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海べのあさ

子どもにとって「歯が生え変わる」ということは一大事件。抜けそうでグラグラしているときも、抜けたあとも、これまでとは違う妙な感覚を舌先で味わいながら、「大人の歯」をワクワクと心待ちにします ― 自分はもう大きくなったんだ、という誇らしさとともに。

海べのあさ (大型絵本)
海べのあさ (大型絵本)
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ロバート マックロスキー
岩波書店
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家族と海辺で暮らす女の子・サリーにも、生まれて初めてこの感覚を味わう時がやってきました。それも、お父さんと一緒にバックス・ハーバーへ買い出しに出かける、待ちに待った特別な朝に。サリーのワクワクは膨れ上がって、海辺の生き物たちや大人たちに、この一大事を伝えずにはいられません。

サリーの歓びをゆったりと受けとめてくれる大人たち、 
初めて歯が抜けたその日に食べる大好きなアイスクリーム、
家で待っているおいしいハマグリのスープ、
…この幸福感!
ごく普通の日常がこんなにも輝きに満ちているものであること、成長すること・生きていくことの歓びを、子どものみならず大人の私たちにも感じさせてくれます。

躍動感あふれる絵は、白黒で描かれているにも関わらずリアリティがあり、読んでいる自分もまるでサリーと同じ場所にいるかのよう。ページから潮の香りが漂よってくるような気さえします。
作者・マックロスキーは、ペノブスコット湾(アメリカ・メイン州)に浮かぶ島で家族と共に暮らした日々の中から、何冊かの絵本を生んでいます。この「海べのあさ」の姉妹編ともいえる「サリーのこけももつみ」、「すばらしいとき」の2冊も、子どもと自然に対する作者の深い愛情を感じる作品です。

文/浜松市立中央図書館 高瀬理子さん


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