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くまとりすのおやつ
真っ赤な表紙が目をひく、2歳くらいから楽しめる幼児向けの絵本です。
黒いくまと小さな茶色のりすが、並んですわって何か食べています。表紙を開けると大きなかごと小さなリュックサックが置いてあって、小さな赤い実が大きなかごにあふれるほど山盛りに、小さなリュックサックには1つだけのっています。
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絵本は表紙にタイトルが書いてありますが、次にもう一度タイトルが書いてあるページが続きます。そして絵は、たいがい表紙と中のタイトル紙には違う絵が描かれています。このそれぞれの絵は絵本を読んでもらっている子どもたちにとって大きな意味があります。読み手は、タイトルをくりかえし丁寧にゆっくり読み、絵をしっかりと見せてあげましょう。
この絵本の場合、子どもたちは「くまとりすのおやつ」とタイトルを聞きながら、表紙の絵を見て(黒いくまとちいさな茶色のりすが出てくるお話だな)と思い、中のタイトル紙の絵を見て(おやつは赤い小さな、いちごのような実だな)と想像します。
さあ、次のページからお話が始まります。
広い緑の草原に赤い実と緑の葉っぱが描かれ、「こんなにきいちごがなりました」とことばがあり、このお話が展開する場面が子どもたちの頭いっぱいに広がります。そこにくまとりすがやって来て、きいちごを摘み、お腹いっぱい食べてお昼寝をして帰っていくというお話です。
余分なものは何も描かないシンプルな絵は、幼い子どもたちにとてもわかりやすく、また、ちぎり絵になっていてふんわりとやわらかな質感がやさしいです。
そしてさらにこの絵本の良さは、リズムのあることばです。くまとりすを対比させて大きい、小さいを子どもたちにすっとわからせてくれます。
仲の良いくまとりすが、出かける時と帰る時にうたう、
「きいちご ぽちん ぽちん なってるか なってるよ すっぱいか あまいだろ」
は、私も大好きなフレーズでこの絵本を読むと心がほっこりあたたかくなります。
文/子どもと絵本ネットワーク ルピナス 副代表 島田洋子さん