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絵本笑介「しっぽのはたらき」
科学絵本を紹介します。「かがくえほん」て?とまだ幼稚園に通園していないお子さんのお母さんは耳慣れない言葉でしょう。幼稚園に入ると毎月「かがくのとも」を購入される方もいます。安くて薄いのに、中身はとてもいい!毎月出版される中から傑作集としてハードカバーのデビューが2・3年後にあったりします。この「しっぽのはたらき」もその一冊です。初刷りは1969年、もう「かがくのとも」は子どもたちに届けられていました。
では、この絵本の表紙と裏表紙を広げてよ~く見てください。
タイトルは「しっぽのはたらき」。よ~く見ないとこの絵本の中身がわかりませんよ。
さあ、めくってみましょう。
「これは くもざるです。しっぽで くだものを もぎとっています。べんりな しっぽですね。」と始まります。字を読むのに一生懸命のお母さんは、子どもがくもざるのしっぽを目で追っているのがわかりません。さっさと次に読み進んではいけません。
え!?あれ?!!なあんだ、あった、あった!なるほどねえ。
ということです。(ヒント:しっぽを表紙につなげてください)
次のページも見てください。しっぽのはたらきを想像させる文章と前半分がちょん切れている動物の絵をめくって納得です。しっぽだけを強調させる絵が、よりいっそう動物の身体の一部であるしっぽの役目を際立たせています。
さて、このように“かがくえほん”の役目は、ものの名前や種類を覚える、または調べる“図鑑”とは違って、「へえ?!そうなんだあ!なるほどねえ!おもしろい!」と感動して知識が増えて自然や科学に興味を持つことです。だからまた次の科学絵本に出会いたくなります。そうしたら毎月「かがくのとも」を購読しましょう。(私は某社の営業マンではありません。)
「しっぽのはたらき」を見た子どもは、動物園に行けばもう動物を見る見方が変わっています。犬や猫が身近にいれば生態を観察するでしょう。科学絵本は子どもたちにそうしたくなる行動を引き起こさせるのですね。優れた科学絵本にはそういう自発的な行動をおこさせる力があります。
そこが大事。
観察する・見るというだけでなく、実際にそのことを探求してみる。探求するということは、材料を集め、分類し、分析し、仮説を立てて、実験して確かめる、というプロセスを生み出します。
子どもたちの“理科離れ”が心配されてから、先生方は様々な取り組みをして楽しい理科授業を工夫してくださっています。授業でも感動して知識が増えて自然や科学に興味を持つようにしています。実際にやってみるプロセスは何より大事です。
しかし、絶対に体験できないことも体験させてくれるのが「かがくえほん」の特許です。宇宙や過去の時代のことなど、絶対体験できないことでも真実を探究したくなったら、子どもたちはどんな想像と探究を繰り広げるでしょうか?考える力がむくむくと成長しますよ。
文/木村友里恵さん