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くだもの
子どもたちは、甘くておいしいくだものが大好きです。
そして、本物のくだもののようにみずみずしくおいしそうに描かれたこの絵本も大人気です。
まるごと一つのくだものを見せて、次に今すぐ食べられる形にされて「さあ どうぞ」と目の前に出されます。絵本教室でも、「さあ どうぞ」と読むたびに、ニコニコ顔で手をのばし自分の口へ持っていき、パクッと食べる真似をする子どもたちが多いですね。
表紙、裏表紙のさくらんぼから始まって、ドンと大きなすいか、もも、ぶどう、なし、りんご、くり、かき、みかん、いちご、最後にばなな。11種類のくだものが次々と食べられるのですから、もう、読み終わった時には、子どもも大人も大満足です!
以前、親子に読み聞かせをしたあと、1人の若いおかあさんが、とても楽しそうに、「くだものが夏から始まって春まで、四季の順に描いてあるんですね~。今初めて気が付きました!」と感動して話してくれました。私も思わず(なるほど!目のつけどころが色々あっておもしろいなあ)と感心しました。
絵本の絵には言葉には表されていない作者の思いがいっぱい詰まっていて、本当に楽しいですね。
私は、この絵本を読むとほっこりあたたかな気持ちになります。それは「さあどうぞ」とともにちゃんと手がそえられているということと、お皿に置かれたフォークの向き、切ったくだものを刺したフォークを持つ手の位置など、本当に細やかな心遣いがいっぱいだからです。最後のばななは、小さな子どもでも自分でむいて食べられる一番身近なくだものですが、絵をよく見ると上のかたいところは、ちゃんと切り落とされているのですよ。そして「じょうずにむけたね」とほめてもらった子どもの誇らしい顔。聞いている子どもたちの気持ちも十分満足させてくれます。
文/子どもと絵本ネットワーク ルピナス 副代表 島田洋子さん