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ねえ、どれがいい?
【おすすめの年齢:5歳くらいから】
「もしも家の周りが変わるとしたら、大雪か大水(洪水)かジャングルか、ねえどれがいい?」で始まる本書は、いわゆる参加型の絵本です。お城で食事、気球で朝ごはん、川でおやつ、と楽しい選択もあれば、くものシチュー、へびのジュースなど、どれも選びたくないような選択肢もあります。子どもたちは、どんな質問も、ちゃんと自分にとってよいものを選び出していきます。
小学校で読み聞かせをした時、何を手伝う?という場面で、ほとんどの子が「サンタクロースのプレゼントくばり」を選びました。でも選んだ後で “配る側よりも配られる側がよい”と思い直し、急いで訂正する子が。するとすかさず別の子が「お礼にプレゼントをくれるかもしれないよ」と続けます。ひとつの短い質問に対しても、子どもたちの想像力は大きく広がっていきます。
子どもの反応が大きいと読み手の満足度も上がりますが、その場で盛り上がることを期待して読む必要はありません。声に出さずとも、心の中で自分の答えを決めている子も多いものです。また、図書館では、子どもたちがその場で極端に盛り上がる本は、逆に慎重に選んで読み聞かせをしています(ストーリーを味わうタイプのおはなしを、じっくりと楽しむ機会を大事にするためです)。意外な展開を羅列して、子どもたちを驚かすことを目的に作られた本もありますが、この本は、最後に「本当は、自分のベッドで眠りたい?」と聞いてくれます。想像力の中であちこちに移動していた子どもたちを、自分の安心できる場所に戻してくれます。最後の質問には、どの子も大きく頷きます。
日本語訳は 1983年に初版されましたが、その後2010年に新訳版が出版されました。図書館には旧訳・新訳どちらも所蔵があります。
紹介した絵本
文/浜松市立中央図書館 島野陽子