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マリアとコンドル ペルーの民話
主人公マリアは高原でリャマやアルパカの世話をして暮らす美しい少女です。ある日、好青年に化けたコンドルに誘拐されますが、かえるやハチドリの助けを借りて窮地を脱し、何とか親の元へ帰り着きます。なおも追ってきたコンドルを、最後は家族総出で退治するという、南米ペルーに伝わるお話です。
ある日、マリアがともだちとおぶいっこをして遊んでいると、黒い服と白いマフラーを身につけた若者が現れて、「ぼくとあそぼう。ぼくがきみをおぶってあげよう」と言います。マリアが目をつぶって若者におぶさると、マリアはいつのまにか高い崖の上に運ばれていました。若者は実はコンドルで、マリアをお嫁さんにするためにさらったのです。
聞き手はマリアよりも先に、絵から、若者の正体がコンドルであることに気づきます。聞き手の緊張感は一気に高まります。それからは緊張の連続です。
マリアは何とかして逃げだそうと試みます。かえるに助けられ、ハチドリに助けられて、マリアはようやく親たちの元に帰るのですが、コンドルは再び黒い服と白いマフラーを身につけた若者の姿でマリアを取り戻しにやってきます。
この絵本の魅力はなんといってもペルー人の画家による迫力のある絵です。高原の乾いた土の匂いを感じさせる背景、マリアの三つ編の髪や裾の広いスカートにショールは典型的なペルーの民族衣装です。画面いっぱいに描かれたリアルなコンドル、さらには、マリアが囚われている断崖絶壁の描写は、マリアが置かれている絶望的な状況を伝えるとともに、そこから脱出しようとするマリアの勇気を伝えます。
聞き手にとっては緊張の連続ですが、大丈夫、最後は家族総出でコンドルをやっつけるという満足な結末が待っています。小学校中学年くらいにぴったりのお話です。
現在品切れのため書店では手に入りませんが、うれしいことに市内の図書館にはたくさんありますよ。