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昔話に学ぶ子育ての知恵(7)~「絵猫とねずみ」から学ぶ子育てへのメッセージ~
日本の昔話に「絵猫とねずみ」というお話があります。どんなお話かというと・・・
むかしむかし、あるところに、読み書きやそろばんにはまったく興味を示さず、毎日毎日、猫の絵ばかり描いている男の子がいました。お父さんは、そんな息子にとうとう呆れ果てて、「お前みたいな子はもういらん。どこへでも行ってしまえ」と言ってしまいます。男の子は、今まで描きためた猫の絵を風呂敷に包んで、家を出ていきました。
日が暮れて、男の子が歩いていると、古びたお寺が目にとまり、そこで一晩泊まることにします。中に入ると、ねずみの糞があちこちに散らばっていました。男の子は猫の絵を長押(なげし/柱の上部)に並べて寝ることにしました。
夜中、男の子は大きな物音で目を覚まします。見ると、天井から光る目がこちらを睨んでいるのです。「化け物だ!」と震えていると、なんと猫の絵から猫たちが飛び出して、天井に向かっていきました。
やがて、天井裏では大騒ぎが始まり、最後には「ぎゃあっ」という恐ろしい叫び声。朝になって天井をのぞくと、犬ほどもある巨大なねずみが息絶えていました。
その後、男の子はお寺の住職となり、思う存分猫の絵を描きながら幸せに暮らしたということです。
このお話から、子育てに通じる大切なメッセージが見えてきます。
どの子にも「光るもの」がある
男の子は、勉強をしないで、ただ猫の絵ばかり描いていました。親から見れば「困った子」だったかもしれません。でもその「猫の絵」が、最後には自分を助ける大きな力になりました。子どもは、すぐにはわからないけれど、誰もがその子だけの「光るもの」を持っているのだと思います。大人がそれを見つけてあげられたら、子どもはもっと自信を持って成長していけるのではないでしょうか。
「好きなこと」を続ける力
男の子は、猫の絵が大好きで、誰に何を言われても描き続けていました。その「好き」が、やがて思いがけない形で役に立ちました。子どもが夢中になっていることを、「そんなことしても意味がない」なんて思ってしまうこともあるかもしれません。でも、「好きなこと」が子どもの将来につながることもある。だからこそ、大人が「好き」を大切に見守る姿勢が大事なのだと感じます。
自分らしさを大切に
男の子は、誰かの真似ではなく、自分の描きたい猫の絵を描き続けていました。今は、ネットやSNSですぐに他の人のやり方を見て真似できる時代。でも、「自分にしかできないこと」を見つけて育てることのほうが、ずっと大切なのではないでしょうか。
子どもが「自分らしい表現」を見つけられるように、周りの大人が温かく見守り、その子の個性を認めることが、子どもの大きな支えになりますね。
みんなちがって、みんないい
もし男の子が「猫の絵なんて何の役にも立たない」と大人たちから否定され続けていたら、きっとあれほどの絵を描けるようにはならなかったでしょう。その子が持つ「ちょっと変わった」個性や才能も、「もしかしたらどこかで役に立つかもしれない」と信じることが、子どもにとっても社会にとっても大切なことだと思います。
点数や成績だけでなく、「その子が好きなこと」「夢中になれること」を温かく見守り、応援する大人が増えたら、子どもたちはもっとのびのびと育っていけるはずです。
「絵猫とねずみ」のお話を通して、あらためて感じるのは、「どの子にもその子らしい輝きがあり、それを大切にすることで未来が広がっていく」ということです。子育ての中でつい「何か役に立つことをさせなきゃ」と焦ってしまうこともありますが、すぐに結果を求めず、「その子の好き」を大切に応援することが、子どもが自分らしく育つための大きな力になるのでしょう。
大人が「どうせ無理」と決めつけず、子どもの「好き」や「夢中」を応援できるといいですね。