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とんとんとめてくださいな
『三びきのねずみが、ハイキングにでかけたかえりに、みちにまよってしまいました。ひは、とっぷりとくれてきます。きりも、でてきました。とほうにくれた三びきが、あたりをみまわすと、とおくに、いえが一けんみえました。』…
ねずみたちは、その家につきましたが、誰もいません。「かってにとめてもらっちゃ、わるいかな」と言いつつも、とても疲れていたので、ベッドにもぐりこみます。
そのあと、同じように道に迷ったうさぎやたぬきたちもやってきます。みんな泊めてもらうことにしますが、たぬきたちは「すぐそこであやしいかげをみたんです」と気になるひとこと。そしてみんなでベッドにもぐりこむと、大きな足音がし、ノックをせずにドアはあけられ、にゅうっとはいってきたのは「くろい おおきなもの」!!その正体はなんでしょう…?!
福音館書店
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冒頭から、暗くて少し不安になる挿絵で、泊めてもらう家の主も誰だかわからないなか、子どもはドキドキしなから話をききます。ですが、「くろい おおきなもの」が誰だかわかるとほっと安心。そのあとの夕食のシーンはあたたかくて嬉しい気持ちがいっぱいつまっています。家主の優しさも伝わってきて、和やかな気持ちで読み終えることでしょう。
我が家では、娘が3歳の時にはじめて読みましたが、「くろい おおきなもの」にくぎ付け。ドキドキしたあとに安心がくる(しかも安心とともに、おいしいものがたくさん出てきて、ベッドもふかふか、あったかそうで魅力的!)この絵本は何度も読んで!と言われた本でした。
この作品は、絵を眺めていると工夫が多いことに気が付きます。まず、赤いスカーフのねずみのマイペースなこと。他のみんなと違い、好きな時に好きなようにしている様子に親しみを感じる子どもも多いのでは。
また、冒頭2ページ目には、実は「あやしいかげ」が登場していますし、家の中には家主がわかるヒントが色々と隠されています。時計も描かれているため時間の経過もわかります。文に現れないストーリーがたくさんあるんですね。
現在は5歳になり、ひらがなも読めるようになった娘。絵を隅々まで見、描かれたもののなかの文字まで読むようになったため、これらのしかけに気づいてきました。いつ気づくかなと見守るのも親として楽しいですよ。お子さんが大きくなっても楽しめるおすすめの絵本です。
文/浜松市立城北図書館 池川 里果さん