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この時期流行する溶連菌に注意しましょう 助産師たちのつぶやき

寒い日が続き、体調管理が難しい日々ですね。溶連菌(正式には、溶血性レンサ球菌)をご存じですか?溶連菌と聞いて、何をご想像されますか?「子どもに多い」と思うのではないでしょうか?
溶連菌はA群、B群、C群、G群などがあり、90%以上はA群溶連菌によるものです。きっと皆さんがよく耳にする「子どもが溶連菌にかかった」というのは、A群溶血レンサ球菌のことを指していると思います。これは、喉に感染して咽頭炎を起こします。3週間前、私の年少の子どもも溶連菌に感染しました。主症状は、発熱と喉の痛みです。抗生剤を内服し、すぐに解熱し元気になりました。
溶連菌は子どもに多いという印象の通り、好発年齢は5歳~15歳の幼児期から学童期です。しかし、溶連菌はどの年齢でも発症し、大人も注意が必要です。
溶連菌の危篤な症状として、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が知られています。劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、突発的に発症し、敗血症などの重篤な症状を引き起こし急速に多臓器不全が進行することがある重症感染症であり、その死亡率は約30%とされ、好発年齢は30歳以上の大人です。特に妊産褥婦はSTSS罹患率が、非妊婦に比べて20倍であり、ハイリスクと言われています。妊産婦死亡の主な原因は、産科危機的出血・脳出血・羊水塞栓症・自殺ですが、感染症も上位に入り、感染症の中での内訳で半数がSTSSによるものという研究データーがあります。
2023年5月、新型コロナウイルスが第5類になり感染対策が緩和された後、STSSが急増し、2024年7月に日本産婦人科医会が注意喚起をしました。
STSSは、発症から病状悪化が極めて急速であり、発症早期に抗菌薬による治療を開始しなければ、24時間以内に死に至る可能性があります。
予防法は、手指衛生や咳エチケットなど基本的な感染対策です。溶連菌の流行時期は11月~4月です。これからの時期、例えば、子どもが溶連菌にかかっている経産婦さん、より一層注意してくださいね!
参考文献
文/浜松医療センター周産期センター 助産師 半田佳哉


