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子どもも大人も夢中! 「将棋の世界」をのぞいてみよう

子どもも大人も夢中!「将棋の世界」をのぞいてみよう

近年、藤井聡太八段の目覚ましい活躍により小学生の間でも人気が高まっている将棋。浜松市でも、プロ棋士神谷八段や今年奨励会入りをした村松勇亮くん(内野小6年)のように実力のある棋士が注目されています。年齢、性別を問わず人々を魅了している将棋にはどんな魅力があるのでしょう。今回は、子どもたちにとって楽しみながら学べる「将棋の世界」について取材しました。

プロ棋士ってどうしたらなれるの?

プロ棋士とよく耳にはするものの、どのようにしたらプロ棋士になれるのかは意外と知られていないところではないでしょうか。歴史の長い将棋の世界には、プロになるまでの道のりからタイトル獲得に至るまで独特の仕組みがあるようです。

プロへの入口は奨励会入り!

プロ棋士になるには、まず、日本将棋連盟の奨励会に入会する必要があります。年1回実施されている奨励会入会試験に合格すると6級からスタート(受験資格は満19歳以下)。満21歳までに初段を取得する必要があり、その後二段までは関東、関西と分かれて段位を取得していきます。三段を取得するといよいよ関東、関西を合わせた三段リーグに突入します。

プロ棋士と呼ばれるのは四段~九段の棋士です。三段リーグを勝ち抜き、満26歳までに四段になることで、晴れてプロ棋士です。年齢制限もあり、厳しい勝負の世界でプロ棋士になれるのは、1年におよそ3~4人ということです。

タイトル戦ってなに?

タイトル戦とは、いわば将棋界のチャンピオンズリーグ。現在は全8棋戦あり、タイトル戦に出場できるのは、全プロ棋士と主催者推薦の女流棋士、アマチュアで勝ち上がった者のみとなっています。このタイトル全8棋戦のうち、藤井聡太八段は現在、棋聖、王位の2つのタイトルを保持しています(2020年10月現在)。

将棋の世界

将棋から礼儀作法や相手を思う気持ちを学ぶ「子ども将棋教室 神拓道場」

テレビや新聞などでよく目にするのは大人が将棋を指す姿ですが、将棋は子どもでも楽しむことはできるのでしょうか。子ども将棋教室神拓道場(浜北区)は、子どもだけで将棋をする場が少なく、子どもも大人に混じって将棋をする場がほとんどだった中、子どもたちが思う存分のびのびと将棋に親しめるように、との思いから2014年に設立されました。子どもたちが技術だけでなく、多くの仲間と一緒に将棋を通してさまざまな経験を積む、日本将棋連盟公認浜松市内唯一の子ども将棋教室に行ってきました。

やればやるほど夢中に!ともに学びともに前進する子どもたち

子ども将棋教室 神拓道場

神拓道場には、現在年少から中学生までの86名の子どもたちが所属し、毎週土曜日13時から16時30分ごろまで友だちと将棋を楽しんでいます(現在は新型コロナウィルス感染症の影響で約半数ほどで活動。園児の参加は、面談のうえ保護者同伴)。

13時にかけて続々と子どもたちが集まり始めると、子どもたちは週に1回会える友だちとワイワイ賑やかにおしゃべりに花を咲かせます。しかし、13時15分、先生から「今から始めます」と静かな声で始まりの合図があると、その空気は一変。それぞれに「お願いします」のあいさつとともに、みるみるうちにどの子も盤上に集中していきました。先生はその様子を静かに温かく見守ります。集中している子どもたちに声をかけることはありません。対局も大詰めになると、子どもたちは一段と集中力を増していきました

子ども将棋教室 神拓道場

打つ手がなくなり、「負けました」のあいさつがあると、先生からの指導とともに振り返りが始まります。「どうしてこの時こうしたの?」「ここがこうだったなあ」と互いに感想を話し、ここで対局が終了です。対局が終わった子どもたちに話を聞いてみると、「詰め将棋をたくさんやると強くなるから楽しい!」「駒を取るのが楽しい!劣勢だったのが優勢になったりしてスリル満点!」と、将棋の魅力を教えてくれました。

子ども将棋教室 神拓道場

上級者は和室に正座で対局します。しんと静まり返った雰囲気は大人さながらです。しかし、上級者になっても始めたばかりの頃と練習の方法が変わることはありません。対局が終われば感想戦をし、互いに切磋琢磨しながらともに前進していきます。将棋教室を卒業した高校生が、教室のサポートに来て子どもたちを指導する姿もあり、「将棋は運の要素が少ないため、努力がまっすぐ実力に反映され、やればやるほど強くなるのが楽しい。言い訳は見苦しく、自分から負けを認められる人ほど強くなれることを学び、それは勉強面でも役立っている」と、将棋を続けたことで得た経験を話してくれました。

「自分の都合だけを優先しては強くなれない」ことを肌で感じる

子ども将棋教室 神拓道場

指導にあたる神戸博さんは、「お願いします、で始まり、ありがとうございました、で終わる将棋は、対局を積んでいくと自然と礼儀作法を身に付けることができます。また、自分の都合だけで進めると必ず負けてしまうため、勝つためには相手を思う気持ちが必要だということを肌で感じることができます。そしてそれは、目に見えないところを読み、自分で考えて行動することができる洞察力を養うことへとつながっていきます。年齢、性別、身分、国籍などの壁がない将棋は、核家族が増え、世代を超えた交流が減る現代社会において、おじいちゃんおばあちゃんから孫世代まで一緒に楽しむことができるため、家庭内でも将棋を通じたコミュニケーションが生まれると思います」と話します。

子どもたちは、先生方に温かく見守られる中、目の前にいる憧れの上級者を目標に、将棋を通して礼儀作法を身に付け上達を目指す姿がありました。

将棋には人生経験を積むような学びがある ~子どもたちを見守る保護者の声~

学童で教えてもらってきた将棋に娘が興味を持ち、初めてから3か月ほどになります。毎日父親と将棋をするのを楽しみにしており、将棋は父と娘のコミュニケーションのひとつとなっています。息子は将棋を覚えることで自信をつけることができたのか、少しずつ活発になってきたように感じています。(小学3年女子、年長男子のママ)

「王様をとればいい」というルールに兄が将棋に興味を持ち、どんどん夢中になっていきました。自分が負けたら悔しいことがわかっているため、勝って喜ぶ人はおらず、自然と相手を思う気持ちが身につき、盤上でやりとりをしているとそれだけで人生経験を積んでいるような学びが将棋にはあると感じています。(小学4年、年中男子のママ)

将棋を始めてみよう

浜松こども館の「しょうぎに挑戦」

教室に通う以外にも、将棋に触れることができる場があります。家庭で教えるだけでなく、イベントやオンラインを体験してみるのもいいかもしれません。

浜松こども館の「しょうぎに挑戦」

浜松こども館では、将棋を知らない子が興味を持つ機会に、また経験者にはプロ棋士と指せる貴重な体験してほしいと、毎月第2・第4土曜日にイベントを開催しています。

浜松こども館の「しょうぎに挑戦」

取材の日は、浜松出身のプロ棋士神谷八段や日本将棋連盟浜松支部が講師として参加していました。初心者はまず駒の動かし方から、上級者は神谷八段が一人ひとり、一局一局丁寧に教えます。できなかったことができるようになり、「そうだ、それが大事だよ」と先生に褒めてもらうと子どもたちはとても嬉しそう。プロの棋士に将棋を教えてもらえる貴重な機会となっています。

■浜松こども館
https://kodomokan.entetsuassist-dms.com/

パソコン・スマホアプリでレベルアップ!

将棋のルールがわかったらネット将棋を利用するのも現代ならではの楽しみ方です。取材した将棋教室でも、多くの子がアプリを利用していると話していました。
日本将棋連盟公認のゲームアプリ「将棋ウォーズ」は、練習対局からオンライン対局、大会まで初心者から上級者までレベルに合わせて対局することができます。アプリ中の段級位のうち5級〜六段を日本将棋連盟に公認段級位として免状申請できるサービスもあります。

■将棋ウォーズ
https://shogiwars.heroz.jp/?locale=ja

浜松市出身のプロ棋士!神谷広志八段からメッセージ

神谷八段は中学2年で奨励会入りし、1987年には公式戦28連勝の記録を樹立した浜松在住唯一の現役プロ棋士です。

神谷広志八段

ここ数年で将棋に興味を持つ子どもたちが増え、嬉しく思っています。自分の口で負けを認めることを覚えられるのも、将棋のよいところです。将棋はどんな時も2人いれば楽しむことができます。ぜひ、友だち同士で対局してみてください。詰め将棋やネット将棋など、将棋の楽しみ方は無限大です。自分にあったものを見つけるのもおもしろいのではないかなと思います。

取材を終えて

「勝ちたい」気持ちが先行し、自分の都合だけを考えて進めてしまうとうまく行かないのが将棋だということを初めて知りました。相手の立場になって考えることは、将棋だけでなく生きて行く上でもとても大切なことです。現在、新型コロナウィルスの影響で今までとは違う新しい生活様式が求められています。家にいる時間が増えたこの生活様式を機会と捉え、家族で将棋に親しんでみるのはいかがでしょうか。対局、詰め将棋はもちろん、ネット将棋ではゲームならではの映像や音楽で迫力満点に将棋を楽しむことができます。「観る将(観戦専門の将棋ファン)」として、別の角度から将棋の世界観を楽しめるのも魅力です。伝統を大切にしつつ、現代の文化と融合した将棋の世界。知れば知るほどとりこになってしまいそうです。

取材・執筆/時田 祐子

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