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ピーターラビットのおはなし
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「大きくなっても、イギリスにはぜったいに行かない。マクレガーさんがいるから!」と言った子がいました。それほど怖いマクレガーさんが登場する絵本が「ピーターラビットのおはなし」です。


福音館書店
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小うさぎピーターのいたずらっ子ぶりは相当なものです。おかあさんから「おひゃくしょうのマクレガーさんとこのはたけにだけはいっちゃいけませんよ。おまえたちのおとうさんは、あそこでじこにあって、マクレガーさんのおくさんに、にくのパイにされてしまったんです」と言われたのに、それでも、そのマクレガーさんの畑に忍び込むのですから。そこでピーターは、レタスやさやいんげんやはつかだいこんを、おなかいっぱい食べたまではよかったのですが、案の定、マクレガーさんと鉢合わせをして、追いかけられるはめになります。
3、4歳向けの絵本で、こんなにスリリングな展開は他に見当たりません。それでも、いや、それだからこそ、子どもたちはこのお話に夢中になります。初めてこの絵本を読んでもらったある3歳児は、読み終わったとたんに号泣し、「マクレガーさん、怖かった!はやくもう1回読んで」とせがみ、親をびっくりさせました。
行っちゃいけないといわれたところへこそ行きたくなるのが、子どもです。怖いことが待ち受けているかもしれないけれど、どのくらい怖いのか、自分はそれに耐えられるのか、乗り越えられるのか、そんな好奇心や冒険心を、多かれ少なかれ子どもはみんな持っています。ピーターの行動は子どもの願望そのものです。そして、途中でどんなに怖い目に会おうが、「終わりよければ全て良し」なのです。子どもは主人公と共に幸福な結末に至って、達成感と満足感を手にするのです。
こんなにわくわくする絵本なのに、ピーターうさぎは金融機関のキャンペーン用キャラクターと思っていて、絵本の存在を知らない人がいるのは残念です。図書館や保育園、幼稚園でも、読み聞かせにはあまり使われません。それは、絵本が小型で、絵が繊細なため、大勢に向けた読み聞かせではその良さが伝わらないからです。この絵本はおうちで読んでもらってこそ、その良さが生きます。それに、どんなに怖い場面でも、親が寄り添ってくれていれば、安心して乗り切ることができますからね。
「ピーターラビットの絵本」はシリーズで24冊出ていますが、それぞれ対象年齢が異なります。まずはこの「ピーターラビットのおはなし」から楽しんでください。我が家では、3歳違いの二人の子どもと、約10年間にわたって、存分に楽しませてもらいました。