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時代に合わせ変わりつつある「子育てサークル」の役割

サークルイメージ

パパママが自主的に運営し交流を深める「子育てサークル」をご存じですか。近年サークルの数は減少傾向にありますが、子育ての課題を自ら解決しようと新たにサークルを立ち上げる人もいます。そこで、設立のきっかけや活動の様子、参加者の声を、2つのサークルに取材しました。

サークル数は減少傾向、新たに特色ある活動を立ち上げる団体も

浜松市子育て情報センターに登録されている子育てサークルは2012年度には129団体ありましたが、2023年2月時点では35団体と、ここ10年で約73%減少しました。最近は共働き世帯が増え、企画運営を自分たちで行う必要があるサークルの運営や参加に時間を割けない現状があるようです。更に、予約不要で利用でき常駐のスタッフがいておもちゃなども揃っている子育て支援ひろばが拡充され、子育てサークルは減少したと考えられます。一方で長年活動を続けているサークルや、少数ですが新たに登録する団体も存在しています。

独自のテーマと活動にこだわった子育てサークル

四つ葉~胆道閉鎖症家族会~

病気への悩みや不安を共有できる場所

四つ葉

同じ悩みや不安を共有できる場をつくろうと2016年にサークルを立ち上げたのが「四つ葉~胆道閉鎖症家族会~」を主宰する髙橋妙子さん。胆道閉鎖症は1万人に1人という確率で赤ちゃんに発症する難病です。髙橋さんの長女も生後2か月で胆道閉鎖症と診断され、治療や入院、手術を経験する中で、同じ病気の子どもとその家族が身近で会える場の必要性を感じていました。
「きっかけとなったのが会を一緒に立ち上げた桔川記子さんとの出会いです。偶然にもお互い同年代の娘が、同時期に同じ病気で入院していて、退院後も励まし合い交流を続けてきました」と髙橋さん。
浜松でも胆道閉鎖症の子は毎年1~2人生まれている現実を知り、"悩んでいるのは私たちだけじゃない。同じ悩みを持つ人たちの力になりたい″という思いが芽生え、会の立ち上げを決意しました。

活動は毎月1回、週末に浜松市内の協働センターなどで開催しています。取材に訪れた日は親子9組が参加していました。コロナ禍とあって、最近はオンラインでの交流が多かったそうですが、久しぶりの対面に「大きくなったね!」とお互いの成長に驚く場面も見られました。

この日は新たな入会者もいたため、和室で円座になり自己紹介から始まります。最年少の10か月の男の子や会を通じて仲良くなった小学生の女の子たち、患者である高校生の娘を育てる先輩ママ、患者本人である成人男性と参加者の年齢層もさまざまです。保護者や本人が1組ずつ発症のきっかけやこれまでの治療経過、現状などを話し始めると、同じ経験をもつ家族同士とあって自然に会話が広がります。自己紹介後はフリータイムとなり、子どもたちは会場で遊び、保護者同士は質問をしたり情報交換をしたりと、ゆっくり交流ができる時間が設けられていました。

本音で語り合い元気をもらえる

病院や保健師の紹介で参加する親子も多く、現在の会員数は親子11組。

髙橋さん

「会に参加すると、わが子より少し年齢が上の子の様子が分かるので先を見据えることができ、大人の患者さんのお話しを聞くと仕事も結婚もして生活できることが分かり元気をもらえます。私自身も良いことや辛かったことも正直に話し、大変な時はどのように乗り越えたかなど、小さなお子さんがいる家族の希望が持てるような活動を心がけています」と髙橋さん。

2年前から2歳の男の子を連れて参加しているママは「ネット上では悪い情報ばかりが気になり先が見えませんでした。会に参加することで同年代の子や少し上の子の様子が分かり、病気に対してもさまざまな打つ手があることを知る機会にもなりました。本音で話し合える貴重な場所です」と話します。

「この会があって本当に良かったとおっしゃる方も多いのですが、何より私自身も娘が肝移植をした際には皆さんに励まし支えていただきました。今後も長く続けていきたいと思います」と髙橋さんは話してくれました。

自主まめっちょ

自然の中でのびのび遊ばせたい

まめっちょ

"自然の中で子どもをのびのび遊ばせたい"という親子が集まり自主的に活動しているのが子育てサークル「自主まめっちょ」。毎週2回浜松市内の里山や畑などに集まり、自然の中で遊んだり畑仕事やごはん作りをしたりしています。

サークルの発足は2015年。みやこだ自然学校(現在は一般社団法人里の家)が主宰していた親子向けプログラム「まめっちょ」から、保護者自らが運営する親子サークルとして独立しました。
代表の東井貴子さんは幼稚園教諭の経験がある6歳と3歳の男の子のママです。5年前から2代目代表としてサークルを運営しています。

現在の会員は0歳から小学生までの親子35組。Instagramでも活動予定や内容を掲載していて、口コミや参加者の紹介で入会する親子も多くいます。
活動の内容や目的を東井さんに尋ねると「子どもはもちろん、大人もワクワク過ごせるような活動を大切にしています。夏は川や海で遊んだり、冬は餅つきや落ち葉遊びをしたりと季節によって活動場所や内容も変わります。自然あふれる場所で遊ばせながら交流を深め、パパママたちの子育て中のリフレッシュの場にしてほしいですね」と答えてくれました。

金曜日の午前中、親子3組の参加者が柿畑に集まりました。緩やかな傾斜のある畑を散策したり、手づくりの竹製遊具で遊んだり、枝から集めてたき火をしたりと、冬の自然に包まれながらそれぞれ自由な時間を過ごします。お昼には柿畑にシートを敷き、持ち寄った野菜などを切って味噌汁をつくり、持参した弁当やたき火でつくった焼き芋をみんなで食べます。

「自然遊びは公園のように遊具がないので最初は戸惑う子もいますが、次第に自分たちで遊び方を見つけ始めます。これを工夫するともっと楽しいのでは‥と考えるようになり創造力を育む機会にもなります。"うちの子はこんなこともできたのか″とわが子の成長に驚く親御さんも多いですよ」と東井さんは話します。

子どもの居場所であり人生の根っこを育む場にしたい

昨年から6歳と3歳の兄弟を連れて参加しているママは「子どもが過ごす場として自主保育を選択しました。幼稚園に通園していたこともありますが、ここでは本人のペースで同年代の子たちと遊べるので楽しく参加しています。家族だけでは準備が大変な餅つきやバーベキューなども経験でき、皆さんとつながりができるのも良いですね」と話します。

東井さん

「今後は就学前の子どもの生活や成長の場を園に任せず、家庭や地域で見守っていく自主保育もすすめていきたいと活動しています。自主保育でも同年代の友だちと過ごす時間は大切です。通っている園と並行して参加したり、親が忙しい時は子どもだけでの参加も受け入れたりと、皆で見守りながら自然の中で過ごし子育てできたらと考えています。自主保育を小学校や幼稚園と並ぶ子どもたちの成長を応援する場のひとつ、子どもたちが選んで通える場のひとつにしていきたい。自然の中で楽しい経験を積み、子どもたちの人生の根っこを育む場を目指し、仲間たちと活動していきたいです」と東井さんは話してくれました。

課題を自主的に解決する場に変化

近年の子育てサークルは親子遊びや体操などを行う団体もありますが、今回の2例のように多様化する子育ての課題を自主的に解決する場という新たな役割も生まれているようです。

取材を終えて

子育てサークルは顔見知りのメンバーが定期的に集まっているため、わが子以外の子どもの名前を覚えていたり、久しぶりに会い一緒に成長を喜んだりと、皆で子どもをあたたかく見守る雰囲気に包まれていました。また活動が始まりママの表情が晴れやかになると、ご機嫌斜めだった子も不思議と穏やかになっていく印象的でした。小さな子がいると初めての場所に出掛けるのは億劫になりがちですが、共感できるサークルを見つけたら、ちょっと勇気を出して足を運んでみると出会いが広がり、新たな気持ちで子育てに向き合う機会になりそうです。

取材・執筆/北 美緒

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