子育てのヒント

助産師たちのつぶやき ~マタニティーブルーについて~

2018年12月4日

助産師たちのつぶやき夜、空を見上げると、満点の星空がより一層綺麗に見える季節になってきましたね。12月、今年も残すところあと1か月。平成最後の○○というキャッチフレーズを今年はよく耳にした気がします。次の年号はなにになるか、密かに考えている私が今回はつぶやかせていただきます。

私は、小さい頃から助産師になるのが夢でした。最初の動機は、単に赤ちゃんが好きというものでした。小学校の頃に、毎日何回も見ていたビデオは、はぐくみの育児ビデオだったくらいです。看護、助産の実習を通して、助産師は女性とその家族に長く関われる存在であると感じ、改めて、助産師になりたいと思いました。晴れて、助産師として就職が決まり、毎日楽しくお仕事をさせていただいています。お仕事をしている中で、わたしが今回みなさんにお伝えしたいことは、「マタニティ―ブルー」についてです。マタニティ―ブルーとは、待望の赤ちゃんが産まれてとても嬉しいはずなのに、突然、悲しい気持ちになったり、訳もなく涙が出たり、不安で眠れなくなったり、やる気が起こらなかったりします。程度の差はあるものの、日本人は2人に1人の確率でマタニティーブルーになると言われていて、一過性のものなので、ほとんどの方は10日~2週間もすれば自然に治るものです。しかし、マタニティーブルーが悪化してしまうと、「産後うつ」が引き起こされてしまう可能性もあるのです。そもそも、なぜ起きるのか。産後、お母さんの中のホルモンバランスが崩れ、それによって情緒不安定な状態が引き起こされるのです。

浜松市でも、マタニティーブルー、産後うつの対策として、「産後2週間健診」が始まっています。わたしは、この2週間健診をお母さん方に説明する時に「お母さんの心の元気度チェックと育児相談を行うもの」と言っています。生まれてきた赤ちゃんが0歳であるのと同じように、お母さん、お父さんも0歳なのだと私は思います。妊娠、出産したからといって、急に母になれるわけではありません。お産に立ち会い、我が子を腕に抱いたとしても急に父になれるわけではありません。赤ちゃんの成長と共に、お母さん、お父さんも一緒に成長していくのではないでしょうか。その、成長過程で少しつまずいてしまった時にお手伝いが出来ればいいなと思い、産後2週間健診をみなさんに進めています。「うつなんてならないと思う。私は大丈夫」と思っていても、産後のホルモンバランスの崩れは、なかなか大敵です。それに加え、慣れない育児、夜間の授乳と夜泣きによる睡眠不足、育児に不慣れな夫へのいら立ちなど、要因は誰にでも起こりえることなのです。いちばん悲しいことは、誰にも助けを求めることができず、1人で頑張ってしまうことです。頑張りすぎる前に、周りの家族、そしてわたしたち助産師にお話を聞かせてください。

では、マタニティーブルーになってしまった時のおまじないを3つお話して終わりにしたいと思います。1つ、泣きたいときは思いっきり、声を出して泣きましょう。2つ、1人でため込まず、周りの家族、友人、愛犬に話を聞いてもらいましょう。3つ、大切な人に抱きしめてもらいましょう。大人になると、誰かに思いっきり甘えることってなかなかないと思います。お父さんでもお母さんでも旦那さんでも、どなたでも構いません。「Hug」には、幸せホルモンと言われるオキシトシンを分泌させる効果があると言われています。ちなみに、このオキシトシンというホルモン、産後のお母さんには多く分泌されています。しかし、このオキシトシン、幸せホルモンである反面、攻撃的なイライラホルモンでもあるのです。オキシトシンを、幸せホルモンにしていく秘訣は、お母さんがリラックスしている状態にあるということです。そのためには、お母さんは無理せず、気分転換をしながら、育児をしていきましょう。お父さんは、お母さんの不安を聞き、たくさん抱きしめて、頑張っているね。と声をかけてあげてください。

赤ちゃん、お母さん、お父さんが20歳になるまでは、まだまだ道のりは長いですが、その道のりの休憩地点に、わたしたち助産師がいることを、ぜひ心にとめておいていただけると嬉しいです。

文/浜松医療センターメディカルバースセンター 鈴木裕子

妊娠・出産