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『希望の地図 ~3・11から始まる物語~』
2011年3月11日に起こった東日本大震災から、被災地で起こっていることを再編集して作られたドキュメントノベルです。実在の人物が登場して、物語のように描かれています。
印象に残ったのは、
「夢は無意識のうちに持つものだけど、希望は、厳しい状況の中で、苦しみながらも持つものなんですよ。」
という東京大学の玄田教授の言葉と、
「『震災』ではなく『心災』からの復興」「街が元通りになることも大事ですが、ふるさとで生活する人々の心が元気にならないと。」という石巻日日新聞の武内さんの言葉です。
被災地の人々の心に希望が見える復興を進め、その先には、たくさんの夢を持てる日常生活を取り戻さなければならないのだと感じます。
また、被災地の雇用問題についても、被災した企業が事業再開のために踏ん張ろうとしても、国の雇用調整助成金などの手続きは複雑、さらに支給は4か月先。企業の資金繰りが厳しくなると、ハローワークでは「解雇してください」と言われる。解雇した方が、従業員も失業手当が支給されるからよいのだという。
東日本大震災では被害があまりにも大きかったからとはいえ、目先のことしか考えられていない仕組みでは、被災した企業や従業員の将来を見据えた生活の保障はないも同然なのでしょうか。
災害が起こるたびに、いざという時の備えが見直されているけれど、被災者の生活を守るための制度やその仕組みの見直しは、いったいどれくらい行われているのだろうかと考えさせられます。
そんな中でも希望を捨てず、踏ん張っている地域の人たちがたくさん出てきます。希望と絶望は隣り合わせの中にあっても、希望を失わずに生きている人たちに、勇気をもらえる1冊です。
(わかば)