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胞衣(えな)…知っていますか? 助産師たちのつぶやき

胞衣?胞衣(えな)とは、臍帯を含む胎盤のことを言います。臍帯とは『へその緒』のことです。

胎盤は、妊娠子宮内での胎児の発育に不可欠な器官です。誕生までの280日間赤ちゃんのために、酸素や栄養などを与え、お腹の中の赤ちゃんを守ってくれています。最新の新生児医療をもってしても妊娠22週未満の児は胎盤なくして生きるのは難しいのです。最近では、臍帯血が白血病の治療にも使われたり、胎盤エキスが医薬品にも利用されたりもしています。

胞衣(えな)には呪力があると信じられ、胎盤に願い文を添えて瓶に入れ、戸口の下に埋める慣習が古くからあったことが、奈良時代の「医心方」に詳細に記されています。戸口に埋めるのは、人の出入りが多く、胞衣をよく踏んでもらうほど児は丈夫に育つとか、賢い人になるなどと言われたからだそうです。また、臍脱した後は臍帯も大切に保管し、大病したときに煎じて飲ませると、命を取り留めるとされていました。産屋の出産では、胞衣は神様が処分してくれると考えられ、産屋内の石の下に埋められていました。地域や時代によっても異なるものの、明治中期に法律が公布されるまで、胞衣は甕(かめ)や壺、桶にいれ戸口や土間または山中などの土の中に埋められていました。
昔の人が胎盤に偉大な呪力を感じたのは当然と言えます。昔の人は出産した女性も家族も実際に胎盤に触れ、大切に扱っていました。

命を育ててくれた胎盤に対して、尊厳の気持ちを持つ。
臍帯は桐の箱に入れて大切に保管し、子供に伝えてあげる。
お腹の中で宿った命とお母さんをつなぐ胞衣。あなたにも、もう一度、胞衣のことを考えてほしいと思います。次回は、インフルエンザについてお話します。

浜松医療センター 周産期センター 助産師 新田京子

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