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ラチとらいおん
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自分は「強い子」だと、自信たっぷりに言える子どもはいったいどのくらいいるでしょう?どんなに強がりの子だって、どこかに弱さや心細さをかかえていますよね?
そんな子にそっと寄り添って励ましてくれる、うれしい絵本です。


福音館書店
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主人公のラチは自他ともに認める「せかいじゅうでいちばんよわむし」の男の子です。そのラチが、ちいさなあかいらいおんの力を借りて、強くなるお話です。
ラチの夢は飛行士になること、でも弱虫のラチには飛行士なんて夢のまた夢。ラチは、犬がこわい、暗いへやもこわい、おまけに友だちさえもこわいのです。そんなラチのところへ、ある日、ちいさなあかいらいおんがやってきて、「つよくなりたいなら、ぼくがつよくしてやるよ」といいます。
さて、らいおんがおしえてくれた強くなる方法とは・・・それは「たいそう」でした。ラチはらいおんと毎朝「いち にっ さん!」とたいそうをします。そして少しずつ強くなっていくのです。ラチは強くなるだけでなく、やさしさも獲得していきます。そうです。やさしくあるためには強くなくてはいけないのです。ラチが強くなったことを見届けて、らいおんはラチのもとを去ります。次の弱虫のところへ行って強くしてあげるために。お話は「ラチはきっとひこうしになれるでしょう」と締めくくられます。
表紙は墨のような暗色、そこに、髪はやわらかな金髪、シアン色のつなぎの服を着たラチが、朱赤のライオンの尻尾をにぎっている絵が、シンプルでしかもなんとも暖かくておしゃれです。とても50年も前に出版された絵本とは思えません。「いち にっ さん!」の体操の場面も、子どもにとっては、わかりやすくて説得力があるんですよ。
おはなし会でこの絵本を読むと、男の子も女の子もラチになり切って、一緒に暗い部屋へ入ったり、友だちのために意を決してのっぽを追いかけたりしている様子が手に取るようにわかります。ああ、この子たちも、今、強くやさしくなろうとしているんだと思うと、読んでいるこちらがじーんとしてしまうことがたびたびありました。
年中さんから小学校1年生くらいにおすすめの絵本です。