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あおい目のこねこ

あおい目のこねこはねずみのくにを探しにでかけます。ねずみのくにに行けばお腹を空かせることはありませんもの。
けれども、そうたやすく行き着くことはできません。途中で魚にびしょ濡れにされたり、ほら穴の中で大きな目を見つけてびっくりしたり。それでもその度に「なーに、なんでもないさ」と前向きに進みます。

あおい目のこねこ (世界傑作童話シリーズ)
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あたりが暗くなるころ、こねこはたくさんの鳴き声を聞きます。やっとねずみのくににたどり着いたのかと思いましたが、それは10匹のきいろい目のねこたちでした。きいろい目のねこたちも、ねずみのくにを探しにきていたのです。10匹でも探せなかったのに、ひとりで探しても見つからないに違いないと考えたあおい目のこねこは、きいろい目のねこたちと暮らすことにしました。
ところが、ある日、やってきた大きな犬を追い払おうと考えた拍子に、青い目のこねこは、なんとその犬の背中に飛び乗ってしまったのです。こねこは振り落とされないようしっかり爪を立てました。すると犬の方も夢中でこねこを乗せたままかけだします。山をのぼってくだって、のぼってくだってを繰り返し、行き着いた先でとうとう犬は伸びてしまいます。ところが、まさにそこが探していたねずみのくにだったのです。
絵本にしては少し長く幼年童話の装丁ですが、“1のまき”から“7のまき”まで章立てされており、また文章も簡潔に書かれているのでテンポよく読むことができます。シンプルながら勢いのある絵もおはなしの雰囲気にとても合っています(白黒の中にそれぞれの目の色である青と黄が活きています)。

きいろい目のねこたちの中では珍しい“あおい目”。でも、きいろい目のねこたちに「ふつうのいいねこは、きいろい目だまなんだよ」と言われても、水に顔を映しながら「青い目はきれいだし、かおもへんてこではありません」と納得する様子、ねずみのくにに行き着かず、蠅いっぴき蚊いっぴきしか食べられなくても「なんにもたべないよりは、ましでした」と進む様子(あぶらむしを食べた時だけは「なんにもたべないほうがましでした」と思いましたが)、最初は痩せていたこねこが丸々と太った様子など、読者も同じように満足することができるでしょう。

文/浜松市立中央図書館 島野陽子さん

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