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岩手県大槌町を訪ねて
2012年12月14日(金)夜に経ち、16日(日)という短い間で岩手県大槌町を訪ねてきました。
2011年3月11日、東日本大震災が起きて以来、津波で線路も駅も流されてしまった大槌駅はプラットホームの痕跡が残るものの、JR在来線の再建の様子もなく大槌町に入るにはなかなか不自由です。
1年9か月も経ったというのに、「ここはまちの中心です」と言われたところは、一部分、津波被害を受けた町役場や建物が未だ無残な姿で赤裸々に残されており、点々と建つプレハブ店の他は見渡す限り建物の土台が残っているだけという状態でした。
今後、まちの区画整理や高台移転のための造成工事などが行われるのでしょうが、被害が大き過ぎたため遅々とした感じがします。
大槌町小鎚の仮設団地の集会場で活動する『おおつちママサークルひだまり』のママと子どもたちにお会いしました。このサークルは震災以降、仮設の狭い部屋で、遊ぶスペースが限られる子どもたちを広い所で遊ばせたい、日中、親子が家にこもりがちになってしまうため、ママ同士で情報交換するなど、楽しめて安らげる場として立ち上げたそうです。今回は大槌みらい新聞とのご縁で、情報発信のワークショップを行うつもりでやってきました。
情報源について聞いてみると、役場は町の復興で子育てに関わるサービスやそれを知らせる情報発信までも至っていないということで、まあ、それも仕方がないということ。1年9か月を経た当時、町の状況を見れば未だ遅々として進んでいそうに見えない再建からも諦め調なのかもしれません。
行政が半ば動かない状況に至っての情報の頼みは、やはり地元新聞。親子にとってイベント情報や予防接種や健診情報などは欠かせないものです。情報発信のためのポータルサイトを始めることになった9年前の何もない「焼野原状態」だったと評された浜松の状況を思い出しました。紙であろうとネットであろうと必要な人に必要な情報が行きわたることがなによりも重要であって、それらは手段にほかありません。
いかに必要な人に必要なことが伝わるかです。
ママたちからは、
「避難所にペット連れてきた人がいて一時いっしょだったよね。」
「水が出ないから、川で子どものものを洗濯しに行ったら、年配の人に叱られた。」
など、避難所生活の体験談を聞きました。
「避難生活の経験を次に活かすためにも、語り継いでほしい。私たちにも教えてもらえませんか。」とお願いをしたところ、日々の子育てや生活が忙しくて、経験を語り継ぐという発想ななかったそうです。不謹慎なのかもしれませんが、避難所で役に立ったこと、くふうしたこと、たいへんだったことなどは、今後、災害時に役立つヒントとなることです。
もうすでに世間にはたくさんの体験談が出ています。「いまさらまた体験談なのか?」と言われるかもしれませんが、こうしたコミュニケーションをとっていくことで、つながっているということ、何かあれば助け合える顔の見える関係の形成は災害大国にいる私たちにとって必要なことではないでしょうか。