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せかいいち うつくしい ぼくの村
せかいいち うつくしい ぼくの村
小林 豊 ポプラ社
手元に置きたい、と思った本はたくさんありますが、この本も、そんな一冊です。この本には、平和な村の豊かでやさしい一日が、色鮮やかに描かれています。
村は、収穫の時期なのです。
豊かに実った果実を、市場に売りに行く親子。その実りに感謝して、果物が売れたお金でまっしろい羊を買い、親子の未来は広がっていきます。
でも、うつくしいこの村は、アフガニスタンにありました。
お話の中でも、ところどころ戦争が影を落とします…、
「この としの ふゆ、
村は せんそうで はかいされ、
いまは もう ありません。」
この本の最後のページです。
私は、この本をお話会で読むのを封印しました。
どうしても、この箇所で泣けてしまうからです。語り手があまり感情移入してしまったら、聞き手は語り手の解釈でその本を判断してしまいます。
だから、この本は、大勢の前ではもう読めません。
戦争が、日常の延長にあって、今も世界のどこかしらで悲しい思いをしている人がいるのだということを、子どもたちに伝えることができる本だと思います。
写真ではなく、絵であることで、逆にひしひしと、伝わるのです。
文/池川恵子さん