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「ブックスタート」で初めての1冊に出会う
今年度から、浜松市立図書館で、「ブックスタート」という事業が始まったということで、さっそく「ブックスタート」というものがどのようなものなのか、見学に行きました。
「ブックスタート」とは
「ブックスタート」とは、1992年にイギリスで始まったもので、現在、日本では「NPO法人ブックスタート」が中心になり、日本の自治体を中心に 広めています。また、この事業は、行政(子育て支援関連課)・図書館・保健センター・地域のボランティアが連携して、主に自治体が行うものです。
これは、各家庭で絵本を通して赤ちゃんとゆっくりと向き合い、楽しいひと時を共有してほしいという願いが込められた活動です。
浜松市のブックスタート
浜松市のブックスタートでは、浜松市内在住の8か月から満1歳(誕生日当月)の赤ちゃんとその保護者が対象でひとり1回参加できます。読み聞かせや わらべうた遊びの体験とアドバイス、赤ちゃんの図書館利用カード作成などを30分程度行います。そして、最後におすすめの絵本を1冊プレゼントしてもらえ ます。
どんなことをやるの?
おじゃましたのは、可新図書館で行われたブックスタートです。毎回20組前後の親子が集まるということでしたが、今回は16組の親子が来ていました。
今回の読み聞かせは、この3冊。
松谷みよこ 文 瀬川康男 絵 童心社
○「くだもの」
平山和子 作 福音館書店
○「がたんごとん がたんごとん」
安西水丸 作 福音館書店
「絵本の読み聞かせは、赤ちゃんには難しいのでは?」
なんて思っていたら、そんなことはありませんでした。「いない いない ばあ」では、読んでいるボランティアさんの
「いない いない」
という声に、赤ちゃんたちが、
「ばあ」
とか、あるいはそれに似たような言葉を出しているではありませんか。
また、「くだもの」というたくさんのくだものが出てくる絵本で、
「さあ どうぞ」
と読み手が読めば、
「あー、あー。」
などと言葉を出しながら、絵本のなかのくだものを取ろうと手を伸ばしていました。
また、「がたんごとん がたんごとん」という本では、赤ちゃんもお母さんも、
「がたんごとん」
と読む声に、体を上下に動かして汽車に揺れているような格好をしていました。
8か月くらいでは会話ができるわけではないのに、こんなにも反応をするなんて!!
わが子のこんな反応を見てうれしくならない親はいないと思います。
読み聞かせを3冊した後は、わらべうた遊びです。赤ちゃんをだっこして、歌いながら顔やからだをさわったりくすぐったりします。
今日は、「こーこはとうちゃんにんどころ」、「ぎっこんばっこん」、「いっぽん橋こちょこちょ」をやりました。わらべうたは一度覚えると、いつでもどこでもできて楽しめます。赤ちゃんがどこかでちょっとぐずった時にも、赤ちゃんの気分を変えるのに使えます。しかも、赤ちゃんを抱いてわらべうたを歌うお母さんやおばあちゃんの顔が素敵でした。
赤ちゃんの集中力を考えて、全体で30分程度のプログラムですが、最後に可新図書館館長が、このブックスタートの目的をお話されました。
今回のプレゼントにもらえた絵本は、「いない いない ばあ」でした。プレゼントにもらえる絵本は、浜松市の図書館でおすすめの絵本の中から選ばれ るのですが、もしも、すでに持っている本であれば交換も可能だそうです。このプレゼントの絵本をきっかけにして、家庭で楽しんでほしいということです。
他にも、「あかちゃんといっしょ」というおすすめ絵本やわらべうたが載っているパンフレットや図書館の利用案内が載っているパンフレットがもらえま す。あっという間の30分でしたが、充実していて、参加者もみんな満足そうな顔で帰りました。中には、同じ部屋で引き続き行われる「えほんとわたべうたの 会」も楽しんでいく親子もいました。
可新図書館には、1階に小さな家の形をした子どもの本ばかりを集めたスペースがあります。おすすめの絵本や紙芝居もたくさんあります。ブックスタートの受付で作ったばかりの利用者カードで、帰りにさっそく絵本を借りている親子もいました。
参加者に聞いてみました
- まだ絵本は早いかな?どういう風にすれば、絵本に関心をもってくれるかな?と思って来ました。 今はまだ、絵本を口に入れるだけなので。(新橋町・お子さんは9か月)
- 家でもいつも絵本を読んでいるので、本をもらえてうれしかった。(入野町・お子さんは8か月)
ブックスタートに参加するには?
参加したい方は、「広報はままつ」や図書館に設置されているチラシ、イベントカレンダー等で日程を確認のうえ、当日直接会場にお出かけください。 その際には、かならず母子手帳を持参してください。
ブックスタートについてのお問い合わせ先
浜松市立中央図書館 TEL:053-456-0234
取材ママの感想
早期教育とか、情操を育てるといった大きな目標ではなくても、時にはテレビやビデオから離れて、絵本やわらべうたを通して、家族のふれあいの時間を 持ってほしいと思いました。確かに参加者のお母さんが言っていたように、最初は絵本を見ることもなく、ただ読んでいる本を取り上げて口に入れてしまう赤 ちゃんもいます。でも、とりあえず、「興味があると口に入れてみる」というのが赤ちゃんの行動だと思えば、そう不安にならなくてもいいと思います。また、 親の願いを込めて買った大切な絵本を、乱暴にめくったり、破いたりすることもあるかもしれませんが、本に触ってくれることが第一歩と思えば、腹も立たないでしょう。そういうことをいろいろ乗り越えて、絵本の中身にも興味が出てくるのではないでしょうか? だから、
「そろそろ絵本を読まなければならない」
とか、
「絵本を読んでいる時は、子どもでもおとなしくきいていなければならない」
なんて思わずに、子どものやりたいように読み、歌い、楽しんでくれればいいなと思います。
楽しい時間を持つことの後に、きっと何かが育ってくるのではないでしょうか?
この「ブックスタート」という事業は、
「赤ちゃんと絵本を通してゆったりとした時間を共有することが大切」
ということを体験できるもので、そこで体験する絵本やわらべうたは、家族の大切な時間を作るための、ひとつの道具なのですね。それならば、赤ちゃんの教育のためなどではなく、赤ちゃんと楽しく過ごす時間を持つために、もっと気軽に参加すればいいのですね。
掲載の写真ではなかなか伝えきれませんが、1歳直前の赤ちゃんたちとその保護者たちが、こんなに笑顔になれるなら、ぜひこのチャンスを逃さずに参加してほしいと思いました。
取材・文/はままつ子育てネットワーク ぴっぴ わかば