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昔話に学ぶ子育ての知恵(4)~「灰かぶり」から学ぶ子育てへのメッセージ~

昔話に学ぶ子育ての知恵

「シンデレラ」の物語は、誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。
みなさんがよく知っているのは、シャルル・ペロー版のシンデレラやそれをもとに描かれた絵本やアニメーションではないでしょうか?魔法の助けで美しいお姫様に変身して舞踏会に行き、王子様と結婚するという夢のようなストーリーです。
しかし、グリム童話の「灰かぶり(シンデレラ)」は少し異なります。そこには、子育てに生かせる大切なヒントが隠されているのです。今回はグリム童話のシンデレラが伝えるメッセージについて考えてみたいと思います。

グリム童話版「灰かぶり」の真実

1. シンデレラは舞踏会に3回行っている
シンデレラは、1度だけではなく3回も舞踏会に足を運びます。毎回美しい姿を見せながらも、3回とも王子の手を振り切って帰るのです。

2. シンデレラの美しさは魔法ではない
彼女の美しい姿は、魔法の力ではありません。亡くなった母親の墓で願い、(母の化身と考えられる)白い鳥が届けたドレスと靴で本来の美しさを取り戻したのです。

3. プロポーズされても逃げ帰る
王子が彼女にプロポーズをしても、シンデレラはそれを受け入れずに舞踏会を後にします。

「シンデレラの振り子」と思春期の子どもの心

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昔話研究者の小澤俊夫氏は、このシンデレラの行動を「シンデレラの振り子」と表現しました。彼は、「美しい姿」と「汚れた姿」を行き来する彼女の姿を、思春期の若者の心の揺れに例えています。グリム童話の「シンデレラ」では「良くあろうとする自分」と「いつもそうでばかりはいられない自分」の間で揺れ動く様子を描いているのです。
親として、子どものこの「思春期の心の揺れ」をどう受け止めるべきでしょうか。筆者自身も、我が子が思春期に揺れていた時、親としてなんとか「正しい方向」に導こうと説教したり、褒めたりと試行錯誤を繰り返しました。しかし、その過程で親の思いがかえって子どもの心を大きく揺さぶってしまったことを、今振り返れば理解できるのです。

親が揺れずに見守る大切さ

小澤氏の「シンデレラの振り子」を知った今では、思春期の子どもの揺れを受け止め、親自身が揺れずに構えることの大切さを実感します。例えば、子どもが失敗をして落ち込んでいる時に、親が焦って助けようとするのではなく、見守る姿勢が必要です。子どもが自分で解決する力を信じて見守ることで、子ども自身が自らの力で心の揺れを克服し、本来の自分の姿を現していくことができるのです。振り子は、外から揺らされるほど不安定になりますが、静かに見守られることで次第に揺れが治まり、本来の姿を取り戻していくものです。

子どもはいつか親から自立していきます。その時、自分の力で本来の「美しい姿」を実現できるようにするためには、幼い頃に愛情深く慈しみ、親自身が人間としての在り方をしっかり確立することが大切です。

グリム童話の「灰かぶり」のメッセージは、時代を超えて、子どもの成長を信じ、見守ることの大切さを私たちに語りかけているように思います。

「灰かぶり」の話が掲載されている本

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