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子育てと本

こんにちは。聖隷クリストファー大学の小川恭子です。
実は、先日大学の図書館報に私の子育て時代を振り返り、次の文を掲載させて頂きました。
「本」を巡っての娘とのやりとりから「宝物」を見つけた様子を描いたものです。
たくさんの「宝物」に出会える子育てであることを願っています。 


絵本娘が幼少の頃、就寝前に絵本や童話を一緒に読むのが日課であった。
お気に入りの絵本を何日も読まされ「いつまで続くのか」と秘かに思ったり、忙しさのあまり手抜きをして読むと「今のところ違うよ」と指摘されたり…。
様ざまな思い出があるが、今振り返るとその時間はかけがえのないひと時であった。
その後弟が誕生し、いつしか娘との就寝前の本読みも途絶えたころ、「弟にも絵本をたくさん読んであげないと本を読まなくなるよ。私が本好きなのは小さいときから絵本を読んでもらったからだと思う」との娘の一言。
ドキッとした私は、「ほんが すき!(D.マクフェイル ぶん・え)」という絵本を思い出した。
テレビが大好きな主人公のエンマ(くまの女の子)が、早起きをしてテレビを見ようとしたがなぜか映らず、困ったお母さんがエンマに本を読み聞かせたところ…。
「もう1度よんで」「ねえもう1度」「こんどは私がミリーちゃん(お人形)によんであげましょうね」と、子どもが本に夢中になる様子を描いたお話である。
エンマのように、子どもが読書に親しむにはまず「本にふれる」ことが大切であり、次に「魅力ある本」が提供されることが重要である。子どもにとって絵本や童話はそれ自体が楽しみであり、想像力を働かせながら思い描く未知の世界を与えてくれ、豊かな情操を育む「宝箱」である。
しかし、そういった体験は与える大人の価値観や準備される環境に大きく左右される。
どのような本が提供されるのか、どの程度の時間が読書に費やされるのか、どのような声を通して本の内容が伝えられるのか。それにより子どもの内的世界の構築が大きく影響を受けるとするならば、与える大人の役割は大きい。
また、子どもは「魅力ある本」として評価する力があることを大人は知らなければならない。
子どもは育まれた感性を通して本を選別し、魅力を感じた本を「お気に入り」として意思表示するのであろうし、そうした本との出会いがさらに感性を育くんでいく。
こういった子どもの持つ力を私たちはしっかりと受け止め、本の提供を心掛けなければならないと思う。
子育てにとって、「本」は大切な宝物である。
そして、「本」という共通の世界を通じての感情交流、温もりに満ちた時間や安らぎのある楽しい空間の共有…、こういった大切な「時」が私の子育てにとってかけがえのない宝物であったと思う。


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