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保健師の派遣

4月9日から15日間、東日本大震災で被災した陸前高田市へ派遣された保健師の平野由利子さんに、現地で訪問したご家族のこと、そして被災後の心のケアについてお聞きしました。

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子どもが2人いる妊婦さんのお宅へ訪問しました。
まだ、電気、水道もつながっていない現地で、小学生2人の子どもと妊娠5か月のおかあさんは保健師訪問を快く受け入れてくれました。

小学校3年生の男の子と、この4月に小学校に入学したばかりの女の子がお母さんの側から片時も離れず、ずっとどこかしら母に接触しながら、保健師と母親の会話を聞いていました。

今のおかあさんの悩みは、子どもの爪かみと夜、余震が発生すると奇声をあげ母親の側から離れず、トイレも一緒に行くこと。
爪かみは、小さなこどもの不安のサインでもあり、2人の子どもたちの爪は手だけにとどまらず、足の爪までなくなっていました。

こんな小さなこどもの手足の爪がなくなるまでにさせてしまうほどの 見えない不安。
震災は目に見える衝撃だけでなく、外見からは想像もつかない衝撃をも刻んでいるのです。
その子ども達を支える母親。これから生まれてくる新たな命も守らなければならず母親の不安は底知れないものだったと思います。

私はこの3人と話しをしながら、まず小学生2人の心の不安を少しでも和らげてあげることが、ひいては母親が安心して出産に望むことができると判断しました。震災の現場には、心のケアチームという専門職チームが結成されており、必要に応じて訪問などしてくれます。私は、子どもの心の不安を少しでも和らげるため、心のケアチームにつなげたかったのですが、母親はもう少し様子をみてみますとのことでした。
母が「相談を受けてみよう」という気持ちになるまで待とうと思い、私は次に派遣されてくる保健師チームにこの親子を託して浜松へ帰りました。その後あの親子はどうなったのでしょうか?どんなに体制が整っていても、母親がその気にならなければ子どもを支援することは難しいと痛感しました。

親としてできることは、不安を言葉にできない子どものサインを見逃さないことです。そして、親もひとりの人間なので、判断に迷ったら専門家等に相談することも大切です。

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