子」ということでご近所に声をかけると、あっという間に12人が集まりました。やっぱりピアノ人口が多いのは、浜松ならではです。

浜松国際ピアノコンクールの大きな特長が、市民の関心の高さとボランティアによる市民参加型ということです。今回も126人のボランティアが参加。会場の案内、出場者のアテンド、タイムキーパーや審査員対応の補助、通訳など、重要な役割を担いました。

これまでも、予選から参加したすべての出場者が、浜松市民の心遣いとアフターケア、ホームステイでの歓迎に感激されているそうです。このコンクールの裏舞台は、市民の熱い心が支えているのです。

次は3年後の2015年。今から楽しみです。

取材を終えて

ホームステイ&ホームコンサート

実は、浜松国際ピアノコンクールが世界的にこんな大きなコンテストだとは知らず、このコンクールの入賞者が、その後海外の有名なコンクールで優秀な成績を修められることからも若手の登竜門と言われていると聞き、とても驚きました。今回取材を通じて出会ったピアニストたちの演奏は、これまでに聴いたことのないようなとても心に響く音でした。

ピアノを小学生の頃にやめてしまった私ですが、一流ピアニストたちの演奏で、改めてピアノの魅力に気づかされました。こんな素晴らしい音を子どもの頃から聴く機会がある浜松って、やっぱり恵まれているなぁと感じました。
そして、大きなコンクールであるにもかかわらず、それを市民が支えているということにも感動しました。ピアノの専門家でもないし、関係ないや…なんて思って いましたが、ボランティアという形でかかわることができると知り、自分にもできることがあるのかもしれないと思いました。
また、スクールコンサートやホームステイ先では演奏者の素顔が見え、とても親近感を覚えました。音楽には国境がない、ピアノを通じて心と心が通じ合う出会いがあるというのは、素晴らしいなぁと思いました。

取材・文/NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴ 三浦貴子

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