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くんちゃんのだいりょこう

絵本には素敵なパパやママがたくさん登場します。この人たちの子どもの気持ちの受け止め方の見事なこと!このくんちゃんのシリーズも、私にとっては、育児書よりはるかに子育てに役立った絵本でした。幼い子どもは、まだ、自分が何を望み、何を感じているのか、ことばでうまく表現できません。でも、絵本の中の幼い主人公が見事にそれを教えてくれるのです。
主人公はくまのくんちゃん、大自然の中で両親の愛に包まれてすくすくと育った愛らしいこぐまです。

くんちゃんのだいりょこう
ドロシー・マリノ
岩波書店
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冬ごもりが近づいたある日、くんちゃんは、南の国で冬を過ごすために海を渡ろうとしている鳥たちに会って、自分もどうしても南の国へ行ってみたくなります。おかあさんは、「くまは、冬は眠るのです」とさとしますが、それでも「行きたい」というくんちゃんに、おとうさんは「かえりみちをよくおぼえておくんだよ」といって、行かせてくれます。 
さて、いさんで出かけたくんちゃんですが、おかあさんにさよならのキスをしにもどったり、双眼鏡を取りにもどったり、釣竿を取りにもどったりしているうちに、すっかりくたびれてしまいます。少し休んでから出かけようとベッドに入ったくんちゃんは、そのままぐっすり、そうです、冬ごもりに突入してしまうのです。
このおとうさんとおかあさんは、「まだ小さいおまえには無理ですよ」などとは言いません。失敗しても「ほらごらん」などとも決して言いません。くんちゃんの気が済むまで、好奇心や冒険心に付き合ってくれます。いつも自分の気持ちにまっすぐ向き合って行動するくんちゃん、それはきっと、おとうさんやおかあさんがしっかり受け止めてくれるという安心感があるからでしょうね。
おはなし会などでこの絵本を読むたびに、「くんちゃんは、いつかきっと、南の国へ行くよね」とつぶやいた子どものことを思い出します。この子もくんちゃんと一緒に、くんちゃんのおとうさんとおかあさんに育ててもらったのでしょう!
続編に、ペンギン社から「くんちゃんのはじめてのがっこう」「くんちゃんはおおいそがし」「くんちゃんのもりのキャンプ」「くんちゃんのはたけしごと」「くんちゃんとにじ」(以上まさきるりこ訳)、「くんちゃんとふゆのパーティー」(あらいゆうこ訳)があります。どれも暖かくてちょっぴりユーモアがあって、くんちゃんが少しずつ成長していく様子も興味深くて、きっと、くんちゃん一家が大好きになりますよ。

文/子どもと絵本ネットワークルピナス代表 松本なお子さん

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