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中国の民話「王さまと九人のきょうだい」
年長さんから小学校高学年まで、幅広い年齢層の子どもたちを引きつける昔話絵本の名作です。
中国の少数民族に伝わるお話です。子どもがほしいほしいと思いくらしていたおじいさんとおばあさんに、あるとき老人があらわれて丸薬を九粒くれます。おばあさんがそれを飲んだところ、なんと九つ子が生まれました。そこへまた老人があらわれて、九人に奇妙な名前をつけてくれます。
「ちからもち」「くいしんぼう」「はらいっぱい」「ぶってくれ」「ながすね」「さむがりや」「あつがりや」「切ってくれ」「みずくぐり」
この九人が、名前のとおりの特技を発揮して、横暴な王さまが次々に出してくる無理難題を退け、やっつける、痛快なお話です。
君島久子の文章は声に出して読むと歯切れがよく、お話が進むに従って次第に盛り上がっていくので、読み手の力以上のものを引き出してくれます。
赤羽末吉の絵は、昔話のお約束通り極端に大胆に展開します。顔も体つきもそっくりな九つ子が画面いっぱいにずらりと並んだところは壮観です。「くいしんぼう」がたいらげて空っぽにしたたくさんのおなべ、崖の上から突き落とされた「ながすね」のすねがしゅうっと伸びて谷底と向かいの山へまたがる場面なども、子どもたちが思わず「おっ」と息をのむところです。
読み聞かせると十五分もかかる長いお話ですが、子どもたちの集中力は途切れることはなく、存分に楽しんでくれます。
王さまと九人のきょうだい―中国の民話 (大型絵本 (7))
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岩波書店
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文/子どもと絵本ネットワーク ルピナス 代表 松本なお子さん