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かめくんのさんぽ

ぞうくんが、友達のかばくん、わにくんを散歩に誘います。ふたりは、「ぞうくんの背中に乗せてくれるなら行ってもいいよ」と返事。ぞうくんは力持ちなので、かばくんやわにくんを乗せて散歩にでます。さらに、友達のかめくんに出会います。かめくんもぞうくんに乗せてもらいますが、バランスをくずしてしまい…という「ぞうくんのさんぽ」。
発行が1968年という、ロングセラーのこの本。幼いころに読んでもらった後、大人になりお子さんへの読み聞かせで再会して懐かしく思う保護者のかたも多いのではないでしょうか(私もそのひとり!)。

このシリーズは、その後「ぞうくんのあめふりさんぽ」、「ぞうくんのおおかぜさんぽ」が発行されますが、なんと約50年後の2019年に新作「かめくんのさんぽ」が発行されます(正確には、2016年に月刊「こどものとも年中向き」で発行後、2019年にハードカバーの絵本として発行されました)。まさかシリーズの新作が読めるとは!と感激しながら手にとりました。

今回の主役はかめくんです。ぞうくんたちよりずっとちいさく、画面でも目立たない存在です。今回はかめくんが友達を散歩に誘いますが、ぞうくんたちはおひるね中で、一緒に行ってくれません。しかたがないので、かめくんは、ぞうくんたちの大きなからだのうえを、えっちらおっちらと散歩をするのです。何年たっても変わらない、かれらのゆったりとした日常にほっとします。そして、このシリーズではおなじみの、登場人物がバランスを崩す「うわーっ」のシーンもちゃんとあります。

私は今まで、からだの大きなぞうくんたちと比べて、かめくんはおまけの存在と思っていましたが、今回シリーズを読み直して、どの本でもクライマックスに関わっているのは彼だと気づきました。かめくんって、ちいさくても重要な存在なのですね。
散歩ではいつも友達のからだの上に乗せてもらっているかめくんは、今回、ぞうくんたちのからだの上を自分で歩いて散歩します。ぞうくんたちにとっては、数歩の距離でしょうか。でも、ちいさなかめくんにとってはそれだけで立派な散歩になるのですね。

だっこやベビーカーでのお散歩を経て、自分の小さな足で一生懸命歩く子どもたちは、もしかして、かめくんと同じ気持ちなのかなと思い、とてもほほえましく感じました。
「ぞうくんのさんぽ」がお気に入りのお子さんに、ぜひこの新作も手にとって親子で楽しんでいただきたいなと思います。

紹介した絵本

文/浜松市立中央図書館 池川 里果

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