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防災対策で重要な女性の視点・2

「報道されなかった阪神淡路大震災~女性の視点から検証する~」セミナー会場で、二冊の本を購入しました。
「女たちが語る 阪神・淡路大震災」、そして「災害と女性」(ともにウィメンズネット・こうべ 編)。
ここには、正井礼子氏の講話でも触れられていた、たくさんの方の体験談が、包み隠さず語られています。
被災地での女性や子どもへの性暴力と、それを「なかったこと」にするマスコミ。
プライバシーが無く、女性にはいっそう辛いものとなった避難所生活。
被災に便乗した、女性労働者の不当解雇。
そして、なかでも衝撃的なデータがありました。
『女性は、男性よりも1000人多く亡くなっている』のです。また、その半数以上が、60歳を超えた高齢者なのです。この数字は何をもの語るのでしょうか。
被災地内の住宅密集地には、一人暮らしの(多くは女性の)高齢者が多く暮らしていました。その住居の多くは、戦前や終戦直後に建てられた、古い木造の文化住宅だったのです。それらは家賃が非常に安く、トイレは共同、お風呂もない劣悪な住環境でした。年金の額が男性の約半分しか支給されない女性高齢者には、そうした住居のほかに選択の余地がありません。そうした中で暮らす高齢者が、古い家屋の倒壊によって多数亡くなっているのです。

震災は、弱者をこそ直撃する---この事実が、多数の人の証言によって浮き彫りにされています。
避難所も、行政による支援も、「健康な成人男性」を基準にしたものであったため、そうでない人(高齢者、子ども、障がい者、外国人、女性etc.)は非常に過酷な状況を強いられることとなりました。
災害後のマスコミの報道では、救助や復旧作業に携わる男性と、助けてもらう女性、という図式が強調されていました。ですが、男性はやがてすみやかに職場に戻ってゆき、あとの目立たない作業、やっかいな作業が女性に残されたことなど、報道されていません。職業を持つ女性も持たない女性も、震災のあとは以前にも増して膨大な仕事を抱えました。さらに、震災を理由に退職金もなく解雇されたが、あとでそれが便乗解雇だったことを知るなど、仕事を奪われた女性も多数ありました。
誰にも平等に来たかに見える震災は、実際には女性にとってより大きな災害となったのです。

「女性のボランティアといえば、まずは炊き出しをやってくださいと言われます。もちろん炊き出しもしますが、それよりも、避難所の運営やボランティアの采配など、意思決定の場に女性をもっと入れなければ」(正井氏)
現在、防災対策に関する行政担当課における女性の割合は、5から10パーセント。防災対策審議会においても1.7から5パーセントというありさま(阪神地区のデータ)で、これでは女性の視点を反映させることは困難です。これを今後50パーセントに近づけてゆくためには、意識の変革とかなりの時間が必要でしょう。

「『愛』という美名の下で、女性に社会的犠牲を強いる男女不平等社会ほど、不慮の災害にもろいものだ。今回の震災の経験を風化させず、今後の日本のあり方に生かしていく。それが私たちにできることなのかもしれない」(『女たちが語る 阪神・淡路大震災』 より)
震災から14年、女性の社会的な負担は軽くなったと言えるでしょうか?そうでないとすれば、今ある不均衡が、震災の時にはその何十倍もの不均衡となってのしかかってくることは間違いありません。そのことを伝え、声をあげてゆくことが、今後の災害下において女性を救うことにつながると信じたいです。   

ずきんちゃん

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