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天のかみさま金んつなください

このお話に登場するのは、いちろう、じろう、さぶろうの三人兄弟とその母さん、そして山姥です。前半はグリム童話の「おおかみと七ひきのこやぎ」の日本版ともいうべき展開です。後半は山姥につかまった三人が天のかみさまに助けられるという、小さな子向けの昔話の王道ともいうべきお話です。ちょっぴり怖い場面もありますが、最後は幸せな結末が待っていますから、安心して怖がって(?)ください。

ある日、かあさんは三人の子どもたちに「かあさんがかえってくるまで、そとにでてもなんねえし、だれがきてもいえのなかにいれてはなんね」と言い聞かせて買い物にでかけます。すると、「かあさんだよ。いまかえった。はやく、と、あけろ」という声が聞こえます。こどもたちはそのしわがれ声とざらざら声を聞いてすぐ山姥だとわかり、戸をあけません。すると山姥は桑の実をたべて声を甘くしてふたたびやってきます。このあたりはグリムの昔話と似た展開ですが、同じような場面が4回繰り返されます。聞き手の子どもたちは、山姥が、声を甘くしたり、髪をどろで塗り固めて整えたりしてやってくるたびに、はらはらどきどきして聞き入ります。4回目、とうとう三人はだまされて戸を開けてしまいます。聞き手が思わず身を固くする瞬間です。

山姥につかまったいちろうとじろうは、なんとか逃げ出して、外のえんじゅの木に登ってかくれます。そこで再び、いちろうたちと山姥との駆け引きが始まります。万事休す!となったとき、声を限りに「てんのかみさま、てんのかみさま、かねんつなください」と願うと、じんじゃらんじゃらん、じんじゃらんじゃらんと、天から金のつなが下りてきました。山姥がつかまったつなはぷつんと切れて、山姥は死んでしまいます。

そのとき、待ちに待ったかあさんが帰ってきて、「やまんばにつれていかれねぇで、しっかりるすばんできたようだな」と三人の頭をなでてくれました。おしまい。

思い切ってデフォルメされた絵は、大人にはあまり歓迎されないようですが、子どもたちにとってはお話の展開の理解を助けてくれるとてもわかりやすい絵のようです。

再話者の津谷タズ子は山形県生まれですので、文章も土地ことばが随所にでてきます。とくに三人のこどもたちの土地ことばの会話は状況をよく伝え、魅力的です。土地ことばが入っているお話はどう読んでいいのかわからないと敬遠する人もいますが、遠州弁のイントネーションで構いません、絵が理解を助けてくれますから、どうぞ声にだして読んであげてください。

この絵本は現在品切れで手にはいらないようです。でも浜松市内の図書館にはたくさん入っていますから、どうぞ借りてください。

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