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こぎつねキッコ
年中・年長さんとちょうど同じくらいの「こぎつねキッコ」が主人公のお話です。舞台は、子ども10人先生ひとりの山の小さな幼稚園です。キッコはその幼稚園の裏山に、かあさんと住んでいます。
キッコは人間の子どもたちの幼稚園が大好きです。いつも、こっそりのぞいたり、幼稚園の子がしていることをまねっこしたりしています。
夏休みなって幼稚園の子どもたちがいなくなると、キッコは幼稚園へ行きました。そして幼稚園の子たちと同じように、ブランコに乗ったり、砂場でお山を作ったり、しまいには窓ガラスの割れたところからお部屋へ入り込んで、オルガンもひきました。キッコは毎日毎日、幼稚園の子どもたちがしていたことをそっくり真似してやってみました。キッコのうれしさが画面から伝わってきます。
でも、とうとう夏休みは終わりに近づきます。するとキッコは、しっぽをほうきにして幼稚園をきれいにお掃除して、おまけに木の葉であさがおを折って机の上に飾り、そっと幼稚園を後にします。
読んでもらっている子どもたちはキッコに同化して、どきどき、わくわくします。でもその一方で、幼稚園の子の側にも同化して、ちょっぴりくすぐったく感じたりもします。だって、自分たちのあたりまえの毎日が、キッコの憧れの対象なんですものね!
この絵本のもうひとつの魅力はかあさんぎつねです。キッコの好奇心をそっと見守るかあさんぎつねの温かさが、文章からはもちろん、様々な場面の絵からも伝わってきます。きっこが幼稚園をのぞく様子や、お部屋へ入り込んでオルガンをひいている様子を、心配そうにそっと見守るかあさんぎつね、キッコが幼稚園のお掃除をしている様子をにこにこ笑って見守るかあさんぎつね、最後の場面は、キッコが折ったあさがおを見つける子どもたちの様子を、キッコとふたり並んで見守ります。
絵も文も温かさとおだやかさに満ちています。こんな絵本を読んであげると、なんだか大人までに温かい気持ちになって、「ああ、この子がいてくれてよかった」と、わが子がいっそういとおしくなりますよ。