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きんいろのしか
【おすすめの年齢:読んであげるなら5・6歳から。自分で読むなら小学校中級向き】
みなさんはバングラデシュという国をご存じですか?
インドの東隣にある南アジアの国で、ガンジス川をはじめとした大河がいくつも流れ、ベンガル湾に面した緑豊かな国です。
『きんいろのしか』は、バングラデシュに伝わる昔話を石井桃子さんが再話し、日本画家の秋野不矩さんが絵を描いた絵本です。秋野さんは天竜区二俣町の出身で、インドに長く滞在し、その土地の風景や人々を好んで描きました。
秋野さんの手による色彩あふれる風景や生き生きとした動物たちは、私たちをおはなしの舞台であるバングラデシュの森や草原にいざないます。
金が大好きな王さまに、足あとが金の砂に変わる「きんいろのしか」をつかまえてくるよう命じられた牛追いの少年ホセンは、シカのすみかを目指し旅をします。
どうにかたどり着いたホセンの話を聞いた「きんいろのしか」は、「一緒に王さまの御殿へ行きましょう」と言います。ホセンはシカが捕えられるのではと心配しますが…。
ホセンを助けてくれるのは、ウシやトラやゾウといった動物たちです。彼らは、みな賢く頼りになり、やさしくしてくれたホセンに恩返しをします。
一方、王さまや家来たちは、強欲で身勝手で狡猾です。そんな彼らは、最後に「きんいろのしか」の仕返しを受けます。
少し長いお話ですが、物語が起伏に富んでおり、いろいろな動物たちも出てくるので、飽きずに楽しむことができるでしょう。
この絵本は、しばらく絶版となっていましたが、最近復刊されました。
また、浜松市秋野不矩美術館では、令和4年度第4回所蔵品展(12/10~1/15)で『きんいろのしか』の原画を展示する予定とのことです。
紹介した絵本
文/浜松市立春野図書館 笹竹由美子