子育てのヒント

スモールさんはおとうさん

2019年7月21日

おとうさんのスモールさん、おくさん、赤ちゃんとポールくん、ポリーちゃんの5人家族の毎日を描いた絵本です。情緒的なことばは使わず、ただただ日々の暮らしを淡々と語っているだけなのに、3・4歳から小学校低学年くらいの子どもたちをとりこにします。この一家が、おとうさんを中心に互いを思いやりながら暖かく満ち足りた生活を送っていることがよくわかるからでしょうね。

スモールさんはおとうさん
ロイス レンスキー
童話館出版
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特にお話の後半では、ロシア民謡さながら、月曜日から週末までのスモールさん一家の暮らしぶりが描かれます。地味ではあるけれど、きちんと繰り返される当たり前の毎日が、子どもには何だかうれしいみたいです。

ポールくんたちはおとうさんが大好きです。ひげそりを見るのも好き、大工仕事や水道管の修理をしているおとうさんを見るのも大好き。子どもたちが(赤ちゃんまで)並んで、おとうさんのひげそりや修理をじっと見守る場面からは、子どもたちがおとうさんをこよなく尊敬していることが伝わって、読み聞かせている大人も思わず頬が緩みます。

スモールさんたちのまあるい顔と単純化された背景などが、シンプルで暖かくてわかりやすく、このお話にぴったり合っています。

おとうさんも家事をよくしますが、子どもたちも、お掃除や食事の準備、片付けなど、実によくお手伝いをします。日本では「ワンオペ」などと言われ、母親だけに家事や育児の負担が過重にかかっていることが問題になっています。でも、スモールさんは、仕事から帰ってくるとごく自然に家事に関わります。この絵本を読んでもらった3歳の子が、思わず言ったそうです。「スモールさんは早く帰ってくるんだねえ!」言い得て妙ですね。働き方改革が進んで、日本のおとうさんも早く帰宅して、スモールさんのように一緒に家事や育児に関わるようになるといいですね。

ちなみに、この絵本がアメリカで初めて出版されたのは、何と1951年です。スモールさんの絵本はこのほかにも、「スモールさんののうじょう」「ちいさいじどうしゃ」「ちいさいしょうぼうじどうしゃ」などがあります。

文/子どもと絵本ネットワーク ルピナス 代表 松本なお子さん

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