子育てのヒント

新潟の昔話 さんまいのおふだ

2019年4月15日

小さな主人公が一人で出かけて難に遭い、何とかそれを乗り越えて幸福な結末を迎えるという典型的な昔話のパターンを絵本化したものです。

山の寺におしょうさんと二人で暮らすこぞうが、あるひ、一人で山へ木を切りに行って道に迷い、何と鬼婆の家に泊めてもらうことになります。けれどもこぞうは便所の神様から三枚のお札をもらって逃げ出します。鬼婆につかまりそうになるたびにお札を一枚ずつ投げて難を逃れ、ようやくお寺に帰り着きます。追いかけてきた鬼婆は、おしょうさんの「じゅつくらべしよう」という誘いに乗り、得意げに大入道になり、次に小さな豆粒になったところを、おしょうさんにガリガリと食べられてしまい、めでたしめでたし、というお話です。

さんまいのおふだ (こどものとも傑作集)
水沢 謙一
福音館書店
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昔話って子どもにとって怖いお話が多いですよね?怖がらせていいんでしょうか」という質問をよく受けます。でも、昔話の小さな主人公は困難に遭ってもけっして一人で孤独な戦いを強いられることはありません。この絵本のように、親や庇護者から離れたところで危険に遭遇しますが、偶然か、さもなくば突然現れた援助者に助けられ、必ずめでたしめでたしの結末を迎えるのです。だから聞いている子どもたちも安心して主人公に同化してお話を楽しむ(怖がる?)ことができるのですね。

また、たびたび繰り返されるフレーズも子どもたちを楽しませてくれます。何人かのお母さんからうれしそうに、「子どもがトイレに入るたびに『こぞう、 こぞう、いいか』って言ってね、と頼まれるんですよ」というお話を伺いました。そして自分はそのたびに『まだまあだ、ピーピーのさかり』と答えるんだそうです。これは、便所の中のこぞうと鬼婆のやりとりです。

梶山俊夫の絵は大人は好みが分かれますが、子どもにとってはこのデフォルメが出来事の理解をとてもよく助けてくれるようで、人気です。重要なことがしっかりと強調されているからでしょうね。一見遠目が効かないようにみえますが、デフォルメとはっきりした輪郭とで、必要なことはちゃんと読み取れます。

おうちではもちろん、どうぞ大勢の子どもたちにも読んであげてください。年中さんから小学校低学年への読み聞かせにぴったりの絵本です。

文/子どもと絵本ネットワークルピナス代表  松本なお子さん

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