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PTA役員「やったからこそ得られたもの」

PTA役員

みなさんは「PTA役員」と聞いて、どんなイメージがありますか?
母親の就業率が7割を超え、共働き家庭が増加した現在では「PTA役員=私は忙しいから無理!」と考える方も少なくないでしょう。一方で、役員経験者からは「やったからこそ、得られたものがある。」という声も。
わたしたちが暮らすこの浜松では、親たちはPTA活動をどのように受け止め、取り組んでいるのでしょうか。

PTAってなに? どんなことをしているの?

PTAとは学校に在籍する児童・生徒のために保護者(Parent)と先生(Teacher)が作る組織(Association)のこと。幼稚園や保育園では保護者会と呼ばれることもあります。PTA活動全体の運営を担う本部のもと、各委員会で役割を分担し、教職員や保護者と協力して子どもたちがよりよい環境で生活・学習ができるように活動しています。

PTA組織の例

 PTA組織図
PTA役員、どうやって決まるの?

PTA役員は、毎年、所属する保護者の中から選出されます。園や学校により違いがありますが、まずは前年度役員が声をかけたり、立候補を募ったりした後、引き受ける人がいなければくじやじゃんけんなどで決めるのが代表的なパターン。役員の任期は基本は1年で、役職によって2年に渡る場合もあります。また、現在では共働き家庭も多いため、「仕事をしているから」は免除の理由にはならないケースがほとんどです。

役員決め

話し合いでスムーズに決まらないと、お互いの様子を伺うような重苦しい雰囲気になってしまうこともある役員決め。じゃんけんなどで意図せず役員に選ばれるケースでは、「何をするのかわからず不安だった」「PTA活動に十分な理解がないまま引き受けることになってしまった」という声も聞かれます。

では、任期を終えた保護者は、PTA活動を振り返ってみてどのように感じているのでしょうか。聞いてみました。

どうだった? PTA役員の経験談

役員をやると園や学校での子どもの様子がわかり、人のつながりができる

役員になるまでは、保育園での⼦どもの様⼦を⾒る機会がなかった。園に出向く機会が増え、こうやって遊んでいるんだな、と。そのうちに⼦どもたちが顔を覚えてくれて「カイチョー」と呼んで慕ってくれるのがうれしかった。(中区/年中/保護者会会長)

役員終了後や卒園後も、仲良く付き合える友人ができたこと。(西区/年少/専門委員)

役をやらなければ知り合えなかった人たちと出会え、いろいろな価値観がある人たちと子育ての話ができた。(浜北区/年中/クラス委員)

他学年の保護者とも知り合いになれて、情報をもらえた。(南区/小4/専門委員)

地域ボランティアで見守り活動をしている方々がこんなにいるんだ、と知ることができた。(北区/小3/専門委員)

やってよかった、やったからこそ得られたものは、やっぱり「学校で子どもの様子を見られる」こと。役員特権で、一般の保護者より近い場所で写真が撮れることもあるそう。そして「その後も付き合える友人ができた」。先生と気軽に話をできるようになったことをメリットとして挙げている保護者もいました。
役員をやってよかったことがある一方で、PTA活動をやって困ったことや疑問を感じたこともあったようです。

困った!なんとかならないかなと思ったこと

メールで済む話なのにいちいち集まること。(中区/小3/クラス委員)

アナログな仕事が多く残っていた。誰も捨てることができない過去の資料が多すぎて、引継ぎ用のバッグがパンパンになっている。(西区/年少/専門委員)

未就園の下の子がいると、身動きが取れず会合に出られないこともある。(南区/小4/専門委員)

本部役員をやった時に仕事が多すぎてほぼ毎週何かしらの仕事をしていた。何をするのかわからないから言われるがままやっていたが他の人(クラス役員)に仕事をまわせるものもあったと思う。(南区/年長/PTA副会長)

活動内容の割に人数が多すぎるものがあった。分担して参加回数を減らせば役員の負担を減らすことができたと思う。(東区/小3/専門委員)

なんとかならないかと思ったこととして、「本部役員と一般の役員との仕事の差」や「仕事に対する人数のバランスの悪さ」が挙げられました。一言でPTA役員と言っても、役職や担当する委員会によっては、仕事の量に開きがあるケースが見られるようです。
「昨年のまま踏襲している」「非効率だと思ったが前例を変える勇気がなかった」という意見もあり、改善の余地がありそうです。

浜松市のお隣、湖西市ではPTA会長自らが従来の活動内容を改善をした小学校があり、お話を伺ってきました。

新しいPTA活動の形を探る動き(湖西市の事例)

湖西市PTA 会長ず

2018年度、湖西市の小中11校のPTA会長が自主的に集まり勉強会と懇親会を行う「会長ず」が発足しました。それまでの形式的な会議で顔を合わせる間柄から、腹をわって話し合える仲間になりました。発起人の大倉昌子さんは2児の母。小1で学年委員を務めた時、「一年で変わる制度では、とにかく前例に従って役割をこなしがち。”役員はひたすら大変”というイメージを払拭できないか。」と学校に関わる喜びと同時に、役員の仕事で消耗していく実感を味わったことから、免除期間が切れた2018年にPTA会長の打診があり引き受けたそう。

会長になった彼女はPTAの変革に乗り出します。「役員は仲間、コミュニケーションを最も大切にする。こどもたち・保護者の応援団でいよう!」をモットーとして、呼び掛け励まし、発言を促す。会議は必要最小限、ダラダラと続けない。改善すべき点を積極的に挙げてもらう。前例・前年度に縛られない。紙からデータへ、新しい手法の導入を積極的に検討する。やり方が分からない役員に方法を伝えると、「私にもできました!」と喜びの声があがり、スキルアップに繋がっています。前例を変えることに抵抗を感じる人がいれば、大倉さんは「不安は何か。変える事には意味がある。」と説得します。大変そう、から、楽しそう、へ。明るい雰囲気・一緒に作り上げる活動を通じて孤独感をなくす努力をした結果、役員立候補者が大幅に増えたとのこと。

PTA役員

「PTA役員も、もちろんPTA会長だって孤独に陥ってしまうから不安なんです。正確な情報が少なく、問題解決の方法が分からなくて、一人で悩んでしまう」。
冒頭の「会長ず」活動の原点も、ここにありました。悩みを抱えていても、なかなか外には出しづらいという共通の問題がPTAには存在しているようです。
でも、もし悩みがあってもそれを発信してみんなで考えられるような環境があれば、解決に繋がることが湖西市の事例から見えてきます。

そんなに身構えなくても大丈夫! わたしたち、こうやって乗り切りました

在園・在学中は多くの人が一度は経験するであろうPTA役員。役員になってしまったけれど、仕事や家庭との両立ができるか不安だった。そんな保護者たちは、どうやって役員期間を乗り切ったのでしょうか。経験者の先輩ママたちにアドバイスをもらいました。

プラスになることに目を向ける

子どもを見に行くついでに役員の仕事をする! そうすると幼稚園に行く楽しみが出来る(^^)(南区/年中/クラス委員)

子どもが大きくなったら、こんなに我が子の近くで活動できる機会なんてなくなってしまう! 今だけの限定企画、とってもお得だと考える!(浜北区/年中/クラス委員)

転入後まもなく役員になって不安だったが、新しい学校のことを知ることができる良い機会だと思い、切り替えた。(東区/小3/専門委員)

一人で抱え込まず、誰かに相談する、声をあげる

どうせやるなら楽しもう!一人で抱え込まないようにしよう。声に出したら意外に味方が多いことに気づきます。(西区/年少/専門委員)

「子連れでもできる範囲の仕事ならやります」と最初に伝えて理解してもらった。(浜北区/小3/クラス委員)

すべての行事に参加しなければならないと思っていたが、都合が悪い時は周囲の協力で交代することができた。お互い様で助け合あったことで親しくなれた。(東区/小3/専門委員)

取材から見えてきたのは、「一人で抱え込まず、誰かに相談する、声をあげることの大切さ」。そして、「その声を受け止め、前例にとらわれず変わっていこうとする柔軟性のある組織づくり」。
同じ子育て中の保護者同士、相談しあうことで新しい絆が生まれ、今後の子育ての助けとなることもあるようです。やがて訪れる思春期に、相談できる友達が近くにいて助かった。そんな意見もありました。

取材を終えて

PTA役員

学校内で、親が頑張っている様子を子どもに見せられる貴重な機会でもあるPTA活動。「子どもと共通の話題が増えました」「子育ての悩みを相談できる友達ができました」という声が、浜松の保護者からはたくさん聞かれました。

私自身も幼稚園・小学校で役員を経験しましたが、当初は不安がありました。その原因は、PTA活動が年間を通じて生活にどう影響があるかが分からなかったこと。役員決めの場で前年度役員からの感想、そして活動時期や時間が分かれば、判断しやすかったように感じます。

昨今、PTAの退会問題や役員選考方法など、その在り方に世間の注目が集まっています。「平日昼間に母親が集まりやすかった時代の活動がそのまま残っている」あるいは「夜に長い会議がある」「病歴を言わないと免除されない(要配慮個人情報の暴露強要)」など、今の時代に合わない活動内容が残っているために活動意欲の低下や役員の押し付けあいに繋がるのであれば、とても残念なことではないでしょうか。

大変だと思われがちなPTA活動ですが、みんな子育て中の仲間同士。声を掛け合い、子どもを囲む全員が活動しやすいPTAにしていけると良いですね。

文/芝宮ちかこ
取材協力:浜松市PTA連絡協議会

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